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第2章 幼少期

2.5.1 王都の土産話

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 リリアーナ母様とアメリ姉様は出かけてから2週間ほどで戻ってきた。

 リリアーナ母様は放置した仕事に取り掛かるらしくそのまま役所へ行ってしまった。

 アメリ姉さまは1日休憩らしいので、アメリ姉様から話を聞くことができた。

「王都はクロスロードよりも北になるけど、ここよりも雪が降らないのよ。
 海に隣接している影響なのよ。
 馬車で道を走れるし、冬も住みやすいの」

「女王陛下の崩御式は王城で厳かに行われたわ。
 最後に鐘がなるのだけど、王都内にあるすべての教会が同時に鐘をならすの。
王城にいてもその響きが聞こえてきて、とても厳粛なのだけど幻想的な雰囲気だったわ」

 いつもより話が長い。
 アメリ姉様が珍しくワインを飲んでいるからだ。
 どうやら話上戸だったらしい。
 僕はほとんど相槌を打つだけでしゃべらせてもらえない。

「王城の中でメリルディーナ公爵家だけが集まるプライベートな食事会に招待されたのよ。
 私は以前メリルディーナ公爵の家に住んでそこから学園に通っていたから、皆さまに会うのが久しぶりでとても楽しかったの」

「同じ年のアンジェリカ様が新しい陛下と結婚されていたのよ。
 3妃様になられて、マリアテレーズ様をお生みになられたの。
 王妃様になると陛下と一緒でないと外には行けないそうなの。
 だから王城の中で家族とのプライベートな食事会をされるのよ」

「ファール様とカトレア様の長女ルーナ様はオルトディーナ公爵の第2夫人で第1王子と同じ年のサフィーナ姫をお生みになられたのよ。
 次女のセルニア様は、第1王子と同じ年のオレリアン様に、貴方の一つ下にクリシュナ姫。
 サフィーナ姫とクリシュナ姫の2人も連れてこられていたのだけど、本当にかわいいの。
 マリアテレーズ様も含めて3人ともジルちゃんの婚約者候補ね。
 サフィーナ様かクリシュナ様と縁を結ぶとジルちゃんをファール様の後継者にできないから、マリアテレーズ様を婚約者にしようとファール様がおっしゃったわ。
 カトレア様はジルちゃんを養子に迎えた後でお孫様が家に帰ってくるなら誰でも良いわとおっしゃったけど。
そうなるとクロスロード家を誰が継ぐのか問題よね。
私はクロスロード本家の血を受け継いでいないし」

「そうそう、サフィーナ様は、ルーナ様、カトレア様と同じでピンクの髪を持つ"女神の至宝"の加護を受け継いだ方なの。
女神の至宝の加護を持っていると、とにかく美人さんになるのよ。
カトレア様みたいに」

 うん、3人も姫様の名前が出てきた。
 2人は公爵家なのに姫なのか。
 そして1人は本当の王女様。
 名前は覚えきれなかった。

 それにしても、カトレア様とかルーナ様だったか、"女神の至宝"という加護はメリーナ様の加護とは違う女神系の加護なのかな。
 女神が堂々と降臨できる世界なのだ、女神系の加護もいくつかあるのだろう。
 なるほど、さすが異世界。
 "女神の至宝"か、主人公というかヒロイン体質のような加護だろうか。
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