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第2章 幼少期

2.2.1 初めてのお出かけ

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 お出かけの許可が出たので、そのための調整がされていた。
 護衛の他に案内人が必要で、人を探していたからだ。

 2週間ほどして、ようやく初めてのお出かけの日となった。

 おばあさまが、新しい人を紹介してくれた。

「この方が案内役になるケネス・ヒューゲルよ。
ケネスの剣術は師範級だったのよ」

「ケネスです。ジルベール様よろしくお願いします。
魔術師のバーニィ殿もいるそうなので、補佐程度なら十分できます。若い者にも簡単には負けません。護衛中はケネスと呼び捨てにするようにしてください。バーニィも一緒です」

 ケネスは55歳ぐらいで武闘派のおじさんだ。
 55歳には見えない立派な体躯をしている。

 アメリの男性恐怖症は若い男性が対象で40歳代の後半からは対象外だ。

 ケネスは去年まで役所に勤め、近隣の税収確認をする担当者だったので領内に詳しい。
 さらに、なにかあれば自警団と協力して魔物を討伐に行くアグレッシブな人だ。

 もともと引退を考えていたそうだが、領内に詳しく、護衛も出来る万能な人なので、完全引退されるとこまるらしく、僕の面倒を見る仕事をしながら仕事を引き継ぐことになったそうだ。

「誕生祝の時に紹介したけどあなたの護衛になるバーニィよ。
バーニィは王宮魔導師なのよ。オルトディーナ公爵の命令でジルベールを守る任務を受けているの。
バーニィは移動中、御者の隣で警護してね。
徒歩の時はアメリの後ろを歩くのよ。
貴方は魔法で護衛するのだから少し離れていても大丈夫でしょ」

「はい。ジルベール様の初の護衛任務。きっちりと務めさせていただきます」

「お願いだから護衛中に女の子に見惚みほれないでね。ケネス、きれいな子がいる時には気をつけてね」

「はい、本日は涼めるような場所へ行くだけですが、そうですね、休憩する近くに洗濯中の若い子がいる場所は避けるようにします」

「今日は念のため侍女のコリンナが一緒に行きます。コリンナよろしくね」
 さて、おばあさまからの注意が終わり、ようやく支度が終わり出発のようだ。

 ケネスがエスコートしてアメリ姉様とコリンナを馬車に乗せた。
 僕は抱っこされて馬車へ。
 それから最後に世話係のジャックリーンも一緒に乗り込んだ。

 今日は、馬車で近くの湖に行く。
 馬車で1時間ほどだがその途中も案内をしてくれるので2時間ほどかけてゆっくりと移動するそうだ。

 まず家を出て役場に向かう。
 隣は伯爵家だ。
 敷地は僕の住んでいる領主館よりの半分ぐらいだ。

 そして少し空いて役場になった。

 当然だが役場は領主館よりも大きい。
 役場の隣には舞踏会が開ける講堂がある。

 そこから子爵家、男爵家が続く。
 道沿いだと100軒ぐらいあった。わき道もあるのでもう少し多いのだろう。


 そして貴族街が終わると訓練場に、自警団の人達が住んでいる建物が見えた。

そして、少し空いてお店が並ぶ街並みに変わる。

 沢山の店があった。

 おかあさまがちからを入れている商業ギルドは別のところにあるらしく、今日は立ち寄れない。
 商業ギルドは低地側にあるので、今から行く方向とは逆になる。


 店がなくなり山側の道へと進む。

 回りの木で囲まれだすと少し涼しくなってきた気がする。
 そして暫く走ったら目的の湖に到着した。

 湖はとてもきれいだった。

 少し高い台が造ってあったので、アメリ達と登った。
 そこから湖の全貌を眺められる。湖は2kmほどの大きさだった。
 そして色はとても青い。きれいな青だった。
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