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第2章 幼少期

2.8.3 5歳ごろ

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 エレノア、ニナシスティと一緒に住み始めてから、夜も一緒に過ごすので3人で遊ぶ時間がある。

 僕は、ニナシスティが起きている時間には絵本を読んであげる。

 まだ2歳のニナシスティにはすべての言葉の意味がわかっていないかもしれない。

 でもたくさんのお話を聞かせている影響か、ニナシスティは日々言葉が達者になっていく。
 ものすごい勢いで成長しているのがよくわかる。
 小さい子の成長は面白い。
 もともと女の子の口は達者と言うが、それが実感できる。
 ただエレノアは割と無口で、必要の無いおしゃべりはしない。
 ニナシスティは、必要ではないことしかないが、とにかく一所懸命しゃべる。
 二人で聞いてあげると喜んでしゃべるのだ。
 伝えようと頑張っているのがとてもかわいい。

 ふと、元伯爵から聞いた口伝を物語として書いたらどんな話になるだろうかと考えた。

 元伯爵の話はそのままでは物語にはなっていない。
 実話をそのまま貴族側からみた視点で語る話だ。
 物語のように主人公はいない。
 いろいろな視点から見た話が無い。

 老人から聞いた話を元に、話を作ってみた。

 貴族側の主人公は、領主の執事だ。
 彼を主人公として、最初は領民と仲が良かったが、民をないがしろにしていく事件があり、徐々に変わる政治を傍から見る視点で書いてみた。
 領民側は、街で働く宿屋の少女。

 それをおかあさまに見てもらった。

「話としては良い出来だわ。それに絵もとても上手ね。ジルベールはレオノーラおばあさまに似て絵が上手なのね。それで感想が欲しいの、意見が欲しいの」
「意見が欲しいです」

「そうね。ジルベールはこれを誰に聞かせたいの?」

「エレノアとニナシスティが喜んでくれれば良いと思って書きました」

「そう、まあ今のエレノアとニナシスティにはそのままでいいわ。良くできているとおもうわ」
「そうですか」
僕は否定されなかったことに安堵し、少し喜んだ。

「良いけれど、いくつか注意するところがあるわね。聞きたい?」
「はい」
「貴方の年でこれだけ書けていれば本当は聞かなくても良い話よ」
「聞きます」

「そう。まずは宿屋の少女視点ね。生活感が平民とは思えないわ。貴方がもう少し大きくなったら平民の暮らしも直接目にすると良いわ。それとエレノアたちがもう少し大きくなった時には話を追加、あるいは変えた方が良いわね」
「追加と変更ですか?」

「そうね、例えば、反乱を起こした民は事実通り全員罰を受け、処分しなければならないわ」

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