38 / 532
第1章 誕生期
1.13.2 後見人
しおりを挟む
「ようこそメリルディーナ公。遠い田舎までわざわざご苦労様です」
久しぶりのリリアーナは昔どおりの美しさだった。
35を超えているはずだが30前にしか見えない。
「うむ、リリアーナ。久しいな。元気であったか」
まずは、ありきたりの挨拶をして、様子を確認する。
「はい、子を産みましたが元気です。もう既に復帰して働いていますから」
当然のような返事をしてきた。だがその顔からは不安げな表情が見て取れた。
「そうか、体調が良いので安心したが、今日は手紙の事を確認に来た」
「ではすぐに確認されますか?」
諦めたような顔で答えるリリアーナ。
さて、少しびっくりさせてみるか。
「まず、最初に言っておくがジルベールの後見人だがワシが筆頭になる予定だ」
「あら、カルスディーナ公かオルトディーナ公ではなかったのですか?」
即座に返事が返ってくる。
それには答えずに、さらに質問をぶつける。
リリアーナとのやり取りではいつもの事だ。
「それでな、ジルベールの本当の母親を確認したい。アメリであろうと予想しているがあっているかな。それ以外だと話を変えなければならん」
「まあ、メリルディーナ様、何を突然」
リリアーナはぎくりとした表情で返すが、私が暫く黙っているともう完全にばれているのが明白と諦めた表情に変わった。
「以前、アメリとは一緒に暮らしていたのだ。その時にアメリの親が誰か確認しておる。そなたに子がなかなか出来なかった状況と生まれた子供の容姿から考えればお主とアメリのどちらが母親なのか、容易にわかる案件だ」
「では、かなりの事情をご存じなのですね」
リリアーナは完全に諦めたのだろう、駆け引きをやめたようだ。
「うむ、ジルベールの母親はアメリであろう。それは間違いないと考えておるが、腑に落ちんのは、血統的に両金眼が遠い。今までに無いとは言えんがそれにしても両方とはな。せめて父親が直接の金眼と言われた方が納得する」
リリアーナは、はーと息を吐き
「父親はアナベルです。それ以外はありえません。私も確認しております」
「そうか、では右目はアナベルの父親からか。では左眼はアメリの母親か」
「おばあさまの父親は左眼が金眼です。
アナベルの血には両方の金眼の血が入っています。
またアメリの方ですが、アメリの父は私の兄ですから、そちらの系統に金眼はいません。
アメリの母親は子爵家の令嬢です。
登録上の彼女の両親は共に金眼ではありません。
ですがアメリの母が生まれたのは婚姻後3ヶ月しかたっていない時期。
彼女は直前までオルトディーナ系の侯爵家で侍女として勤めていたそうです。
もちろん領主は左眼が金眼です。
彼女が婚姻後にすぐにアメリの母親を生んでいることから侯爵の手がついた為に系統の子爵家に嫁がせたと考えるのが自然かと。
アメリの母親の親戚筋から得た情報です。その親戚共々侯爵家に良く行っていたそうなので確かだと。
ですが、どちらも血筋的には遠く先祖がえりにしても珍しいのは事実です。
私は左眼までが金眼になるとは予想していませんでした。
その可能性を排除して準備していたのです。
突然の事で情報も不足しています。
ぜひメリルディーナ様の手助けをお願いします」
「リリアは、仕事であればいつも冷静に物事をこなすが、さすがに子がかかわると形無しだな。だが頼られて嫌な気はしない。むしろ頼ってくれて嬉しいものだ」
久しぶりのリリアーナは昔どおりの美しさだった。
35を超えているはずだが30前にしか見えない。
「うむ、リリアーナ。久しいな。元気であったか」
まずは、ありきたりの挨拶をして、様子を確認する。
「はい、子を産みましたが元気です。もう既に復帰して働いていますから」
当然のような返事をしてきた。だがその顔からは不安げな表情が見て取れた。
「そうか、体調が良いので安心したが、今日は手紙の事を確認に来た」
「ではすぐに確認されますか?」
諦めたような顔で答えるリリアーナ。
さて、少しびっくりさせてみるか。
「まず、最初に言っておくがジルベールの後見人だがワシが筆頭になる予定だ」
「あら、カルスディーナ公かオルトディーナ公ではなかったのですか?」
即座に返事が返ってくる。
それには答えずに、さらに質問をぶつける。
リリアーナとのやり取りではいつもの事だ。
「それでな、ジルベールの本当の母親を確認したい。アメリであろうと予想しているがあっているかな。それ以外だと話を変えなければならん」
「まあ、メリルディーナ様、何を突然」
リリアーナはぎくりとした表情で返すが、私が暫く黙っているともう完全にばれているのが明白と諦めた表情に変わった。
「以前、アメリとは一緒に暮らしていたのだ。その時にアメリの親が誰か確認しておる。そなたに子がなかなか出来なかった状況と生まれた子供の容姿から考えればお主とアメリのどちらが母親なのか、容易にわかる案件だ」
「では、かなりの事情をご存じなのですね」
リリアーナは完全に諦めたのだろう、駆け引きをやめたようだ。
「うむ、ジルベールの母親はアメリであろう。それは間違いないと考えておるが、腑に落ちんのは、血統的に両金眼が遠い。今までに無いとは言えんがそれにしても両方とはな。せめて父親が直接の金眼と言われた方が納得する」
リリアーナは、はーと息を吐き
「父親はアナベルです。それ以外はありえません。私も確認しております」
「そうか、では右目はアナベルの父親からか。では左眼はアメリの母親か」
「おばあさまの父親は左眼が金眼です。
アナベルの血には両方の金眼の血が入っています。
またアメリの方ですが、アメリの父は私の兄ですから、そちらの系統に金眼はいません。
アメリの母親は子爵家の令嬢です。
登録上の彼女の両親は共に金眼ではありません。
ですがアメリの母が生まれたのは婚姻後3ヶ月しかたっていない時期。
彼女は直前までオルトディーナ系の侯爵家で侍女として勤めていたそうです。
もちろん領主は左眼が金眼です。
彼女が婚姻後にすぐにアメリの母親を生んでいることから侯爵の手がついた為に系統の子爵家に嫁がせたと考えるのが自然かと。
アメリの母親の親戚筋から得た情報です。その親戚共々侯爵家に良く行っていたそうなので確かだと。
ですが、どちらも血筋的には遠く先祖がえりにしても珍しいのは事実です。
私は左眼までが金眼になるとは予想していませんでした。
その可能性を排除して準備していたのです。
突然の事で情報も不足しています。
ぜひメリルディーナ様の手助けをお願いします」
「リリアは、仕事であればいつも冷静に物事をこなすが、さすがに子がかかわると形無しだな。だが頼られて嫌な気はしない。むしろ頼ってくれて嬉しいものだ」
20
お気に入りに追加
2,404
あなたにおすすめの小説
『特別』を願った僕の転生先は放置された第7皇子!?
mio
ファンタジー
特別になることを望む『平凡』な大学生・弥登陽斗はある日突然亡くなる。
神様に『特別』になりたい願いを叶えてやると言われ、生まれ変わった先は異世界の第7皇子!? しかも母親はなんだかさびれた離宮に追いやられているし、騎士団に入っている兄はなかなか会うことができない。それでも穏やかな日々。
そんな生活も母の死を境に変わっていく。なぜか絡んでくる異母兄弟をあしらいつつ、兄の元で剣に魔法に、いろいろと学んでいくことに。兄と兄の部下との新たな日常に、以前とはまた違った幸せを感じていた。
日常を壊し、強制的に終わらせたとある不幸が起こるまでは。
神様、一つ言わせてください。僕が言っていた特別はこういうことではないと思うんですけど!?
他サイトでも投稿しております。
うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。
異世界から本物の聖女が来たからと、追い出された聖女は自由に生きたい! (完結)
深月カナメ
恋愛
十歳から十八歳まで聖女として、国の為に祈り続けた、白銀の髪、グリーンの瞳、伯爵令嬢ヒーラギだった。
そんなある日、異世界から聖女ーーアリカが降臨した。一応アリカも聖女だってらしく傷を治す力を持っていた。
この世界には珍しい黒髪、黒い瞳の彼女をみて、自分を嫌っていた王子、国王陛下、王妃、騎士など周りは本物の聖女が来たと喜ぶ。
聖女で、王子の婚約者だったヒーラギは婚約破棄されてしまう。
ヒーラギは新しい聖女が現れたのなら、自分の役目は終わった、これからは美味しいものをたくさん食べて、自由に生きると決めた。
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
【古代召喚魔法】を悪霊だとよばれ魔法学園を追放されました。でもエルフの王女に溺愛されて幸せです。だから邪魔する奴らは排除していいよね?
里海慧
ファンタジー
「レオ・グライス。君は呪いの悪霊を呼び寄せ、危険極まりない! よって本日をもって退学に処す!!」
最終学年に上がったところで、魔法学園を退学になったレオ。
この世界では魔物が跋扈しており、危険から身を守るために魔法が発達している。
だが魔法が全く使えない者は、呪われた存在として忌み嫌われていた。
魔法が使えないレオは貴族だけが通う魔法学園で、はるか昔に失われた【古代召喚魔法】を必死に習得した。
しかし召喚魔法を見せても呪いの悪霊だと誤解され、危険人物と認定されてしまう。
学園を退学になり、家族からも見捨てられ居場所がなくなったレオは、ひとりで生きていく事を決意。
森の奥深くでエルフの王女シェリルを助けるが、深い傷を負ってしまう。だがシェリルに介抱されるうちに心を救われ、王女の護衛として雇ってもらう。
そしてシェリルの次期女王になるための試練をクリアするべく、お互いに想いを寄せながら、二人は外の世界へと飛び出していくのだった。
一方レオを追い出した者たちは、次期女王の試練で人間界にやってきたシェリルに何とか取り入ろうとする。
そして邪魔なレオを排除しようと画策するが、悪事は暴かれて一気に転落していくのだった。
※きゅんきゅんするハイファンタジー、きゅんファン目指してます。
金貨三枚で買った性奴隷が俺を溺愛している ~平凡冒険者の迷宮スローライフ~
結城絡繰
ファンタジー
平凡な冒険者である俺は、手頃に抱きたい女が欲しいので獣人奴隷を買った。
ただ性欲が解消できればよかったのに、俺はその奴隷に溺愛されてしまう。
爛れた日々を送りながら俺達は迷宮に潜る。
二人で協力できるようになったことで、冒険者としての稼ぎは抜群に良くなった。
その金で贅沢をしつつ、やはり俺達は愛し合う。
大きな冒険はせず、楽な仕事と美味い酒と食事を満喫する。
主従ではなく恋人関係に近い俺達は毎日を楽しむ。
これは何の取り柄もない俺が、奴隷との出会いをきっかけに幸せを掴み取る物語である。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
追放貴族少年リュウキの成り上がり~魔力を全部奪われたけど、代わりに『闘気』を手に入れました~
さとう
ファンタジー
とある王国貴族に生まれた少年リュウキ。彼は生まれながらにして『大賢者』に匹敵する魔力を持って生まれた……が、義弟を溺愛する継母によって全ての魔力を奪われ、次期当主の座も奪われ追放されてしまう。
全てを失ったリュウキ。家も、婚約者も、母の形見すら奪われ涙する。もう生きる力もなくなり、全てを終わらせようと『龍の森』へ踏み込むと、そこにいたのは死にかけたドラゴンだった。
ドラゴンは、リュウキの境遇を憐れみ、ドラゴンしか使うことのできない『闘気』を命をかけて与えた。
これは、ドラゴンの力を得た少年リュウキが、新しい人生を歩む物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる