30 / 96
本編
6.1 今度は守護霊?
しおりを挟む
自分が誰だったのか記憶はない。なぜかこの女性に取りついている。何かできるわけでも無いし、恨んでいるわけでも無い。たぶん。
言葉としては守護霊なんだと何となくわかる。
ただこの人の側にいて、生活を眺めるだけだ。母親も父親もいないかわりにおばあさんが育てているようだ。わりと裕福な家。
花が好きで、良く庭を散歩し花を摘んで家に戻る。侍女に渡して花瓶に挿してもらうのだが侍女からは花を取るところから自分がやりますといつも言われている。
自分が好きなんだといつも反論するのだ。
ある日から護衛が付くようになった。護衛は全部で4人いるようだ。交代で彼女を守るようになった。そしてこの人は、お茶会やら、夜会やらに行くようになった。まだ成人には少し早い気がするが、結婚相手を探すのはこのくらいの年齢からなのだろう。
夜会に行くと、ひっきりなしにダンスに誘われる。
この人は贔屓目に見ても綺麗だ。それはまあ声がかかるだろう。
良い子だろ。
これだけずっと一緒にいるのだ、情もわいてくる。
最近、気が付いたが、どうもこの子は夜会である綺麗な格好をした男ではなく護衛の一人を気に入っているようだ。まあこの子が良いと言うのなら、応援しなくもない。
それには、この男が誠実かどうか見極めが必要だ。
そう思った所、意識が二つに分裂した。そしてその男の守護霊にもなった。二つの守護霊はつながっているらしく、二つの景色が同時に見れるようだ。
男は非常にまじめだった。他の3人よりも剣を多く振り、まじめに訓練をする。そしてひとたび護衛に付くと彼女から絶対に目を離さない。うん、この男もあの子の事が好きだよね。単なる護衛対象とは思えない。二人は愛し合っているのだなと思えた。
いざこざが起きた。護衛騎士が間に入って殴られた。相手の方が位が高いのだろう、殴られても手を出さず、あの子を守っている。頑張っている。
その場は他の貴族が来て助けられた。
だが、後で襲撃を受けてしまった。護衛騎士は多勢に無勢。殴られ蹴られ。おそらく肋骨は折れ、手足も尋常ではないダメージを負った。
そして、女の子は誘拐された。
二つの景色が見えるので状態は解る。
男は、通りがかった別の人に救い出され治療を受けた。
だが、女の子は貞操の危機だ。
男は病院を抜け出して馬にのり、女の子を探す。見つからない。
このままでは間に合わない。いや間に合っても戦う力もないのに。どうするつもりだ。男に協力者が現れた。仲間の騎士が3人。それに助けてくれた家の騎士達だ。
あっちなんだ、あっちに行ってくれ。
僕は男の後ろから叫ぶのだが伝わらない。どうしたら。
いよいよ女性側も危ない。
ああ、魔法が使えたら。
頭に響く声がした。
『もう一度現世で頑張るなら魔法を授ける』
『やる』
即答したが、もしかしたらそれは間違いだったかもしれない。そうは思ったが後悔はしない。そして魔法が頭の中に思い浮かんだ。攻撃魔法は無いが大丈夫だ。
女の子も魔法は使える。それを活用して防御魔法を強化する。物理的な結界を作り出し手出しできないように保護する。
そして男の方。風魔法で声を伝え、光魔法で誘拐されている棟を光らせる。それと共に回復魔法で男の体を修復する。
「神の声だ、行くぞ」
男は一目散に駆け出す。他の皆も付いていく。
どうやら無事に救出できたようだ。そして二人が結婚することになった。めでたしめでたし。
おや、そう言えば現世に戻ると言っていたような、そんなそぶりはないな。
そして二人の後ろから結婚式の光景を見て満足した。
言葉としては守護霊なんだと何となくわかる。
ただこの人の側にいて、生活を眺めるだけだ。母親も父親もいないかわりにおばあさんが育てているようだ。わりと裕福な家。
花が好きで、良く庭を散歩し花を摘んで家に戻る。侍女に渡して花瓶に挿してもらうのだが侍女からは花を取るところから自分がやりますといつも言われている。
自分が好きなんだといつも反論するのだ。
ある日から護衛が付くようになった。護衛は全部で4人いるようだ。交代で彼女を守るようになった。そしてこの人は、お茶会やら、夜会やらに行くようになった。まだ成人には少し早い気がするが、結婚相手を探すのはこのくらいの年齢からなのだろう。
夜会に行くと、ひっきりなしにダンスに誘われる。
この人は贔屓目に見ても綺麗だ。それはまあ声がかかるだろう。
良い子だろ。
これだけずっと一緒にいるのだ、情もわいてくる。
最近、気が付いたが、どうもこの子は夜会である綺麗な格好をした男ではなく護衛の一人を気に入っているようだ。まあこの子が良いと言うのなら、応援しなくもない。
それには、この男が誠実かどうか見極めが必要だ。
そう思った所、意識が二つに分裂した。そしてその男の守護霊にもなった。二つの守護霊はつながっているらしく、二つの景色が同時に見れるようだ。
男は非常にまじめだった。他の3人よりも剣を多く振り、まじめに訓練をする。そしてひとたび護衛に付くと彼女から絶対に目を離さない。うん、この男もあの子の事が好きだよね。単なる護衛対象とは思えない。二人は愛し合っているのだなと思えた。
いざこざが起きた。護衛騎士が間に入って殴られた。相手の方が位が高いのだろう、殴られても手を出さず、あの子を守っている。頑張っている。
その場は他の貴族が来て助けられた。
だが、後で襲撃を受けてしまった。護衛騎士は多勢に無勢。殴られ蹴られ。おそらく肋骨は折れ、手足も尋常ではないダメージを負った。
そして、女の子は誘拐された。
二つの景色が見えるので状態は解る。
男は、通りがかった別の人に救い出され治療を受けた。
だが、女の子は貞操の危機だ。
男は病院を抜け出して馬にのり、女の子を探す。見つからない。
このままでは間に合わない。いや間に合っても戦う力もないのに。どうするつもりだ。男に協力者が現れた。仲間の騎士が3人。それに助けてくれた家の騎士達だ。
あっちなんだ、あっちに行ってくれ。
僕は男の後ろから叫ぶのだが伝わらない。どうしたら。
いよいよ女性側も危ない。
ああ、魔法が使えたら。
頭に響く声がした。
『もう一度現世で頑張るなら魔法を授ける』
『やる』
即答したが、もしかしたらそれは間違いだったかもしれない。そうは思ったが後悔はしない。そして魔法が頭の中に思い浮かんだ。攻撃魔法は無いが大丈夫だ。
女の子も魔法は使える。それを活用して防御魔法を強化する。物理的な結界を作り出し手出しできないように保護する。
そして男の方。風魔法で声を伝え、光魔法で誘拐されている棟を光らせる。それと共に回復魔法で男の体を修復する。
「神の声だ、行くぞ」
男は一目散に駆け出す。他の皆も付いていく。
どうやら無事に救出できたようだ。そして二人が結婚することになった。めでたしめでたし。
おや、そう言えば現世に戻ると言っていたような、そんなそぶりはないな。
そして二人の後ろから結婚式の光景を見て満足した。
34
お気に入りに追加
372
あなたにおすすめの小説

きっと幸せな異世界生活
スノウ
ファンタジー
神の手違いで日本人として15年間生きてきた倉本カノン。彼女は暴走トラックに轢かれて生死の境を彷徨い、魂の状態で女神のもとに喚ばれてしまう。女神の説明によれば、カノンは本来異世界レメイアで生まれるはずの魂であり、転生神の手違いで魂が入れ替わってしまっていたのだという。
そして、本来カノンとして日本で生まれるはずだった魂は異世界レメイアで生きており、カノンの事故とほぼ同時刻に真冬の川に転落して流され、仮死状態になっているという。
時を同じくして肉体から魂が離れようとしている2人の少女。2つの魂をあるべき器に戻せるたった一度のチャンスを神は見逃さず、実行に移すべく動き出すのだった。
女神の導きで新生活を送ることになったカノンの未来は…?
毎日12時頃に投稿します。
─────────────────
いいね、お気に入りをくださった方、どうもありがとうございます。
とても励みになります。

【完結】天下無敵の公爵令嬢は、おせっかいが大好きです
ノデミチ
ファンタジー
ある女医が、天寿を全うした。
女神に頼まれ、知識のみ持って転生。公爵令嬢として生を受ける。父は王国元帥、母は元宮廷魔術師。
前世の知識と父譲りの剣技体力、母譲りの魔法魔力。権力もあって、好き勝手生きられるのに、おせっかいが大好き。幼馴染の二人を巻き込んで、突っ走る!
そんな変わった公爵令嬢の物語。
アルファポリスOnly
2019/4/21 完結しました。
沢山のお気に入り、本当に感謝します。
7月より連載中に戻し、拾異伝スタートします。
2021年9月。
ファンタジー小説大賞投票御礼として外伝スタート。主要キャラから見たリスティア達を描いてます。
10月、再び完結に戻します。
御声援御愛読ありがとうございました。

魔晶石ハンター ~ 転生チート少女の数奇な職業活動の軌跡
サクラ近衛将監
ファンタジー
女神様のミスで事故死したOLの大滝留美は、地球世界での転生が難しいために、神々の伝手により異世界アスレオールに転生し、シルヴィ・デルトンとして生を受けるが、前世の記憶は11歳の成人の儀まで封印され、その儀式の最中に前世の記憶ととともに職業を神から告げられた。
シルヴィの与えられた職業は魔晶石採掘師と魔晶石加工師の二つだったが、シルヴィはその職業を知らなかった。
シルヴィの将来や如何に?
毎週木曜日午後10時に投稿予定です。
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?


大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います
町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。


孤児による孤児のための孤児院経営!!! 異世界に転生したけど能力がわかりませんでした
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前はフィル
異世界に転生できたんだけど何も能力がないと思っていて7歳まで路上で暮らしてた
なぜか両親の記憶がなくて何とか生きてきたけど、とうとう能力についてわかることになった
孤児として暮らしていたため孤児の苦しみがわかったので孤児院を作ることから始めます
さあ、チートの時間だ
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる