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第4章 10歳王都編

4.1.5 ブルンスワードへの移動

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バンガロール子爵のステータスは一般的な貴族よりも高い値ではあるが、オメガさんと比べても数値が全般的に低い。
交渉術と地脈発見のスキルがあまり見ないスキルかもしれない。
「それで、理由は何ですか」
「ふう、まいったな。
何から話すべきか」

 バンガロール子爵が領地を引き継いだのは5年前。前世の記憶を思い出したのは10年前で、25を過ぎてかららしい。
 その頃には領地をサポートする仕事を任せられていて、領内を回って地脈を探したそうだ。そうして小さいながらも鉄の鉱脈を見つけ細々と掘った。

 だが、運悪く鉛も掘り起こしたらしい。
 気が付いたら薬草の生える湖に大量の鉛が流れた後。
 健康被害がでる可能性を考えて薬草の取引を停止させ、わずかに取れた鉄は領内の農機具作成に回したそうだ。

「イシス、湖から鉛を回収する方法がわかるか?」
 水については良く知っているだろうと妖精体として呼び出して尋ねた。
「鉛が良くは解らぬが、毒を取り出したり金属を別ける方法は知っておる」

「さすが、イシスだ。
戻って湖を綺麗にしよう。
薬草は、鑑定結果でも影響は出ていなかったから大丈夫だろう」

 転移用の板を置いてあったので自分だけで転移することにしたのだが。
「だめです。一人での移動は禁止です。
せめてエイミーを連れて行ってください」
「え、移動の魔力が余計にかかるのに」
「ジルベール様の魔力が無くなることが無ければお一人で戻ってこられるのでしょう。
だから危険は無いという言い分は理解できますが、魔力を全て使わないと断言できるのですか。トンネルを掘っているときに聖獣をお使いでしたが、すべて使い切ってしまったことがありましたよね」
 聖獣からの攻撃をすると、どうも自分の魔力と違い加減が効かないのだ。勝手に引っ張り出される魔力の調整が難しくて2度ほど使い切ってしまったのは事実だ。
「はあ、わかったから。
エイミーとコハクを連れていくよ」

 結局二人を連れて湖に転移。
 イシスを聖獣に戻すと湖の中に潜っていった。

 そして、30分ほど経った時に湖から頭を出した。
 そして、プップップと何かの粒を吐き出した。

 最初に吐き出したのが、金属の大きな桶。
 次にそこに向かって黒い液体。
最後にドーンとゴミ。
「わかっているだろうが、黒い液体が生物に害のある毒物だ。
桶にしたものが水に溶けていたもの、水底にたまっていた金属だ。
最後の塊はよくわからんが大きな物体を拾っておいた。
これでここは綺麗になったはずじゃ。
もう一つに移動するのじゃろ。
我はその水路を使って昇つもりだ、ゆっくりと付いてくるが良いぞ」
そういって、イシスは一人で上流側へと進んでいった。
僕は、良くわからない物体を含めてマイストレージにしまい込み、イシスを追いかけた。
 上流に着くと、イシスは底に沈んでいった。先ほどよりも小さいので、それほど時間はかからなかった。
だが、金属はさっきよりも大きかったが、毒は少なかった。
ゴミは、明らかに昔の小舟と思われる物が5艘もあった。
ちょっと多すぎる気がする。
それらを回収して、すぐに子爵家に戻った。

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