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40 ファースト凌辱1 ※
しおりを挟むガリアードが迷いなく一つの扉を開けて、俺を乱暴に中に押し込めた。俺は思わずよろけて床に手を突いた。そして迷いなくガリアードは、新たな扉を開くのだと俺は感じた。
「ああ」
ガリアードは冷たい目で俺を見下ろした。いつもなら俺を転ばすようなことは一つもしないのに、これはまずい。本当に、扉、開けちゃうの!?
「ヤン、ここで待機だ。何があっても絶対に開けるな」
お前もな、何があっても新しい扉は開けないでぇぇ!
「は、はい。でも、リリアン様は、あぁ!」
「黙れ、命令に従え」
ヤンが言葉を言い切る前に扉を固く閉ざした。
「ガ、ガリアード様、ここは?」
「夜会には必ずこういう部屋がいくつか用意されている。それは知らないみたいだな。一応俺との交わりが初めてなのは俺が確認したからそうなのだろうけど、第一王子と来たことはないんだな?」
「あ、ありません。第一王子とは、結婚前に一度会った時も父と離れた数分だけだし、二人で話したのは今日で二回目ですっ」
なに、なんの話? 俺の腕を取り起こしあげると、引きずられて大きなベッドに倒された。ベ、ベッド!? なんで?
「ここは夜会で独身貴族たちが遊ぶ場所だ。気に入った女や男を連れ込む、中には数人で楽しむ奴もいるようだ。もちろん夫婦やカップルで、あえてここを使う奴もいる」
「え……」
「安心しろ、俺は使ったことはない。だが話には聞いたことがあった」
その割には迷いなくこの部屋まで来たような? 俺の旦那、遊び人じゃないよね?
「夫の目の前でよくもあんなに他の男と密着したな。リリアン、計画では密着まではなかった。お前の本性はアレか? したたかなのは俺にだけじゃなくて他の男にもそういう誘う態度がとれるのか!? お前まさか本当にあの変態王子の愛人を狙っているのか!」
「したたか……ひっ」
ガリアードが俺の胸倉をつかんだ。マジで、完璧に、怒っている。俺の社畜根性も一瞬で萎れた。
「質問に答えろ!」
「僕は、ガリアード様だけです。王子とはこの先のために計画の一環で近づいただけでっ、ああ!」
俺は胸倉を掴まれた手を乱暴に外され、ベッドに体を落とされた。痛くはないけど、衝撃で驚いた声が出た。そしてガリアードの目が怖い。
「黙れ! 俺がそこまでしろといつ言った!」
黙れって、答えろと言ったからしゃべったのに。もうだめだ、こいつ完全怒りモードで、俺様モードに入った。自然にさっきから自分のことを「俺」と言っている。ということは、もう理性をどこかに捨てて来たらしい。
「うっ、ご、ごめんなさい」
「謝るだけで許されると思っているのか?」
俺の体を跨いで上からガリアードが、見下ろす。どうしたらいいんだよ、マジでわからない。こんな怖いガリアードが君臨するって、俺の死亡フラグはまだぬぐい切れていなかったのか? これって、凌辱モードのガリアードだよね、リリアン死亡エンドの時に現れるあの人だった。
しかも今回は演技でもなんでもない。本気の凌辱モードのガリアード。
「ひっ、怖いっ、ガリアード様、怖いです」
「当たり前だろう、俺は怒っているんだから」
怒っている人が、怒っていないとか言うのは、マジでお前怒っているだろう。って突っ込めるけど、怒っている人が自分は怒っていると言った場合、それはもうおちょくっていいレベルではありません! 第二王子ぃぃ、お前という新しい上司についた俺がバカだった。したたかと言った王子様、それをイイと言った王子様、これは絶対ダメな、したたかリリアンだったよ。お前の指示で、第一王子から言質はいただいたけれど、俺の、俺の、心の純潔と引き換えだなんて聞いていない!
凌辱というものにさらされずに回避してきた俺の努力が、凌辱という、ついに最大の敵に俺の可憐な心の純潔が散らされる、溺愛ルートは凌辱を越えなければ手に入れられないのかぁ!?
「ごめんなさいっ、もうしないから許してください」
「先ほど言っただろう、謝るだけでは許さないと。話はちゃんと理解しろ、リリアン」
暴言はかれた。怖い、怒られた!
「うっ、ひっく、うう」
俺は社畜だけど、リリアンなんだよ。リリアンの体は震えて自然と涙が出てくる。マジで怖い、俺殺されるのか!? こんな展開なかったから全く先が読めない。初めての現場で、初めてのシチュエーション。
「泣くな、泣く前にやることをして、旦那の怒りを鎮めるんだ」
「な、なにを、ヒック、したら、いいいいので、すか? ひっく、ぐすん」
命令口調で、そして怖い目で見られると、心も体もすくんでしまう。
「起きろ」
「えっ」
「聞こえなかったのか、起きて俺の前を開けろ」
えっ、俺はガリアードの股間を見た。大きくなっている、いつの間に!? やはりこいつは怒ると起きるタチらしい。性癖ヤバメなのは溺愛世界になっても変わらなかった。
リリアンを凌辱する時こそ、ガリアードは一瞬で勃起できる能力を持っていた。さすが十八禁アニメの主人公、凌辱スキルは本能で身についていたんだ!
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