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第5章 シドニア訪問編
5.10.6 シドニア学園攻防戦
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僕らは、安全を確認しながらエリンのいる方へ進んだ。
その近くに見知った学生が倒れていた。
「うわ、トルステン様。魔法以外に特別な能力は無いはずなのに。剣を持って周りの人よりも傷ついて。何してるこの人は」
鑑定で詳細を調べると体力値が限界だ。これはやばい、瀕死の重体じゃないか。
死者蘇生と言う魔法はあるが使うような状態で成功する確率も低い。放置はできない。
急いで致命傷の治療をする。
トルステン様をコハクと僕で治療を始めたが他にも倒れている学生が見える。そちらも血が流れトルステン様ほどでは無いが重体であることに違いはない。早く治療をして傷をふさがないとまずい。
「コハク、トルステン様の治療は僕がやるから他の学生を頼めるかな、出血を防がないと間に合わない状態になってしまう」
「そうですね。ところでジルベール様、幸いこれだけの精霊が集まっています。大規模な精霊魔法が行使可能です」
「え、精霊魔法。あれか。コハクの負担はないのか」
「精霊魔法を使えば全員を助けることができます。わたくし一人だけで魔力を負担すると大変ですが、ジルベール様の神石を貸してくだされば大丈夫です。実行しますか?」
「ああ、わかった。『コハクへの使用を許可する』 これを使って」
僕が女神に貰った神石は、自分しか使えない保護がかかっていた。だから僕以外は使えないと思っていたが、コハクからそういう種類の保護は本人が許可を出せば別の人が使えると教えて貰った。
神石は最初は木の杖に付けていたが竜王であるバハムート様との戦いで剣と魔法を総動員しなければならない時に杖と別けていた時に使えなかったので剣に付けていたこともある。
だが他の人に貸し出せると解ったので、この旅の前に腕輪に付け替え貸し出せるようにしたのだ。
コハクは、神石の腕輪を付け、先日と同じように舞を踊りながら歌い始めた。
精霊魔法は踊りや舞が始まってすぐに発動した。淡い光が治療が必要な部位に集まり、全員の怪我をした部位すべての治療が同時並行で始まった。
コハクの舞と歌は治療が終わるまで続く。コハクの舞は美しく、歌声も綺麗だ。
女神の降臨とは異なるが本当の女神を見たことがなければこれこそが女神だと思えるだろう。そんな光景が続いた。
どうやらこのエリアにいる治療を必要とする者は敵も含めて50名前後いたようだ。
軽い怪我だった者はコハクが舞っている最中に目を覚ましたので、彼女の姿を見ている。ボーと焦点が合っているのかあっていないのかと言う状態でコハクを見ている。
治療が上手くいっていないのかと思って鑑定で見てみたが治療済みだった。
ただ、彼女を見ているだけのようだ、そのまま夢だと思ってくれると良いのだが。
始まりから終わるまでは10分ほどだったろうか。前回ロマーニャ様を治療したよりもかなり長い時間だった。
トルステン様の治療は僕の回復魔法と精霊魔法の効果で一気に治った。
トルステン様から手を放し立ち上がる。そこにエイミーが神具を拾って僕のところに持って来た。
危険なので、僕は手に取らずそのままストレージにしまう。
「エイミー、犯人たちの治療も終わったみたいだ。コハクに見惚れてボーとしているうちに縛って」
「えっと、犯人って?」
「うーん、あの辺の人だけど。とりあえず、制服を着てない人は縛って」
「はーい」
「あ、騎士服着てる人は学園の護衛だよ」
「はいはい、わかってまーす」
「エイミーその方は学園の護衛だ。シドニアの制服ぐらい覚えておけ」
「トシアキは細かいなー。コハクちゃんの近くに行きそうだったから捕まえおけば良いんだよ」
「なるほど。この目をみると、そうかもな。じゃあ、この学生の足も縛っとくか」
エイミーとトシアキは、学生は足を、他は足と胴回りの2か所を縛って行った。
縛られていないのはトルステン様とステパン様以外だった。
治療が終わって、最初に立ち上がったのはステパンだった。
さすが剣帝か。
精神力も体力もけた違いだ。もっとも倒されても、致命傷を負わないようにしていたのかもしれない。
彼は誰かを探してきょろきょろと。そして目当ての人物を見つけて駆け寄ってきた。
「トルステン様、大丈夫でござるか」
ステパンがトルステンの横に来て、トルステンを抱きしめる。ではなく、まだ目を開けていないトルステン様のほおを叩いた。
え? いきなりそれ!?
「ステパン殿、トルステン様の怪我は治したけど、それじゃあ刺激が強すぎる。彼はさっきまで死にかけてたんだ」
と突っ込みを入れるが、再び叩いた。
「痛、痛いわ。何度も叩くなバカ」
「ああ、良かった。良かったでござる。あんな無茶をするとはなんて、ほんとに馬鹿でござるよ。ここは、あなたが主人公の物語では無いのでござるよ」
もしかしたらステパンはトルステンが転生者と言うことを知っているのか?
「ステパン、彼女たちはどうなった」
「さあ、トシアキ殿が来たのを確認して倒れやしたから。でもジルベール様が治療してくれたと言うことは勝ったんじゃないですかい」
トルステン様は、周りを見渡した。
「ああ、そうみたいだな。二人とも無事だ。良かった」
その近くに見知った学生が倒れていた。
「うわ、トルステン様。魔法以外に特別な能力は無いはずなのに。剣を持って周りの人よりも傷ついて。何してるこの人は」
鑑定で詳細を調べると体力値が限界だ。これはやばい、瀕死の重体じゃないか。
死者蘇生と言う魔法はあるが使うような状態で成功する確率も低い。放置はできない。
急いで致命傷の治療をする。
トルステン様をコハクと僕で治療を始めたが他にも倒れている学生が見える。そちらも血が流れトルステン様ほどでは無いが重体であることに違いはない。早く治療をして傷をふさがないとまずい。
「コハク、トルステン様の治療は僕がやるから他の学生を頼めるかな、出血を防がないと間に合わない状態になってしまう」
「そうですね。ところでジルベール様、幸いこれだけの精霊が集まっています。大規模な精霊魔法が行使可能です」
「え、精霊魔法。あれか。コハクの負担はないのか」
「精霊魔法を使えば全員を助けることができます。わたくし一人だけで魔力を負担すると大変ですが、ジルベール様の神石を貸してくだされば大丈夫です。実行しますか?」
「ああ、わかった。『コハクへの使用を許可する』 これを使って」
僕が女神に貰った神石は、自分しか使えない保護がかかっていた。だから僕以外は使えないと思っていたが、コハクからそういう種類の保護は本人が許可を出せば別の人が使えると教えて貰った。
神石は最初は木の杖に付けていたが竜王であるバハムート様との戦いで剣と魔法を総動員しなければならない時に杖と別けていた時に使えなかったので剣に付けていたこともある。
だが他の人に貸し出せると解ったので、この旅の前に腕輪に付け替え貸し出せるようにしたのだ。
コハクは、神石の腕輪を付け、先日と同じように舞を踊りながら歌い始めた。
精霊魔法は踊りや舞が始まってすぐに発動した。淡い光が治療が必要な部位に集まり、全員の怪我をした部位すべての治療が同時並行で始まった。
コハクの舞と歌は治療が終わるまで続く。コハクの舞は美しく、歌声も綺麗だ。
女神の降臨とは異なるが本当の女神を見たことがなければこれこそが女神だと思えるだろう。そんな光景が続いた。
どうやらこのエリアにいる治療を必要とする者は敵も含めて50名前後いたようだ。
軽い怪我だった者はコハクが舞っている最中に目を覚ましたので、彼女の姿を見ている。ボーと焦点が合っているのかあっていないのかと言う状態でコハクを見ている。
治療が上手くいっていないのかと思って鑑定で見てみたが治療済みだった。
ただ、彼女を見ているだけのようだ、そのまま夢だと思ってくれると良いのだが。
始まりから終わるまでは10分ほどだったろうか。前回ロマーニャ様を治療したよりもかなり長い時間だった。
トルステン様の治療は僕の回復魔法と精霊魔法の効果で一気に治った。
トルステン様から手を放し立ち上がる。そこにエイミーが神具を拾って僕のところに持って来た。
危険なので、僕は手に取らずそのままストレージにしまう。
「エイミー、犯人たちの治療も終わったみたいだ。コハクに見惚れてボーとしているうちに縛って」
「えっと、犯人って?」
「うーん、あの辺の人だけど。とりあえず、制服を着てない人は縛って」
「はーい」
「あ、騎士服着てる人は学園の護衛だよ」
「はいはい、わかってまーす」
「エイミーその方は学園の護衛だ。シドニアの制服ぐらい覚えておけ」
「トシアキは細かいなー。コハクちゃんの近くに行きそうだったから捕まえおけば良いんだよ」
「なるほど。この目をみると、そうかもな。じゃあ、この学生の足も縛っとくか」
エイミーとトシアキは、学生は足を、他は足と胴回りの2か所を縛って行った。
縛られていないのはトルステン様とステパン様以外だった。
治療が終わって、最初に立ち上がったのはステパンだった。
さすが剣帝か。
精神力も体力もけた違いだ。もっとも倒されても、致命傷を負わないようにしていたのかもしれない。
彼は誰かを探してきょろきょろと。そして目当ての人物を見つけて駆け寄ってきた。
「トルステン様、大丈夫でござるか」
ステパンがトルステンの横に来て、トルステンを抱きしめる。ではなく、まだ目を開けていないトルステン様のほおを叩いた。
え? いきなりそれ!?
「ステパン殿、トルステン様の怪我は治したけど、それじゃあ刺激が強すぎる。彼はさっきまで死にかけてたんだ」
と突っ込みを入れるが、再び叩いた。
「痛、痛いわ。何度も叩くなバカ」
「ああ、良かった。良かったでござる。あんな無茶をするとはなんて、ほんとに馬鹿でござるよ。ここは、あなたが主人公の物語では無いのでござるよ」
もしかしたらステパンはトルステンが転生者と言うことを知っているのか?
「ステパン、彼女たちはどうなった」
「さあ、トシアキ殿が来たのを確認して倒れやしたから。でもジルベール様が治療してくれたと言うことは勝ったんじゃないですかい」
トルステン様は、周りを見渡した。
「ああ、そうみたいだな。二人とも無事だ。良かった」
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