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第5章 シドニア訪問編
5.10.10 シドニア学園攻防戦
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僕には、トルステン様に向かってルビースカリナ様が合格と言ったのが聞こえた。それを聞いて、これは、良い話じゃないかと思った。
トルステンに近い年齢の女性は彼を抑える自信がない。だから離れていた。だが、ルビースカリナ様ならちょっとエッチでやんちゃ坊主でも全く問題にならないのではないかと考えながら、目はずっとルビースカリナ様を追いかける。トルステン様が固まってしまったので、彼女は最後にコハクの前に移動して行った。
「聖女様。皆は、わたくしを守るために怪我をしました。ですから聖女様からの治療にわたくしとても感謝しています。」コハクに対してルビースカリナ様は丁寧だった。コハクは黙ったままうなずいた。さすがのルビースカリナ様も、コハクに対しては態度が違うようだ。彼女に対しては謙虚な話し方だ。どうやら、さすがのルビースカリナ様もあの治療の様子を見ていればそうなるようだ。
それはさておき、僕はトルステン様に近づいて話をした。
「トルステン様、ルビースカリナ様から合格と言われました。おそらく求婚の相手として認められたということです。チャンスです。」
「チャンス。なんのことだ」
「チャンスを物にするには時を読み違えてはいけません。そう、今なのです。トルステン様。今が一生で一番のモテ期です。男は度胸です」
そう言ってたきつけた。
「そうですぜ、トルステンの旦那。チャンスでござるよ。彼女はとびっきりの美人さんでござる。おそらくシドニア一の。いやこの大陸で一番の美女でござる。トルステンの旦那にふさわしいでござるよ」と、ステパンも波に乗った。
「ちょ、ちょっと待て、ほんとなのか。そんなこと言って、大丈夫なのか。ほんとに? 今までは爵位が近ければ相手にされない。侯爵家は断られるからだめだといってたじゃないか。それに、戦ったのはエ、もがもが」
途中で口をふさいだステパン。
「く、なんだいったい」
「トルステン様は、ルビースカリナ様のことをどう思っているんですか?」
「ルビースカリナ様、彼女は高嶺の花だ。あ、あんな綺麗な人、僕なんかに。もったいない。いや無理だろ。僕なんか相手にしてくれるわけがない、どう考えても」
ほう、ということはトルステン様は最初からルビースカリナ様のことを気に入っていたのか。
「ルビースカリナ様が今まで年下を考えていなかったから話が無かったとして、今は考慮すると言ってくれたのです。普通に考えれば、爵位的には問題ない。彼女が受け入れるのであればすべて問題なしです」
僕がそうすすめてみる。
「いや、だけどあの人は、すごい美人だぞ。スタイルも良いぞ。いやすごく良いぞ。絶対にシドニアで、いや世界で一番の美人だぞ。あの人が僕の…… あの人が僕の相手になるなら、最上の幸せだが。多少尻に敷かれても、憧れの人だし。いや、尻に敷いて欲しいぐらいで。だけど、僕が、ほんとに、…… いや、やっぱり無理だろ」
今までの経験がこの場に来て逆に足を引っ張る。
まあこの場でOKを貰わなくてもこれなら後で家同士で話しあえそうだ。だけどここであと一押しした方が上手くまとまる。何かないか?
…… 何か、ありそう。
…… 何だったか。
あ、あれがあった。
「トルステン様、もう一押しできるアイテムがあります。これを使いましょう。これがあれば絶対に大丈夫です。自信を持ってください」
そう言って、そっとトルステン様の右手に彼女の瞳と同じ色でできたルビーの指輪を渡した。
「これは」
「石を見つけた時に、なぜか買わなければならない気がしました。だけど理由はわかっていませんでしたが、運命に従って購入し、僕が加工して保存していた物です。聖魔法の結界を作る魔法陣を刻んだ守りの指輪。多分、国宝級です。これはきっとラキシス様から転生者に対する導き、特典なのでしょう。だからここでの告白は女神からの祝福があるでしょう。きっと成功します」
女神の名前まで使ったけど大丈夫かな、ちょっと不安は感じたが、まあ良いか。
「え、この色。これが守りの指輪。確かにこれは彼女の為に作られた物だ。なぜ君がこれを持っている」
「だからラキシス様の導きですよ。何か予感めいた何かを感じて僕が用意したのです。さあ、これでプロポーズを。一生に一度のチャンスです」
「君が僕の為にこれを譲ってくれるのか。いろいろあって嫌われていると思ったのに。君は良い奴だな。本当に。うん・・・ありがとう」
少し下を向いて考えているようだ。
「怖い。また断られるかも」
「大丈夫でござる、ふられてもいつも通りのことでござるよ。当たって砕けましょう」
「ステパン。そうか、そうだな、ふられてもいつも通りか。それに、ジルベールがそこまで言うのなら信じてみようかな」
そう言ってトルステン様はルビースカリナ様の前に移動し、片膝をついて僕から受け取った指輪を差し出した。
トルステンに近い年齢の女性は彼を抑える自信がない。だから離れていた。だが、ルビースカリナ様ならちょっとエッチでやんちゃ坊主でも全く問題にならないのではないかと考えながら、目はずっとルビースカリナ様を追いかける。トルステン様が固まってしまったので、彼女は最後にコハクの前に移動して行った。
「聖女様。皆は、わたくしを守るために怪我をしました。ですから聖女様からの治療にわたくしとても感謝しています。」コハクに対してルビースカリナ様は丁寧だった。コハクは黙ったままうなずいた。さすがのルビースカリナ様も、コハクに対しては態度が違うようだ。彼女に対しては謙虚な話し方だ。どうやら、さすがのルビースカリナ様もあの治療の様子を見ていればそうなるようだ。
それはさておき、僕はトルステン様に近づいて話をした。
「トルステン様、ルビースカリナ様から合格と言われました。おそらく求婚の相手として認められたということです。チャンスです。」
「チャンス。なんのことだ」
「チャンスを物にするには時を読み違えてはいけません。そう、今なのです。トルステン様。今が一生で一番のモテ期です。男は度胸です」
そう言ってたきつけた。
「そうですぜ、トルステンの旦那。チャンスでござるよ。彼女はとびっきりの美人さんでござる。おそらくシドニア一の。いやこの大陸で一番の美女でござる。トルステンの旦那にふさわしいでござるよ」と、ステパンも波に乗った。
「ちょ、ちょっと待て、ほんとなのか。そんなこと言って、大丈夫なのか。ほんとに? 今までは爵位が近ければ相手にされない。侯爵家は断られるからだめだといってたじゃないか。それに、戦ったのはエ、もがもが」
途中で口をふさいだステパン。
「く、なんだいったい」
「トルステン様は、ルビースカリナ様のことをどう思っているんですか?」
「ルビースカリナ様、彼女は高嶺の花だ。あ、あんな綺麗な人、僕なんかに。もったいない。いや無理だろ。僕なんか相手にしてくれるわけがない、どう考えても」
ほう、ということはトルステン様は最初からルビースカリナ様のことを気に入っていたのか。
「ルビースカリナ様が今まで年下を考えていなかったから話が無かったとして、今は考慮すると言ってくれたのです。普通に考えれば、爵位的には問題ない。彼女が受け入れるのであればすべて問題なしです」
僕がそうすすめてみる。
「いや、だけどあの人は、すごい美人だぞ。スタイルも良いぞ。いやすごく良いぞ。絶対にシドニアで、いや世界で一番の美人だぞ。あの人が僕の…… あの人が僕の相手になるなら、最上の幸せだが。多少尻に敷かれても、憧れの人だし。いや、尻に敷いて欲しいぐらいで。だけど、僕が、ほんとに、…… いや、やっぱり無理だろ」
今までの経験がこの場に来て逆に足を引っ張る。
まあこの場でOKを貰わなくてもこれなら後で家同士で話しあえそうだ。だけどここであと一押しした方が上手くまとまる。何かないか?
…… 何か、ありそう。
…… 何だったか。
あ、あれがあった。
「トルステン様、もう一押しできるアイテムがあります。これを使いましょう。これがあれば絶対に大丈夫です。自信を持ってください」
そう言って、そっとトルステン様の右手に彼女の瞳と同じ色でできたルビーの指輪を渡した。
「これは」
「石を見つけた時に、なぜか買わなければならない気がしました。だけど理由はわかっていませんでしたが、運命に従って購入し、僕が加工して保存していた物です。聖魔法の結界を作る魔法陣を刻んだ守りの指輪。多分、国宝級です。これはきっとラキシス様から転生者に対する導き、特典なのでしょう。だからここでの告白は女神からの祝福があるでしょう。きっと成功します」
女神の名前まで使ったけど大丈夫かな、ちょっと不安は感じたが、まあ良いか。
「え、この色。これが守りの指輪。確かにこれは彼女の為に作られた物だ。なぜ君がこれを持っている」
「だからラキシス様の導きですよ。何か予感めいた何かを感じて僕が用意したのです。さあ、これでプロポーズを。一生に一度のチャンスです」
「君が僕の為にこれを譲ってくれるのか。いろいろあって嫌われていると思ったのに。君は良い奴だな。本当に。うん・・・ありがとう」
少し下を向いて考えているようだ。
「怖い。また断られるかも」
「大丈夫でござる、ふられてもいつも通りのことでござるよ。当たって砕けましょう」
「ステパン。そうか、そうだな、ふられてもいつも通りか。それに、ジルベールがそこまで言うのなら信じてみようかな」
そう言ってトルステン様はルビースカリナ様の前に移動し、片膝をついて僕から受け取った指輪を差し出した。
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