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第5章 シドニア訪問編
5.10.3 シドニア学園攻防戦
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「マリア、聞いた通りコハクを連れて行く。マリアは病院の見学が予定されていたと思うけど、まず仮面をつけること。それと当初の予定通り診断以外は禁止。絶対に治療魔法を使わないようにね。幼い時の治療魔法は体への負担が大きい。マリアは僕同様頑張れば欠損すら治療できるかもしれないけど、危険なんだ。だめだよ」
「へー、そうなんだ。レイブリングさんの部位欠損を治療した時って、ジルちゃんは10歳の誕生日前だったよね。マリアテレーズ様は8歳?」
「女神さまから、10歳までは大きな回復魔法を使わないようにと言われてたんだ。だから大きな回復魔法を使ったのはレイブリングさんぐらい」
「僕の怪我もたいがいだったと思うけど、シシリーは死ぬと思ったと言ってたし」
「ああ、エイミーが重篤化したのは呪いせいだよ」
「そうなの?」
「そう、祈祷で呪いを解除したから治ったの」
「そっか、シシリーでは治せない種類だったのか」
「と言うことでマリア、まだ治療は禁止。数日までは僕とコハクは帰ってくるから延命させれば良いんだ。マリアが頑張る必要は無いからね」
「はい」
「どうしてもダメだと思ったらティアマトを頼るように」
「うん、まあ同朋の気配も無いし、いざと言うときは頼まれやろう」
「では、お願いします」
「ジル様、お気をつけて。コハク様、ジル様をお願いします」
僕はマリアを残して、コハクと一緒に外に出た。
転移するのだから建物の中からでも良かったのだけど、雰囲気だ。
「では、エイミー、トシアキ、コハク、事前に聞いていると思うけど、今からシドニアの王都へ転移する。王都で、いや、おそらくは学園で何かが起きる。どうやらその事件に巻き込まれエリンとルビースカリナ様が捕まるらしい」
「その子達を助け出せば良いのね。了解、ジルちゃん」
「どのような手筈になっているか確認しても?」
エイミーはいつも通り深く考えずに返事をし、トシアキはある程度僕の行動を予測しているので改めて質問することはあまりない。
いつも一緒に行動をしないコハクが疑問に思うのは当然だろう。
「直接学園に行くといきなり敵と交戦している真っただ中に転移する可能性があるから、安全を期してまずは王城に転移する。そして王城の兵士に情報があるか尋ねる。まだ何もおきていなければシドニアの国王に貰った書状を使って兵力を集めてから学園に行くつもりだ」
「わかりました」
「じゃあ、手を掴んで。飛ぶよ」
急に景色が変わり目の前にシドニアの王城入り口の門が見えた。
門の外では無く内側に飛んだ。空間魔法はレベル9になり行きたい場所へ転移できるようになったのだ。
ティアマトは、範囲指定で移動できるが、僕はまだ手を繋いだ対象だけが移動できる。
門番に状況を聞こうと思ったがすでに周りがあわただしい。
多くの兵士が門から出るところだった。つまり、もう事件が起きているのだ。すでに兵が出発しているので書状で兵を集まる必要は無かった。
目的に事件と同一なのか確かめるために近場で走っていた兵士を一人を捕まえて何が起きたのか尋ねた。
「学園に賊が侵入したそうです。学園に駐在している兵士がいますし、ステパン殿も居るので学生は大丈夫でしょうが多くの貴族の子供たちが居るところですから、急ぎ応援に向かうところです」
「どうしますかジルベール様」
「エイミーとトシアキはタロウに乗って。コハク行くよ」
コハクは、声をかけられた直後に銀狼に変身した。
エイミーの影に潜んでいた太郎がそこから飛び出し、トシアキとエイミーが背中に乗る。
エイミーはいつものことだが、いつもと違ってトシアキまで背中に乗ったのでタロウが不思議な感じで背を見ようとする。
「太郎、緊急事態だ、トシアキも乗せてやって。全速力で移動するからコハクに遅れないように」
「ワオン」
遅れるわけがないと言う顔で吠えた。
僕らは、学園に向けて一気に駆け抜ける。
さすが2頭の全速力は早い。風のような速さであっと言う間に学園に到着した。
僕はコハクから降りてびっくりした顔の門番らしき人物に質問した。
「どうなっている」
「あ、ラルクバッハの。そう、ジルベール様でしたね」
どうやら、門に居た兵士は兵士の割に剣を持っていない。良く見ると右腕は怪我をしている。怪我をしたので門まで来たのか。
「そうだ」
どうやら僕の顔を見たことがある兵士だったようだ。
「賊は10名を超えてます。もっと多い。ステパン様が応戦してくれてますので賊はまだ逃げ出せず。中にいます」
「中で戦いが継続しているのか、学生は無事なのか」
声をかけながら右腕の怪我を回復魔法で治療しておく。
「数名の学生が人質になってます。その、中では魔法が使えません。身体強化もできないのです。気を付けてください」
魔法が使えない?
魔法禁止は設置型の魔道具だ。学園にもあるが、そんなに広範囲に作用しないはずだ。
「妙な感じ、気配がします」
コハクが人型に戻り僕に話しかけてきた。
『ジルベール、これはまずい。近づかない方が良い』
念話でイシスが話しかけて来た。
「中はどうも普通とは違うみたいだ。イシス様も警告してる。慎重に進もう」
「へー、そうなんだ。レイブリングさんの部位欠損を治療した時って、ジルちゃんは10歳の誕生日前だったよね。マリアテレーズ様は8歳?」
「女神さまから、10歳までは大きな回復魔法を使わないようにと言われてたんだ。だから大きな回復魔法を使ったのはレイブリングさんぐらい」
「僕の怪我もたいがいだったと思うけど、シシリーは死ぬと思ったと言ってたし」
「ああ、エイミーが重篤化したのは呪いせいだよ」
「そうなの?」
「そう、祈祷で呪いを解除したから治ったの」
「そっか、シシリーでは治せない種類だったのか」
「と言うことでマリア、まだ治療は禁止。数日までは僕とコハクは帰ってくるから延命させれば良いんだ。マリアが頑張る必要は無いからね」
「はい」
「どうしてもダメだと思ったらティアマトを頼るように」
「うん、まあ同朋の気配も無いし、いざと言うときは頼まれやろう」
「では、お願いします」
「ジル様、お気をつけて。コハク様、ジル様をお願いします」
僕はマリアを残して、コハクと一緒に外に出た。
転移するのだから建物の中からでも良かったのだけど、雰囲気だ。
「では、エイミー、トシアキ、コハク、事前に聞いていると思うけど、今からシドニアの王都へ転移する。王都で、いや、おそらくは学園で何かが起きる。どうやらその事件に巻き込まれエリンとルビースカリナ様が捕まるらしい」
「その子達を助け出せば良いのね。了解、ジルちゃん」
「どのような手筈になっているか確認しても?」
エイミーはいつも通り深く考えずに返事をし、トシアキはある程度僕の行動を予測しているので改めて質問することはあまりない。
いつも一緒に行動をしないコハクが疑問に思うのは当然だろう。
「直接学園に行くといきなり敵と交戦している真っただ中に転移する可能性があるから、安全を期してまずは王城に転移する。そして王城の兵士に情報があるか尋ねる。まだ何もおきていなければシドニアの国王に貰った書状を使って兵力を集めてから学園に行くつもりだ」
「わかりました」
「じゃあ、手を掴んで。飛ぶよ」
急に景色が変わり目の前にシドニアの王城入り口の門が見えた。
門の外では無く内側に飛んだ。空間魔法はレベル9になり行きたい場所へ転移できるようになったのだ。
ティアマトは、範囲指定で移動できるが、僕はまだ手を繋いだ対象だけが移動できる。
門番に状況を聞こうと思ったがすでに周りがあわただしい。
多くの兵士が門から出るところだった。つまり、もう事件が起きているのだ。すでに兵が出発しているので書状で兵を集まる必要は無かった。
目的に事件と同一なのか確かめるために近場で走っていた兵士を一人を捕まえて何が起きたのか尋ねた。
「学園に賊が侵入したそうです。学園に駐在している兵士がいますし、ステパン殿も居るので学生は大丈夫でしょうが多くの貴族の子供たちが居るところですから、急ぎ応援に向かうところです」
「どうしますかジルベール様」
「エイミーとトシアキはタロウに乗って。コハク行くよ」
コハクは、声をかけられた直後に銀狼に変身した。
エイミーの影に潜んでいた太郎がそこから飛び出し、トシアキとエイミーが背中に乗る。
エイミーはいつものことだが、いつもと違ってトシアキまで背中に乗ったのでタロウが不思議な感じで背を見ようとする。
「太郎、緊急事態だ、トシアキも乗せてやって。全速力で移動するからコハクに遅れないように」
「ワオン」
遅れるわけがないと言う顔で吠えた。
僕らは、学園に向けて一気に駆け抜ける。
さすが2頭の全速力は早い。風のような速さであっと言う間に学園に到着した。
僕はコハクから降りてびっくりした顔の門番らしき人物に質問した。
「どうなっている」
「あ、ラルクバッハの。そう、ジルベール様でしたね」
どうやら、門に居た兵士は兵士の割に剣を持っていない。良く見ると右腕は怪我をしている。怪我をしたので門まで来たのか。
「そうだ」
どうやら僕の顔を見たことがある兵士だったようだ。
「賊は10名を超えてます。もっと多い。ステパン様が応戦してくれてますので賊はまだ逃げ出せず。中にいます」
「中で戦いが継続しているのか、学生は無事なのか」
声をかけながら右腕の怪我を回復魔法で治療しておく。
「数名の学生が人質になってます。その、中では魔法が使えません。身体強化もできないのです。気を付けてください」
魔法が使えない?
魔法禁止は設置型の魔道具だ。学園にもあるが、そんなに広範囲に作用しないはずだ。
「妙な感じ、気配がします」
コハクが人型に戻り僕に話しかけてきた。
『ジルベール、これはまずい。近づかない方が良い』
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