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本編

9.3 生活向上と金稼ぎ

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 教会の建築が行われる為か、いつもよりも多くの行商人がやって来た。来ていた商人の一人が、子供達が遊んでいた遊具を気に入り購入する事にしたらしい。
 それで、幾人かの子供達が子供部屋に集まり仕上げ作業をやっていた。工房に追加発注し仕上げ作業をやっているようだ。小遣い稼ぎになるらしい。

 教会の建物を作るための木材は、別の街で加工された木々が運ばれてくるのでこの街の木工業者にはそれほど多くの仕事が割り振られていなかった。なので、おもちゃ作りは工房にとっても歓迎だったらしい。
 まあ、ちらっと見た感じではお小遣いを超える量が注文されているようだ。売買は父上が契約していたのでお任せだ。
 と思っていたら、最後に呼ばれた。
「このおもちゃを考案したのはクリスだから、契約を確認してくれ。今回は領都でこのぐらいの価格で売る予定らしい。もちろん、加工費は別に払ってくれているが、それと別に、売価の1割を収めてくれるそうだ。どうする?」
 どうするとは、この契約で良いかと言う事だろうが。
「父上が妥当だと思っているなら、良いのではないですか。
あともう一つ、こちらも買って帰りませんか」
 そう言って僕はリバーシを取り出した。これは僕が錬金魔法で加工した物なので割と高級感のある作りになっている。盤も駒も土魔法で加工した物だ。磁石の生成が難しかったが、電子をイメージしてS極とN極に分離するイメージで再現できた。
 ただの盤と駒なら簡単に複製できるが、磁石入りは難しいのではないかと思う。
 さらに、盤の下地は定番の緑で塗られ、駒は表が白、裏を黒に綺麗に塗り分けた。
「ルールを教えるので、一勝負してみましょう。商品を理解するには遊ぶのが一番ですよ」
 簡単にルールを教えて勝負をする。もちろん僕が勝ったが、次は父上と商人さんが勝負をする。なかなか良い勝負だったが商人さんが勝った。
 最後にもう一勝負して、もちろん僕が勝った。
「買います、これ。これはいくらで?」
「いくらで売れると思いますか?」
「盤も駒も美しい。それに手触りも良いし、この盤と駒がピッタリとくっつくのは素晴らしいです。これなら、かなり高額でも売れます。とりあえず卸値は一つ1銀貨でどうでしょうか」
半銭(5円)、小銅貨(10円)、中銅貨(50円)、丸銅貨(100円)、大銅貨(千円)、小銀貨(1万円)、銀貨(10万円)、金貨(100万円)
 おお、1個10万円相当。すごいな。
「まあ、良いかな。それでいくつ買います?」
「え、沢山あるのですか。全部でいくつあるのですか?」
「200個は用意できると思いますよ。今年はこちらで作るので先ほどの価格で良いのですが、権利をどうするかですね。権利を買って王都で作るなら100金貨です。それで、領都なり王都なり勝手に作ってもらっても構いません」
「200個ですか。合計で20金貨。もちろん買いますと言いたいが、それだけの現金は持ち合わせが足りません。すいません」
「支払いは来年で構いません。それと現金の半分は、物納でも良いですよ」
「よろしいのですか。それならば売りさばけば資金繰りに問題はないです。ですが物納とは何を持ってくれば」
「鉄のインゴットをお願いします」
「鉄ですか、武器ではなく、原料」
「はい。お願いします」
「わかりました。商品はいつまでに。
一月後に200個渡しましょう」
「クリス、見た感じではこの街の職人が頑張っても一月で200個は無理ではないか?」
「丈夫です。僕に考えがありますから」
「わかった。すいませんが子供の約束。一月後に来て足りなければ悪いが数は保証できないと思っておいてくれ」
「ええ、大丈夫です。そのくらいは全く問題ありません」
「では、この10個だけ先に渡します。領都でサンプルが必要でしょう。ゴン、持って来て」

 よし、これで孤児達が来ても当面の資金はなんとかなる。それに武器の強化も。

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