260 / 532
第4章 10歳王都編
4.4.1 メリルディーナ領への移動
しおりを挟む
王都に隣接するメリルディーナ領を見て回りたかったので、大回りのコースを通りメリルディーナ領を通ってから王都を目指すコースを進む。
ここブルンスワードから王都に向かうには、バディアワード領かメリルディーナ領のどちらかを通らなければ侵入できない。
二つの領都に向かう道は綺麗だ。僕らは途中まではこの道を進む。
バディアワード領は、おじいさまの兄が受け継いだある意味で直系の土地だ。クロスロードとは同じカルスディーナ領でも端と端。バディアワード領は王都の隣にある一等地。
それに比べてクロスロードは田舎の田舎。さらにおじいさまが亡くなってから早10年以上。その為なのか、あまり付き合いはない。
僕らは道沿いに進む間は順調だった。そうして大きな分岐点にきた。ここまではずっと大きな道だった。数時間おきに町があり、休憩もできるし、宿屋に泊まる事もできる。野営がないとかなり楽に進むことができる。
「東に進むと王家が管理する鉱山になります。
犯罪者の牢獄にもなっていますし頻繁に大型の荷馬車が通るので道幅も大きいのです。
ですが、一般の我々は奥まで進むことはできません」
「奥まで?」
「はい、途中までは行けるのです。
牢獄の手前に死の沼があります。
観光地になっていますのでそこにはいくことができますが、あくまで観光です。
沼に着いたらそれ以上は進めません。
沼の上にある崖の縁にそって進めます」
「死の沼か、どのくらいかかるの?」
「淵までなら1日です。
ですが本当に何もありませんよ」
「わかった。じゃあ、出発」
死の沼に向けて出発した。
そこからは、ずっとなだらかな登り坂だった。
道は、王家が管理する鉱山があるため、それほどひどくなかった。
途中で一晩野営が必要だったが、難なく進むことができた。分岐からちょうど1日進んだところに死の沼が広がっていた。
立っている所が沼の淵。僕らのいる下は谷で、1kmほどの沼があり、その先は山。その大きな沼には植物が一切なく、魚もいそうに無い。
下の沼まで高低差が100m程。
どうやら水の抜け穴が無く、かつて海だった時に存在した塩がそのまま残されている塩湖のようだ。
冬には雪が積もり、春に溶けて一面が湖になる。その時期が最も水位が高くなる。夏から徐々に水がなくなり冬の現在が最も水位が低い。
沼はただの塩では無い。鉄分が多いのか、真っ赤な水だ。そのため水深も不明だ。
観光地というだけあり綺麗ではあるが、何もない。周りは切り立った岩山に囲まれ、本当に何もないのだ。生き物の気配がないので不気味なほど静かだ。
沼に降りれば鉄分と塩が多い泥が取れる。だが、この高低差で降りて泥を引き上げるのは大変そうだ。
崖は全方向にあり、すべてが切り立っている。泥を採取する人がいないのは大変だからだろう。恐らく足場も塩が強く作業場が作れないかもしれない。
「僕は重力魔法で降りれるけど、エイミー、降りたい?」
「えー、上から見ると綺麗だけどさすがに足を踏み入れる勇気はないよ」
「そう、じゃあ、とりあえず降りてマイストレージに入れるだけ入れてくるよ。
後で献上用のアイテムボックスを作る予定だから中に入れて王家に献上すれば良いよね」
「そうですね。貴重な塩や鉄がたくさん含まれているはずです」
「じゃあ、降りるか。ティアマトはどうする?」
「ああ、私も行こう。せっかくだから私もストレージに入れておこう」
僕らは二人で降りて、マイストレージに収納した。
ストレージの中に入れると、水分と鉄分などの固形物は分離できた。
ただ、水分に溶けている塩やミネラル成分は分離することはできなかった。
同じように固形物も、鉄などの鉱物別に分ける事はできなかった。ティアマトは分別に興味が無いからか、分離はできないと言っていた。
この地での夜の野営では星が綺麗だった。
夜に沼を見たら、生物がいないと思っていたが、巨大なスライムがプヨプヨと浮いていた。どうやら夜行性らしい。
他にもなんらかの生物が存在するようだ。死の沼といえども何か住める生物がいるらしい。とても驚いたが、距離が離れすぎているし暗かったのでどんな生物がいるのかまではわからなかった。
「この辺りの魔物の反応はとても小さい。
その代わりなのか、沼から離れると魔力の濃い部分がいくつかある。
ここから離れると強い魔物がでる可能性が高い。
明日からは気を付けた方が良い」
その後の道は、王家の鉱山に行く道からも外れてしまったのでとても凸凹した道だったそのまま馬車が進むと車輪が壊れそうだったので途中で馬車をあきらめ、馬車をマイストレージに格納し、馬に分担して乗っての移動となった。
「バーニー、こういう時こそ腕の見せ所だったのに」
エイミーがレティーシアを乗せて、オメガさんがバーニィを乗せている。
トシアキが馬術が一番うまいのだが、エイミーとトシアキの両方の護衛が動けないのは良くないと、そういう配置になった。
エイミーは、この時は太郎には載っていない。さすがに太郎にレティーシアを乗せる事は避けた。
ここブルンスワードから王都に向かうには、バディアワード領かメリルディーナ領のどちらかを通らなければ侵入できない。
二つの領都に向かう道は綺麗だ。僕らは途中まではこの道を進む。
バディアワード領は、おじいさまの兄が受け継いだある意味で直系の土地だ。クロスロードとは同じカルスディーナ領でも端と端。バディアワード領は王都の隣にある一等地。
それに比べてクロスロードは田舎の田舎。さらにおじいさまが亡くなってから早10年以上。その為なのか、あまり付き合いはない。
僕らは道沿いに進む間は順調だった。そうして大きな分岐点にきた。ここまではずっと大きな道だった。数時間おきに町があり、休憩もできるし、宿屋に泊まる事もできる。野営がないとかなり楽に進むことができる。
「東に進むと王家が管理する鉱山になります。
犯罪者の牢獄にもなっていますし頻繁に大型の荷馬車が通るので道幅も大きいのです。
ですが、一般の我々は奥まで進むことはできません」
「奥まで?」
「はい、途中までは行けるのです。
牢獄の手前に死の沼があります。
観光地になっていますのでそこにはいくことができますが、あくまで観光です。
沼に着いたらそれ以上は進めません。
沼の上にある崖の縁にそって進めます」
「死の沼か、どのくらいかかるの?」
「淵までなら1日です。
ですが本当に何もありませんよ」
「わかった。じゃあ、出発」
死の沼に向けて出発した。
そこからは、ずっとなだらかな登り坂だった。
道は、王家が管理する鉱山があるため、それほどひどくなかった。
途中で一晩野営が必要だったが、難なく進むことができた。分岐からちょうど1日進んだところに死の沼が広がっていた。
立っている所が沼の淵。僕らのいる下は谷で、1kmほどの沼があり、その先は山。その大きな沼には植物が一切なく、魚もいそうに無い。
下の沼まで高低差が100m程。
どうやら水の抜け穴が無く、かつて海だった時に存在した塩がそのまま残されている塩湖のようだ。
冬には雪が積もり、春に溶けて一面が湖になる。その時期が最も水位が高くなる。夏から徐々に水がなくなり冬の現在が最も水位が低い。
沼はただの塩では無い。鉄分が多いのか、真っ赤な水だ。そのため水深も不明だ。
観光地というだけあり綺麗ではあるが、何もない。周りは切り立った岩山に囲まれ、本当に何もないのだ。生き物の気配がないので不気味なほど静かだ。
沼に降りれば鉄分と塩が多い泥が取れる。だが、この高低差で降りて泥を引き上げるのは大変そうだ。
崖は全方向にあり、すべてが切り立っている。泥を採取する人がいないのは大変だからだろう。恐らく足場も塩が強く作業場が作れないかもしれない。
「僕は重力魔法で降りれるけど、エイミー、降りたい?」
「えー、上から見ると綺麗だけどさすがに足を踏み入れる勇気はないよ」
「そう、じゃあ、とりあえず降りてマイストレージに入れるだけ入れてくるよ。
後で献上用のアイテムボックスを作る予定だから中に入れて王家に献上すれば良いよね」
「そうですね。貴重な塩や鉄がたくさん含まれているはずです」
「じゃあ、降りるか。ティアマトはどうする?」
「ああ、私も行こう。せっかくだから私もストレージに入れておこう」
僕らは二人で降りて、マイストレージに収納した。
ストレージの中に入れると、水分と鉄分などの固形物は分離できた。
ただ、水分に溶けている塩やミネラル成分は分離することはできなかった。
同じように固形物も、鉄などの鉱物別に分ける事はできなかった。ティアマトは分別に興味が無いからか、分離はできないと言っていた。
この地での夜の野営では星が綺麗だった。
夜に沼を見たら、生物がいないと思っていたが、巨大なスライムがプヨプヨと浮いていた。どうやら夜行性らしい。
他にもなんらかの生物が存在するようだ。死の沼といえども何か住める生物がいるらしい。とても驚いたが、距離が離れすぎているし暗かったのでどんな生物がいるのかまではわからなかった。
「この辺りの魔物の反応はとても小さい。
その代わりなのか、沼から離れると魔力の濃い部分がいくつかある。
ここから離れると強い魔物がでる可能性が高い。
明日からは気を付けた方が良い」
その後の道は、王家の鉱山に行く道からも外れてしまったのでとても凸凹した道だったそのまま馬車が進むと車輪が壊れそうだったので途中で馬車をあきらめ、馬車をマイストレージに格納し、馬に分担して乗っての移動となった。
「バーニー、こういう時こそ腕の見せ所だったのに」
エイミーがレティーシアを乗せて、オメガさんがバーニィを乗せている。
トシアキが馬術が一番うまいのだが、エイミーとトシアキの両方の護衛が動けないのは良くないと、そういう配置になった。
エイミーは、この時は太郎には載っていない。さすがに太郎にレティーシアを乗せる事は避けた。
12
お気に入りに追加
2,425
あなたにおすすめの小説
【完結】白い結婚で生まれた私は王族にはなりません〜光の精霊王と予言の王女〜
白崎りか
ファンタジー
「悪女オリヴィア! 白い結婚を神官が証明した。婚姻は無効だ! 私は愛するフローラを王妃にする!」
即位したばかりの国王が、宣言した。
真実の愛で結ばれた王とその恋人は、永遠の愛を誓いあう。
だが、そこには大きな秘密があった。
王に命じられた神官は、白い結婚を偽証していた。
この時、悪女オリヴィアは娘を身ごもっていたのだ。
そして、光の精霊王の契約者となる予言の王女を産むことになる。
第一部 貴族学園編
私の名前はレティシア。
政略結婚した王と元王妃の間にできた娘なのだけど、私の存在は、生まれる前に消された。
だから、いとこの双子の姉ってことになってる。
この世界の貴族は、5歳になったら貴族学園に通わないといけない。私と弟は、そこで、契約獣を得るためのハードな訓練をしている。
私の異母弟にも会った。彼は私に、「目玉をよこせ」なんて言う、わがままな王子だった。
第二部 魔法学校編
失ってしまったかけがえのない人。
復讐のために精霊王と契約する。
魔法学校で再会した貴族学園時代の同級生。
毒薬を送った犯人を捜すために、パーティに出席する。
修行を続け、勇者の遺産を手にいれる。
前半は、ほのぼのゆっくり進みます。
後半は、どろどろさくさくです。
小説家になろう様にも投稿してます。
【完結】公爵家の末っ子娘は嘲笑う
たくみ
ファンタジー
圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。
アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。
ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?
それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。
自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。
このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。
それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。
※小説家になろうさんで投稿始めました
強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
聖女の力を隠して塩対応していたら追放されたので冒険者になろうと思います
登龍乃月
ファンタジー
「フィリア! お前のような卑怯な女はいらん! 即刻国から出てゆくがいい!」
「え? いいんですか?」
聖女候補の一人である私、フィリアは王国の皇太子の嫁候補の一人でもあった。
聖女となった者が皇太子の妻となる。
そんな話が持ち上がり、私が嫁兼聖女候補に入ったと知らされた時は絶望だった。
皇太子はデブだし臭いし歯磨きもしない見てくれ最悪のニキビ顔、性格は傲慢でわがまま厚顔無恥の最悪を極める、そのくせプライド高いナルシスト。
私の一番嫌いなタイプだった。
ある日聖女の力に目覚めてしまった私、しかし皇太子の嫁になるなんて死んでも嫌だったので一生懸命その力を隠し、皇太子から嫌われるよう塩対応を続けていた。
そんなある日、冤罪をかけられた私はなんと国外追放。
やった!
これで最悪な責務から解放された!
隣の国に流れ着いた私はたまたま出会った冒険者バルトにスカウトされ、冒険者として新たな人生のスタートを切る事になった。
そして真の聖女たるフィリアが消えたことにより、彼女が無自覚に張っていた退魔の結界が消え、皇太子や城に様々な災厄が降りかかっていくのであった。
巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!
あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!?
資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。
そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。
どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。
「私、ガンバる!」
だったら私は帰してもらえない?ダメ?
聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。
スローライフまでは到達しなかったよ……。
緩いざまああり。
注意
いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる