上 下
77 / 532
第2章 幼少期

2.7.2 5歳 誕生月

しおりを挟む
 教会に行くまで少し時間があったので、エレノアとニナシスティの手を握って応接室に連れていき絵本を読んであげた。

 2人にいつも読むおとぎ話を読んだ。
 セリフはちゃんと男と女を区別して、それっぽく。

 魔女は魔女のような口調で話すとエレノアもニナシスティも楽しんでくれた。
 かわいい妹たちが喜んでくれ僕も嬉しかった。

 いままで年の近い子は近くにいなかった。
 唯一遊んでくれていたのが年上のジャックリーンだけ。

 ジャックリーンはこの2年でだいぶ落ち着き、最近は領地の見回りでも一歩下がり従者のように接してくるようになった。

 今日から妹のような立場の子が来るといわれ、実はかなり嬉しく、そして緊張していた。
 これから一緒に居る時間も多いのでゆっくりと仲良くなっていこう。

 昼になり、家族にファールじいちゃんとサイレーン子爵家全員で教会へと向かった。

 今日は領主館に一番近い教会ではなく、低地側にある本神殿に到着した。

 前回よりも移動距離が長かった。

 神官様に挨拶をしてから祈りの場に進む。

 正面にメリーナ様の像があり、両脇のアロノニア様、ラキシス様の像。

 全て同じ大きさだ。
 やっぱりメリーナ様の胸が少し大きく作ってある。

 教会に着き、前回同様にお祈りをする。

 するとまたメリーナ様が現れた。
『ジルベール、順調に5歳になったわね。おめでとう』
『メリーナ様!』

 目の前に女神。
 いつみてもきれいな人だ。

 かわいい笑顔。
 2年ぶりの再会に感動していた。
 メリーナ様がなぜか少し頬を赤くした気がするが、それが余計かわいさを際立てる。

 そしてメリーナ様から話しかけてきた。
『さて、前回に引き続き魔法を段階的に解除してあげようと思っていましたが、それよりも私はあなたの成長にびっくりしているのだけど』

『え、何か?』

『あなたの総魔力量が多すぎます。
それに全身に巡っている魔力もすごく強い。
どうなっているのですか?』

『多い? ですか?』

『多いわ。びっくりね。
そもそも魔力量は大量に魔力を消費しないと増えないはず。
使えるようにした魔法は消費力の少ない物のはず。
どうやって魔力を消費して増やしたのかしら。まあいいわ。
全身に魔力が巡っていると怪我もしにくいし悪いことではないもの』

 そう言った後で少しだけ目を閉じ、すぐに開けた。

『魔法の適性を引き上げたわ。
でも約束よ。攻撃魔法は危ないからだめよ。
じゃあ他に無ければ帰るけど』

『あ、そうだ。他の転生者を見分ける方法があれば教えてください』


『過去を思い出した転生者にはあなたと同じように加護を与えています。
加護は神官や巫女にも偶に与えるのですが、あなたたち異世界からの転生者に与える加護はそれよりも少し強い加護を与えているわ。
ああもちろんあなたに与えた加護は特別よ。
聖職者以外で加護を持っていれば転生者の可能性が高いと思ってもいいわ』


『加護。メリーナの加護と表示される項目ですね。
教えていただいてありがとうございます』

『そう、じゃあ帰るわね。
次は7歳の時ね。
順調に成長しているみたいだし、まずまずね。
安心したわ。ではバイバイ』

ふっと目の前から消えた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

旧転生者はめぐりあう

佐藤醤油
ファンタジー
リニューアル版はこちら https://www.alphapolis.co.jp/novel/921246135/161178785/

聖女やめます……タダ働きは嫌!友達作ります!冒険者なります!お金稼ぎます!ちゃっかり世界も救います!

さくしゃ
ファンタジー
職業「聖女」としてお勤めに忙殺されるクミ 祈りに始まり、一日中治療、時にはドラゴン討伐……しかし、全てタダ働き! も……もう嫌だぁ! 半狂乱の最強聖女は冒険者となり、軟禁生活では味わえなかった生活を知りはっちゃける! 時には、不労所得、冒険者業、アルバイトで稼ぐ! 大金持ちにもなっていき、世界も救いまーす。 色んなキャラ出しまくりぃ! カクヨムでも掲載チュッ ⚠︎この物語は全てフィクションです。 ⚠︎現実では絶対にマネはしないでください!

聖女の紋章 転生?少女は女神の加護と前世の知識で無双する わたしは聖女ではありません。公爵令嬢です!

幸之丞
ファンタジー
2023/11/22~11/23  女性向けホットランキング1位 2023/11/24 10:00 ファンタジーランキング1位  ありがとうございます。 「うわ~ 私を捨てないでー!」 声を出して私を捨てようとする父さんに叫ぼうとしました・・・ でも私は意識がはっきりしているけれど、体はまだ、生れて1週間くらいしか経っていないので 「ばぶ ばぶうう ばぶ だああ」 くらいにしか聞こえていないのね? と思っていたけど ササッと 捨てられてしまいました~ 誰か拾って~ 私は、陽菜。数ヶ月前まで、日本で女子高生をしていました。 将来の為に良い大学に入学しようと塾にいっています。 塾の帰り道、車の事故に巻き込まれて、気づいてみたら何故か新しいお母さんのお腹の中。隣には姉妹もいる。そう双子なの。 私達が生まれたその後、私は魔力が少ないから、伯爵の娘として恥ずかしいとかで、捨てられた・・・  ↑ここ冒頭 けれども、公爵家に拾われた。ああ 良かった・・・ そしてこれから私は捨てられないように、前世の記憶を使って知識チートで家族のため、公爵領にする人のために領地を豊かにします。 「この子ちょっとおかしいこと言ってるぞ」 と言われても、必殺 「女神様のお告げです。昨夜夢にでてきました」で大丈夫。 だって私には、愛と豊穣の女神様に愛されている証、聖女の紋章があるのです。 この物語は、魔法と剣の世界で主人公のエルーシアは魔法チートと知識チートで領地を豊かにするためにスライムや古竜と仲良くなって、お力をちょっと借りたりもします。 果たして、エルーシアは捨てられた本当の理由を知ることが出来るのか? さあ! 物語が始まります。

金貨増殖バグが止まらないので、そのまま快適なスローライフを送ります

桜井正宗
ファンタジー
 無能の落ちこぼれと認定された『ギルド職員』兼『ぷちドラゴン』使いの『ぷちテイマー』のヘンリーは、職員をクビとなり、国さえも追放されてしまう。  突然、空から女の子が降ってくると、キャッチしきれず女の子を地面へ激突させてしまう。それが聖女との出会いだった。  銀髪の自称聖女から『ギフト』を貰い、ヘンリーは、両手に持てない程の金貨を大量に手に入れた。これで一生遊んで暮らせると思いきや、金貨はどんどん増えていく。増殖が止まらない金貨。どんどん増えていってしまった。  聖女によれば“金貨増殖バグ”だという。幸い、元ギルド職員の権限でアイテムボックス量は無駄に多く持っていたので、そこへ保管しまくった。  大金持ちになったヘンリーは、とりあえず念願だった屋敷を買い……スローライフを始めていく!?

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

初めての異世界転生

藤井 サトル
ファンタジー
その日、幸村 大地(ゆきむら だいち)は女神に選ばれた。 女神とのやり取りの末、大地は女神の手によって異世界へと転生する。その身には女神にいくつもの能力を授かって。 まさにファンタジーの世界へ来た大地は聖女を始めにいろんな人に出会い、出会い金を稼いだり、稼いだ金が直ぐに消えたり、路上で寝たり、チート能力を振るったりと、たぶん楽しく世界を謳歌する。 このお話は【転生者】大地と【聖女】リリア。そこに女神成分をひとつまみが合わさった異世界騒動物語である。

神によって転移すると思ったら異世界人に召喚されたので好きに生きます。

SaToo
ファンタジー
仕事帰りの満員電車に揺られていたサト。気がつくと一面が真っ白な空間に。そこで神に異世界に行く話を聞く。異世界に行く準備をしている最中突然体が光だした。そしてサトは異世界へと召喚された。神ではなく、異世界人によって。しかも召喚されたのは2人。面食いの国王はとっととサトを城から追い出した。いや、自ら望んで出て行った。そうして神から授かったチート能力を存分に発揮し、異世界では自分の好きなように暮らしていく。 サトの一言「異世界のイケメン比率高っ。」

【完結】人々に魔女と呼ばれていた私が実は聖女でした。聖女様治療して下さい?誰がんな事すっかバーカ!

隣のカキ
ファンタジー
私は魔法が使える。そのせいで故郷の村では魔女と迫害され、悲しい思いをたくさんした。でも、村を出てからは聖女となり活躍しています。私の唯一の味方であったお母さん。またすぐに会いに行きますからね。あと村人、テメぇらはブッ叩く。 ※三章からバトル多めです。

処理中です...