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第5章 シドニア訪問編
5.11.6 ディックハウト公爵家攻防戦待機
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僕はバーニィに言われた通り、上空から様子を見ていた。バーニィ達の魔法の威力が高く、人数的な劣勢は感じられない。襲って来た人達は次々に倒れ込み人数が減っていく。
大丈夫そうだな、そう思ったときに僕が打ち上げた光球以外の光が見えた。
遠い。
どこだ?
国境の方だ。
その光は、一瞬だったが夕日が沈むときの同じぐらいの光の強さが飛び出してきた。
僕は、下に向かって話す。
「バーニィ、国境の方で何かが起きたみたいだ」
「ええ、ここからでも明るくなったのが解りましたが、国境ですか。まずいですね、ジルベール様は行ってください。ここは大丈夫です」
「ほんとに、大丈夫なの」
「どのみちジルベール様の攻撃魔法は強すぎます。油断すると隣の垣根を越えて行きそうですからここではあまり使いどころがありません。私が居れば十分です。行ってください」
「解った。だけど念のため。『バーニィに使用を許可する』バーニィ。神石を貸すよ、持ってるだけでも魔法の威力が上がるから。魔力が足りなくなったら神石から使って」
「わかりました」
「じゃあ、行くから。後で戻る」
僕は、すぐに国境へ転移した。
光ったのは外だったので、転移したのは川の上を選んだ。
まさに国の境だ。
転移をして目の前に見えた光景は、自領側の川べりに作られた壁が赤く燃えている情景だった。
慌てて何が起きたのか確認するため光球をいくつか作って打ち上げた。すると、反対側の領の川岸に巨大な竜が居るのが見えた。
さっきの光は竜のブレスだったらしい。
竜は、もう一度ブレスを吐こうと溜めをしているところだ。
「イシス、あれを止めろ」
僕は竜の前にイシスを完全体で召還した。
一瞬で完全体になったイシスは、ブレスに対応するために同じく水のブレスを吐きだす準備をする。
後だしにも関わらず、川の中に降臨したイシスは一瞬で準備を整え、相手のブレスに合わせて、水のブレスで相殺した。
水蒸気が立ち上り周りが見えなくなる。だが気配探知にも感じらえるまま。鑑定でその存在も解る。
「イシス、押さえて」
鑑定によると呪い状態で操られているようだ。とりあえず抑え込んでもう少し確認。
「これで良いのか」
竜は、ティアマトよりは大きいが、完全体のイシスの方が全長が大きいし、力も強いらしく竜を簡単に抑えた。
風魔法で水蒸気を吹き飛ばして竜の全身を確認するが見える場所に怪しい魔道具を見つけられない。
「イシス、ひっくり返せないかな」
「面倒な事を。ほれ、これで良いのか」
首に変な魔道具がある。鑑定で確認するとこれが呪いのアイテムだと表示された。確定だ。
つまりこれに祈祷を使って解呪すれば良い。
「ありがと、イシス。首にしている呪いの魔道具を壊せば良いみたいだ。それを壊すからそのまま押さえておいて」
「わかったのじゃ、面倒だからはやく終わらせるのじゃ」
解呪をしようとしていたら、この場に声をかける人がいた。
「ジルベールか、よく来てくれた」
ティアマトだった。
「ティアマト、無事だったんだね。皆はどう」
「ああ、無事だ。全員で結界を張ったから一撃目は防げた。2度目は難しかったから我が竜になるしか無いと思ったが。同族での戦いは禁止されている故、助かった。それで、そ奴をどうするのだ」
「呪いのアイテムが着けられているから、解呪するつもりだよ」
「できるのか? 竜を操れる魔道具など普通には存在せぬぞ。かなり高位の魔術具ではないのか。複雑な手順と時間が必要になるのではないか」
「いや、単純だよこれ。対抗の制約条件は、今まで使った魔力を上回れば解呪できる。呪いの効果を上げるのは、重ね掛けだ。時間をかけて少しづつ魔力を込めることで支配力を上げてるみたいだ」
「莫大な魔力か。最近、聞いたことがあるな、その仕掛け。それがグランスラム帝国流なのか」
「そうなのかな。虎鉄たちの時は、1回に注ぎ込んだ魔力の倍率指定で解除できたけど、こっちは重ね掛けして効果を徐々に上げるタイプ。過去の積み重ね分の魔力が必要だから、すべてのを含めて打ち消すって普通の人なら無理なんだろうけど」
「普通の人族にはできんな、だが」
「鑑定の結果では数万程度の魔力が必要みたいだけ、僕なら全く問題ない」
「数万か」
「ティアマトでもできると思うけど、やる?」
「我は聖魔法の回復魔法は使えるが、祈祷はできん」
「そう、じゃあ、僕がやるね」
「ああ、どの程度時間がかかるのだ」
魔力を込め始めた、すぐに終わるかと思ったがなかなか魔力が入らない。
「魔力の通りが悪い。抵抗し始めたのかな。まあ数分あれば終わるよ」
「そうか、あちらに次の隊が出てきておるが、どうする。我が行こうか」
「え、もしかしてあれって地竜?」
「ああ、そなたの撃った光球に照らされた姿を見る限り間違いなかろう。5体の地竜を連れ来ていたのじゃな、昼間にはいなかったはずだが」
「まあ、ここに来るまでにはまだ時間かかりそうだね。それまでには解呪が終わるよ。あれにもイシスをぶつけるから、ティアマトが魔力を使う必要はないよ」
「ジルベール。抑えながらでも問題ないぞ。妾が水の中に居る時は無敵じゃ」
「そうなの。並行してできるならやってもらうか」
「わかったのじゃ。じゃあやるか。…… それ津波じゃ。それイケー」
「え、津波って。うわ、魔力が。さっきのブレスよりも多く減った」
川の水が急に高くなり10mの高さまで上がりそれが津波となって相手側の国境の壁を乗り越え相手の領地を襲う。もちろん地竜ごと流し去った。
津波には指向性があり、こちら側の国境には影響が無かった。
大丈夫そうだな、そう思ったときに僕が打ち上げた光球以外の光が見えた。
遠い。
どこだ?
国境の方だ。
その光は、一瞬だったが夕日が沈むときの同じぐらいの光の強さが飛び出してきた。
僕は、下に向かって話す。
「バーニィ、国境の方で何かが起きたみたいだ」
「ええ、ここからでも明るくなったのが解りましたが、国境ですか。まずいですね、ジルベール様は行ってください。ここは大丈夫です」
「ほんとに、大丈夫なの」
「どのみちジルベール様の攻撃魔法は強すぎます。油断すると隣の垣根を越えて行きそうですからここではあまり使いどころがありません。私が居れば十分です。行ってください」
「解った。だけど念のため。『バーニィに使用を許可する』バーニィ。神石を貸すよ、持ってるだけでも魔法の威力が上がるから。魔力が足りなくなったら神石から使って」
「わかりました」
「じゃあ、行くから。後で戻る」
僕は、すぐに国境へ転移した。
光ったのは外だったので、転移したのは川の上を選んだ。
まさに国の境だ。
転移をして目の前に見えた光景は、自領側の川べりに作られた壁が赤く燃えている情景だった。
慌てて何が起きたのか確認するため光球をいくつか作って打ち上げた。すると、反対側の領の川岸に巨大な竜が居るのが見えた。
さっきの光は竜のブレスだったらしい。
竜は、もう一度ブレスを吐こうと溜めをしているところだ。
「イシス、あれを止めろ」
僕は竜の前にイシスを完全体で召還した。
一瞬で完全体になったイシスは、ブレスに対応するために同じく水のブレスを吐きだす準備をする。
後だしにも関わらず、川の中に降臨したイシスは一瞬で準備を整え、相手のブレスに合わせて、水のブレスで相殺した。
水蒸気が立ち上り周りが見えなくなる。だが気配探知にも感じらえるまま。鑑定でその存在も解る。
「イシス、押さえて」
鑑定によると呪い状態で操られているようだ。とりあえず抑え込んでもう少し確認。
「これで良いのか」
竜は、ティアマトよりは大きいが、完全体のイシスの方が全長が大きいし、力も強いらしく竜を簡単に抑えた。
風魔法で水蒸気を吹き飛ばして竜の全身を確認するが見える場所に怪しい魔道具を見つけられない。
「イシス、ひっくり返せないかな」
「面倒な事を。ほれ、これで良いのか」
首に変な魔道具がある。鑑定で確認するとこれが呪いのアイテムだと表示された。確定だ。
つまりこれに祈祷を使って解呪すれば良い。
「ありがと、イシス。首にしている呪いの魔道具を壊せば良いみたいだ。それを壊すからそのまま押さえておいて」
「わかったのじゃ、面倒だからはやく終わらせるのじゃ」
解呪をしようとしていたら、この場に声をかける人がいた。
「ジルベールか、よく来てくれた」
ティアマトだった。
「ティアマト、無事だったんだね。皆はどう」
「ああ、無事だ。全員で結界を張ったから一撃目は防げた。2度目は難しかったから我が竜になるしか無いと思ったが。同族での戦いは禁止されている故、助かった。それで、そ奴をどうするのだ」
「呪いのアイテムが着けられているから、解呪するつもりだよ」
「できるのか? 竜を操れる魔道具など普通には存在せぬぞ。かなり高位の魔術具ではないのか。複雑な手順と時間が必要になるのではないか」
「いや、単純だよこれ。対抗の制約条件は、今まで使った魔力を上回れば解呪できる。呪いの効果を上げるのは、重ね掛けだ。時間をかけて少しづつ魔力を込めることで支配力を上げてるみたいだ」
「莫大な魔力か。最近、聞いたことがあるな、その仕掛け。それがグランスラム帝国流なのか」
「そうなのかな。虎鉄たちの時は、1回に注ぎ込んだ魔力の倍率指定で解除できたけど、こっちは重ね掛けして効果を徐々に上げるタイプ。過去の積み重ね分の魔力が必要だから、すべてのを含めて打ち消すって普通の人なら無理なんだろうけど」
「普通の人族にはできんな、だが」
「鑑定の結果では数万程度の魔力が必要みたいだけ、僕なら全く問題ない」
「数万か」
「ティアマトでもできると思うけど、やる?」
「我は聖魔法の回復魔法は使えるが、祈祷はできん」
「そう、じゃあ、僕がやるね」
「ああ、どの程度時間がかかるのだ」
魔力を込め始めた、すぐに終わるかと思ったがなかなか魔力が入らない。
「魔力の通りが悪い。抵抗し始めたのかな。まあ数分あれば終わるよ」
「そうか、あちらに次の隊が出てきておるが、どうする。我が行こうか」
「え、もしかしてあれって地竜?」
「ああ、そなたの撃った光球に照らされた姿を見る限り間違いなかろう。5体の地竜を連れ来ていたのじゃな、昼間にはいなかったはずだが」
「まあ、ここに来るまでにはまだ時間かかりそうだね。それまでには解呪が終わるよ。あれにもイシスをぶつけるから、ティアマトが魔力を使う必要はないよ」
「ジルベール。抑えながらでも問題ないぞ。妾が水の中に居る時は無敵じゃ」
「そうなの。並行してできるならやってもらうか」
「わかったのじゃ。じゃあやるか。…… それ津波じゃ。それイケー」
「え、津波って。うわ、魔力が。さっきのブレスよりも多く減った」
川の水が急に高くなり10mの高さまで上がりそれが津波となって相手側の国境の壁を乗り越え相手の領地を襲う。もちろん地竜ごと流し去った。
津波には指向性があり、こちら側の国境には影響が無かった。
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