61 / 62
第八章
星の見えるところ
しおりを挟む
研究所は、山の中腹とは聞いていたものの、実際はそれほど高い位置にあるわけではなかった。けれど周りに遮るものはなく、また空気が澄み切っているため、星が本当に綺麗に見えた。
優人はひとり星空を眺める。星には詳しくないから、星座や何かはさっぱりわからない。
それに、この世界は作りものなのだと聞いたばかりだった。そもそも、この空に輝く星たちは、優人が知る空と同じ空なのだろうか。そう思えば、自分でもわかりそうな星を探す方のも、なんだか馬鹿げているような気もした。
「……寒い」
外は、氷点下だろう。どれくらいの気温なのかは、考えたら余計に寒くなってくる気がしたのでやめた。思わず独言てしまうほど寒いけれど、それでも外の空気を吸っていたかったのは、そうでもなければ、何かおかしなことを考えてしまいそうに頭がごちゃごちゃとしていたからだ。
凍えてしまいそうだな、ともう何度目かに考えた頃、ふわりと肩にあたたかい毛布がかけられた。
「……マリオンさん」
「お邪魔してもいいかな?」
「ええ、もちろん」
毛布には何かしらの魔法が施されているのだろう。カイロでも仕込んであるかのようにほかほかとあたたかい。
凍えたかったわけでも、ひとりになりたかったわけでもない。外に無造作に並べられて雪の積もっていた椅子に腰かけていた優人の隣に来たマリオンを、優人は断らなかった。
「すまないね、結局ブラッドリーのやつは起きなくて」
「いえ、疲れていたんでしょう。話してみたかったですけど、仕方ないです」
「最近は相当無理をしてるみたいだ、そのうち本当に動けなくなってしまうぞ」
マリオンとブラッドリーは、旅の友であり、同じ研究を進める仲間でもある。マリオン自身は、あいつは戦友みたいなものかな、と言っていた。仲が良いとか悪いとか、好きとか嫌いとか、そういうものではないのだと。
マリオンも、優人と隣り合って星を眺める。彼は星を探しているのではなく、言葉を探しているのかもしれない。優人は何となく、そう思った。
「……マリオンさんにとって、父はどんな人でしたか?」
マリオンから話さないのなら、優人は自分が気になっていることから聞こうと思った。マリオンはううん、と考える仕草をとる。
「……甘っちょろいなあ、と、いつも思ってたよ」
実の息子の前だというのに、歯に衣着せぬ言い方が彼らしいと、優人は笑った。
「僕とユウサクが旅をしていたのは、僕がまだほんの子供の頃だったけれど。それでも、子供の僕が見ても甘い男だったよ。優しいし、良い奴だけど、でも見ていてもどかしいくらい甘っちょろい。そんな印象だったな」
「そうですよね、ずっと気になってたんです、いったいマリオンさんって何歳くらいのときに父たちと居たんですか?」
「そうだな、ちょうど十歳とか、それくらいだよ。懐かしいなあ、もうそんなに経つのか」
マリオンは昔を懐かしむように笑った。その笑顔を見るだけで、きっと良い旅の仲間だったのだろうと想像がつく。けれどその旅の終わりは、厳しいものだった。
「……まあ、甘いのは僕も同じだ。ねえ、もうひとつ大事な話をしてもいいかな?」
「お願いします」
申し訳なさそうに切り出すマリオンに、優人は頷いた。
「アナスタシアを、僕らは殺せなかった。僕らの意見は割れてしまってね。僕とシリルは殺せと言った。ブラッドリーは最後まで答えを出せなかった。ユウサクは、そんなことはとてもできないと、さんざん迷った末に言った。でも僕らは同じように、アナスタシアのことを哀れに思い、そして人を殺めることを恐れていた。そこは、同じだったんだ。僕は彼女を哀れに思ったから殺してやろうと言ったし、ユウサクは哀れに思ったから殺せないと言った。僕は当時ものすごく怒ったけれど、今思えばユウサクの言うことだって正しいと思える」
マリオンは苦く笑う。
「僕がやろうと思ったんだ。でもできなかった。アナスタシアはね、長く世界の楔として生き過ぎて、人の道を外れてしまった。まあ、当然と言えば当然だよね。人の身のまま、何百年も生きることなんてできないから。だから、彼女は半分、魔物と化していたんだ」
「人が、魔物に……!? そんなこと、ありえるんですか」
「ありえたんだろうね。ユウトくんも知っての通り、魔物は救世主の手じゃなくちゃ殺せない……封印できない。だから、僕の魔法も、何もかも、通用しなかった。ただ彼女を苦しめただけだった」
「そんな……そんなことって」
「きっとシンシアあたりも、ユウトくんができないなら私がって言い出すだろうけど。でも、彼女を終わらせてあげられるのは、君だけなんだ……本当に、ひどい話をしていると思うけれど」
「…………」
始まりの魔女は、自分の手でしか殺すことはできない。魔物で、人間。優人の頭の中で、そんな言葉たちがくるくると巡った。
今度は、人のようなかたちをした魔物ではない。元は人間で、この世界に縛られ続けている、ひとりの女だ。人の子を守ろうとその身を危険に晒し、またこの世界に渡った魔法使いたちをも守ろうと元の暮らしを捨てた、心優しき女。
そんな人を、僕が殺す?
さっき部屋の中で聞いた話も、理解はしている。そうすれば、全てが終わる。きっと救世主なんて役割もいらなくなるし、魔物が原因で傷つく人や、命を落とす人だって居なくなる。
「……僕は……」
それでも、この手は震えてしまう。人を守るために、人を殺す。そのことを選ぶのは、本当に正しいのか。
「優人くんは、どうして魔物は救世主の手でしか封印することができないのか、考えたことはある?」
マリオンがふいに、そう尋ねる。優人は少しはっとして、彼のほうを見る。
「いや……あまり、深く考えたことは……」
「この世界は、綺麗なものが正しく生きるように出来てる。正しく生きる、というのは、違うものたちで争わないことというのが含まれているんだろうね。さっきの始まりの魔法使いの考えそうなことさ」
「……ああ、」
「そう、元の世界の人々の感情から生まれた力と、魔法使いの力。それらは本来干渉しないように出来てるんだ、ここではね。その争いが嫌で、ここが作られたわけだし、『正しくない』存在とされている魔物のほうはこちらを攻撃…ないしは殺すことができるのは、まあ納得したくはないけど、筋は通ってる」
文句の一つも言いたくなるシステムだと思うけれど、マリオンは多分意図してそうなったわけじゃないんだろうねと苦く笑う。
「だから、僕らが正しく生きているうちはこの二つはぶつかり合うことが出来ない。だからさ、僕は人としての正しさなんて捨ててやろうって、そう思ったんだ。できなかったんだけどさ。この僕がだよ? 全然駄目だった。ほんとに……ダメダメだったんだ」
かつて、マリオンはアナスタシアを殺そうとしたのだと言う。きっと何度も彼女を傷つけ、苦しめただけのその手を、マリオンはじっと見つめている。自信家で軽薄な彼からは、ちっとも想像がつかなかったけれど、見つめる先の白い指は、小さく震えている。
「……あ、」
優人は思わず、その手を取ろうとしたけれど、そういえば、この今見えているマリオンの姿は実体がないのだった。伸ばした手は、するりとその姿を擦り抜けてしまう。
「あ、あはは、触れないよ。でも、ありがとう」
「いえ……すみません」
優人の行動に、マリオンも少し驚いているようだった。優しくされるのは慣れないな、なんて呟きながら、くすぐったそうに肩をすくめている。それから、不器用に微笑んだ。
「……だからさ、きみが迷うことは、絶対に『正しい』んだ。それはきみが正しいからなんだよ。僕が正しさを捨てられなかったから何もできなかったってことが、それを証明してるワケ。悔しいけれど、この世界がそうできてるんだから仕方ない」
「……ああ、マリオンさん」
この人は何でも合理的に、研究者らしく事実と論理でものを考える人だ。それ故に、何を感じているのかわからなかったり、ときに非情に思えることもあるのだろう。
けれど、それはきっと違うのだ。誰よりもこの世界のことを、この世界の人のことを考えているから、前に進むことを止めない人なのだ。だからこそ色んなものを見て、知って、そのぶん傷ついてきた。マリオンという男は、とても美しい人だけれど、きっとすごく傷だらけなのだ。
そして今、その傷だらけの手でなお、優人を勇気づけようとしている。
「これから……たくさん迷うと思う。決断を下せない自分を情けなく思うかもしれない。決断をした自分を人でなしだと思うかもしれない」
「……はい」
マリオンは、触れることのできないその手を優人に差し出す。優人はその手を包み込むようにする。そうすれば何かが伝わってくるような気がした。
「その先のことは、僕にもわからない。けれど、きみが迷って苦しむことは、絶対に間違ってない。それはきみが情けないからでも、人でなしだからでもない。それだけは、僕が何度でもきみに言うよ」
「……ありがとうございます」
「…………ごめんね」
優人はマリオンの目を見る。伏せられた瞳は、互いの手を見つめたままだ。
「謝らないでください」
優人がそう言うと、マリオンは少し驚いて、ぱちぱちと瞬きをして見せる。それから、困ったように笑った。
「……ありがとう、優人くん」
優人はひとり星空を眺める。星には詳しくないから、星座や何かはさっぱりわからない。
それに、この世界は作りものなのだと聞いたばかりだった。そもそも、この空に輝く星たちは、優人が知る空と同じ空なのだろうか。そう思えば、自分でもわかりそうな星を探す方のも、なんだか馬鹿げているような気もした。
「……寒い」
外は、氷点下だろう。どれくらいの気温なのかは、考えたら余計に寒くなってくる気がしたのでやめた。思わず独言てしまうほど寒いけれど、それでも外の空気を吸っていたかったのは、そうでもなければ、何かおかしなことを考えてしまいそうに頭がごちゃごちゃとしていたからだ。
凍えてしまいそうだな、ともう何度目かに考えた頃、ふわりと肩にあたたかい毛布がかけられた。
「……マリオンさん」
「お邪魔してもいいかな?」
「ええ、もちろん」
毛布には何かしらの魔法が施されているのだろう。カイロでも仕込んであるかのようにほかほかとあたたかい。
凍えたかったわけでも、ひとりになりたかったわけでもない。外に無造作に並べられて雪の積もっていた椅子に腰かけていた優人の隣に来たマリオンを、優人は断らなかった。
「すまないね、結局ブラッドリーのやつは起きなくて」
「いえ、疲れていたんでしょう。話してみたかったですけど、仕方ないです」
「最近は相当無理をしてるみたいだ、そのうち本当に動けなくなってしまうぞ」
マリオンとブラッドリーは、旅の友であり、同じ研究を進める仲間でもある。マリオン自身は、あいつは戦友みたいなものかな、と言っていた。仲が良いとか悪いとか、好きとか嫌いとか、そういうものではないのだと。
マリオンも、優人と隣り合って星を眺める。彼は星を探しているのではなく、言葉を探しているのかもしれない。優人は何となく、そう思った。
「……マリオンさんにとって、父はどんな人でしたか?」
マリオンから話さないのなら、優人は自分が気になっていることから聞こうと思った。マリオンはううん、と考える仕草をとる。
「……甘っちょろいなあ、と、いつも思ってたよ」
実の息子の前だというのに、歯に衣着せぬ言い方が彼らしいと、優人は笑った。
「僕とユウサクが旅をしていたのは、僕がまだほんの子供の頃だったけれど。それでも、子供の僕が見ても甘い男だったよ。優しいし、良い奴だけど、でも見ていてもどかしいくらい甘っちょろい。そんな印象だったな」
「そうですよね、ずっと気になってたんです、いったいマリオンさんって何歳くらいのときに父たちと居たんですか?」
「そうだな、ちょうど十歳とか、それくらいだよ。懐かしいなあ、もうそんなに経つのか」
マリオンは昔を懐かしむように笑った。その笑顔を見るだけで、きっと良い旅の仲間だったのだろうと想像がつく。けれどその旅の終わりは、厳しいものだった。
「……まあ、甘いのは僕も同じだ。ねえ、もうひとつ大事な話をしてもいいかな?」
「お願いします」
申し訳なさそうに切り出すマリオンに、優人は頷いた。
「アナスタシアを、僕らは殺せなかった。僕らの意見は割れてしまってね。僕とシリルは殺せと言った。ブラッドリーは最後まで答えを出せなかった。ユウサクは、そんなことはとてもできないと、さんざん迷った末に言った。でも僕らは同じように、アナスタシアのことを哀れに思い、そして人を殺めることを恐れていた。そこは、同じだったんだ。僕は彼女を哀れに思ったから殺してやろうと言ったし、ユウサクは哀れに思ったから殺せないと言った。僕は当時ものすごく怒ったけれど、今思えばユウサクの言うことだって正しいと思える」
マリオンは苦く笑う。
「僕がやろうと思ったんだ。でもできなかった。アナスタシアはね、長く世界の楔として生き過ぎて、人の道を外れてしまった。まあ、当然と言えば当然だよね。人の身のまま、何百年も生きることなんてできないから。だから、彼女は半分、魔物と化していたんだ」
「人が、魔物に……!? そんなこと、ありえるんですか」
「ありえたんだろうね。ユウトくんも知っての通り、魔物は救世主の手じゃなくちゃ殺せない……封印できない。だから、僕の魔法も、何もかも、通用しなかった。ただ彼女を苦しめただけだった」
「そんな……そんなことって」
「きっとシンシアあたりも、ユウトくんができないなら私がって言い出すだろうけど。でも、彼女を終わらせてあげられるのは、君だけなんだ……本当に、ひどい話をしていると思うけれど」
「…………」
始まりの魔女は、自分の手でしか殺すことはできない。魔物で、人間。優人の頭の中で、そんな言葉たちがくるくると巡った。
今度は、人のようなかたちをした魔物ではない。元は人間で、この世界に縛られ続けている、ひとりの女だ。人の子を守ろうとその身を危険に晒し、またこの世界に渡った魔法使いたちをも守ろうと元の暮らしを捨てた、心優しき女。
そんな人を、僕が殺す?
さっき部屋の中で聞いた話も、理解はしている。そうすれば、全てが終わる。きっと救世主なんて役割もいらなくなるし、魔物が原因で傷つく人や、命を落とす人だって居なくなる。
「……僕は……」
それでも、この手は震えてしまう。人を守るために、人を殺す。そのことを選ぶのは、本当に正しいのか。
「優人くんは、どうして魔物は救世主の手でしか封印することができないのか、考えたことはある?」
マリオンがふいに、そう尋ねる。優人は少しはっとして、彼のほうを見る。
「いや……あまり、深く考えたことは……」
「この世界は、綺麗なものが正しく生きるように出来てる。正しく生きる、というのは、違うものたちで争わないことというのが含まれているんだろうね。さっきの始まりの魔法使いの考えそうなことさ」
「……ああ、」
「そう、元の世界の人々の感情から生まれた力と、魔法使いの力。それらは本来干渉しないように出来てるんだ、ここではね。その争いが嫌で、ここが作られたわけだし、『正しくない』存在とされている魔物のほうはこちらを攻撃…ないしは殺すことができるのは、まあ納得したくはないけど、筋は通ってる」
文句の一つも言いたくなるシステムだと思うけれど、マリオンは多分意図してそうなったわけじゃないんだろうねと苦く笑う。
「だから、僕らが正しく生きているうちはこの二つはぶつかり合うことが出来ない。だからさ、僕は人としての正しさなんて捨ててやろうって、そう思ったんだ。できなかったんだけどさ。この僕がだよ? 全然駄目だった。ほんとに……ダメダメだったんだ」
かつて、マリオンはアナスタシアを殺そうとしたのだと言う。きっと何度も彼女を傷つけ、苦しめただけのその手を、マリオンはじっと見つめている。自信家で軽薄な彼からは、ちっとも想像がつかなかったけれど、見つめる先の白い指は、小さく震えている。
「……あ、」
優人は思わず、その手を取ろうとしたけれど、そういえば、この今見えているマリオンの姿は実体がないのだった。伸ばした手は、するりとその姿を擦り抜けてしまう。
「あ、あはは、触れないよ。でも、ありがとう」
「いえ……すみません」
優人の行動に、マリオンも少し驚いているようだった。優しくされるのは慣れないな、なんて呟きながら、くすぐったそうに肩をすくめている。それから、不器用に微笑んだ。
「……だからさ、きみが迷うことは、絶対に『正しい』んだ。それはきみが正しいからなんだよ。僕が正しさを捨てられなかったから何もできなかったってことが、それを証明してるワケ。悔しいけれど、この世界がそうできてるんだから仕方ない」
「……ああ、マリオンさん」
この人は何でも合理的に、研究者らしく事実と論理でものを考える人だ。それ故に、何を感じているのかわからなかったり、ときに非情に思えることもあるのだろう。
けれど、それはきっと違うのだ。誰よりもこの世界のことを、この世界の人のことを考えているから、前に進むことを止めない人なのだ。だからこそ色んなものを見て、知って、そのぶん傷ついてきた。マリオンという男は、とても美しい人だけれど、きっとすごく傷だらけなのだ。
そして今、その傷だらけの手でなお、優人を勇気づけようとしている。
「これから……たくさん迷うと思う。決断を下せない自分を情けなく思うかもしれない。決断をした自分を人でなしだと思うかもしれない」
「……はい」
マリオンは、触れることのできないその手を優人に差し出す。優人はその手を包み込むようにする。そうすれば何かが伝わってくるような気がした。
「その先のことは、僕にもわからない。けれど、きみが迷って苦しむことは、絶対に間違ってない。それはきみが情けないからでも、人でなしだからでもない。それだけは、僕が何度でもきみに言うよ」
「……ありがとうございます」
「…………ごめんね」
優人はマリオンの目を見る。伏せられた瞳は、互いの手を見つめたままだ。
「謝らないでください」
優人がそう言うと、マリオンは少し驚いて、ぱちぱちと瞬きをして見せる。それから、困ったように笑った。
「……ありがとう、優人くん」
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。
桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。
「不細工なお前とは婚約破棄したい」
この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。
※約4000文字のショートショートです。11/21に完結いたします。
※1回の投稿文字数は少な目です。
※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。
表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。
❇❇❇❇❇❇❇❇❇
2024年10月追記
お読みいただき、ありがとうございます。
こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。
1ページの文字数は少な目です。
約4500文字程度の番外編です。
バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`)
ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑)
※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
追放したんでしょ?楽しく暮らしてるのでほっといて
だましだまし
ファンタジー
私たちの未来の王子妃を影なり日向なりと支える為に存在している。
敬愛する侯爵令嬢ディボラ様の為に切磋琢磨し、鼓舞し合い、己を磨いてきた。
決して追放に備えていた訳では無いのよ?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる