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番外編 2
北海道旅行 5
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俺たちは大きなリビングでお茶をしていた。
「それにしても、凄いね北海道! ここに来る前に僕たちお花見してきたよ。やっぱりこの時期は日本にいるべきだよね。東京でも沢山お花見したけど、ほら桜ってすぐ終わっちゃうでしょ。一か月後にまた見れるとかご褒美だよね~」
「ああ、俺もびっくりしました。こっちは今が満開なんですよね」
「うん! すっごい人だった。ね、空」
空は例の恋人……ラングドシャを食べていた。結局ウェルカム用のお菓子はいつもの定番チョコにすることに決まったので、ラングドシャはおやつに少しもらってきた。海斗さんの問いかけに「ねぇ!」と答えてから、手にラングドシャを持って俺に向き合う。
「まさ君これって、ママの大好きな北海道のお菓子とそっくり」
「さすが空、お前は気付いたか? それはな、ぱくりと言うんだぞ。いい子は真似したらいけないよ」
空は首を傾げる。
その顔が可愛いなぁ。いつかこの子本当に家の嫁に来ないだろうか。でも、二人の旦那はまずいから、どっちが空を射止められるのかと、ハラハラするの嫌だなぁ。子どもたちは平等に幸せになってもらいたい。そして空の負担を考えると、やはりアルファに愛されるなら一人がいいよなぁ、とか俺は母として人として今とてつもなく悩んでいる。
「ええ、酷いなあ、正樹。北海道と言ったらさ、これなのに。司はイケるって言ってたよ」
海斗さんは笑いながら、ラングドシャを手に持っていた。
「いや、いくらなんでも、ここでのことは来た人が漏らさない契約とはいえ……これはまずいでしょ」
「え? 美味しいよ?」
いや、たしかに味は超一流でうまいけどさ、その発想がまずいんだって。せめて「Mの恋人」じゃなくてさ、M&Tチョコとおなじで、M&Tクッキーとかでよくね? そこで空が微笑む。
「ほんと美味しいね。このロイヤルミルクティーのチョコ、いつもの紅茶とそっくりな味」
「さすが空! イギリスで味覚鍛えられてるね。茶葉はイギリスの老舗のティーショップとわざわざ契約して、この味作ったんだよ」
それを聞いて驚く俺。
「え……」
「類が協力してイギリスのブランドと契約したんだ。そこからこの味出すのに二年かかったみたい。正樹は鬼嫁だなぁ、さっき司に聞いたよ。正樹がこれを中止って言ってたって」
海斗さんの言葉で、俺は司の苦労を知らずにただパクリだと決めつけて。というかネーミングと発想はパクリだよな? きっと苦労して考え出したウェルカムお菓子を一言で止めさせてしまった……どんよりした顔を見せたら、空があわあわした。そして俺の反応に海斗さんが慌てた。
「ママ! まさ君虐めないの!」
「ご、ごめん。冗談だよ。正樹ぃ。意地悪言ってごめんね。そのくだりさっき聞いた時に面白くてついからかった。商売だから、ちゃんと名前変えてそのまま使うって」
その言葉に救われた。
「え? そうなの」
「うん。ごめん。僕がネーミングは北海道なら恋人を付けるって言っちゃったの。まさか通ると思わなくてさ。ほんと紛らわしいことしてごめんね。西条グループなら誰かが名前は変えると思ったんだけど、司が思いのほか、恋人ってところ気に入っちゃったんだって」
あいつ……と思いながらも、海斗さんの奔放さに、少し怒る俺。
「海斗さん、司はお坊ちゃんだから、こういうお菓子知らないんだよ。あまりからかわないでよ」
「ほんと、ごめんって。でも、西条グループの法務部がきちんと何か対策は取ってると思うし、大丈夫かもしれないけど、まぁ危ない橋はわたらない方がいいからね。司はできた嫁だって、この話のくだり自慢してたよ。あとね、恋人っていうネーミングに恥ずかしがってる嫁が可愛いって」
司、そんなこと思っていたのかよ⁉ もう、ほんと、俺たちって、出会った頃から変わらないけど。司が怒ってなくてよかった。
「そこに恥ずかしがってないし!」
「あはは、ほんと何年経っても二人って、可愛い恋人同士みたいでいいね」
海斗さんが笑って、空が母親のそんな姿に「めっ!」てしてて、可愛い。
「もう、海斗さん俺たちをネタに笑い過ぎだから」
「いいじゃん。僕から見たら羨ましいよ、そんな関係が」
「え? 海斗さんとこだって、櫻井すげぇ暑苦しいよね?」
「はは、人の旦那に暑苦しいって失礼だね。類は司ほど子どもじゃないから、たまに司の奔放さは類にも少し欲しいかなって思うよ。年上女房に合わせて類は早く大人になちゃったかなって最近思うんだ」
なんだろ、なにかあるのかな? そんでもって司のことディスってないか? 確かにあいつは世間では優良アルファかもしれないけど、お子ちゃまな部分はあるし……真実だから仕方ない。
「大丈夫、まさ君。パパとママはラブラブだから。ただママが少し外人だから、パパが外ではママのそういう奔放なところ見せたくなくて、我慢してるのをママは気に食わないみたい」
「え?」
空がしっかりしすぎてて、俺は心配だよ。なんだ、それ? にしても息子に外人と言われてる海斗さん……華麗な見た目を裏切るお茶目な中身。
「だってさ、類見てたら僕、ムラムラしてフェロモンでちゃうみたいなんだ。僕コントロールがいまだに得意じゃなくて。そんで類が耐える姿見たらもうだめで」
「ちょちょちょ、いったい子どもの前で何の話ぃ⁉︎」
「やーだーなー、正樹のえっち! そんな話じゃなくて、類が人前でいちゃつかなくなってきて、なんだか寂しんだ」
「……それが大人だよ、海斗さん」
うんうんって空が頷く。
「まんねりとも言うけどね」
そこでピンポーンとベルが鳴る。
「それにしても、凄いね北海道! ここに来る前に僕たちお花見してきたよ。やっぱりこの時期は日本にいるべきだよね。東京でも沢山お花見したけど、ほら桜ってすぐ終わっちゃうでしょ。一か月後にまた見れるとかご褒美だよね~」
「ああ、俺もびっくりしました。こっちは今が満開なんですよね」
「うん! すっごい人だった。ね、空」
空は例の恋人……ラングドシャを食べていた。結局ウェルカム用のお菓子はいつもの定番チョコにすることに決まったので、ラングドシャはおやつに少しもらってきた。海斗さんの問いかけに「ねぇ!」と答えてから、手にラングドシャを持って俺に向き合う。
「まさ君これって、ママの大好きな北海道のお菓子とそっくり」
「さすが空、お前は気付いたか? それはな、ぱくりと言うんだぞ。いい子は真似したらいけないよ」
空は首を傾げる。
その顔が可愛いなぁ。いつかこの子本当に家の嫁に来ないだろうか。でも、二人の旦那はまずいから、どっちが空を射止められるのかと、ハラハラするの嫌だなぁ。子どもたちは平等に幸せになってもらいたい。そして空の負担を考えると、やはりアルファに愛されるなら一人がいいよなぁ、とか俺は母として人として今とてつもなく悩んでいる。
「ええ、酷いなあ、正樹。北海道と言ったらさ、これなのに。司はイケるって言ってたよ」
海斗さんは笑いながら、ラングドシャを手に持っていた。
「いや、いくらなんでも、ここでのことは来た人が漏らさない契約とはいえ……これはまずいでしょ」
「え? 美味しいよ?」
いや、たしかに味は超一流でうまいけどさ、その発想がまずいんだって。せめて「Mの恋人」じゃなくてさ、M&Tチョコとおなじで、M&Tクッキーとかでよくね? そこで空が微笑む。
「ほんと美味しいね。このロイヤルミルクティーのチョコ、いつもの紅茶とそっくりな味」
「さすが空! イギリスで味覚鍛えられてるね。茶葉はイギリスの老舗のティーショップとわざわざ契約して、この味作ったんだよ」
それを聞いて驚く俺。
「え……」
「類が協力してイギリスのブランドと契約したんだ。そこからこの味出すのに二年かかったみたい。正樹は鬼嫁だなぁ、さっき司に聞いたよ。正樹がこれを中止って言ってたって」
海斗さんの言葉で、俺は司の苦労を知らずにただパクリだと決めつけて。というかネーミングと発想はパクリだよな? きっと苦労して考え出したウェルカムお菓子を一言で止めさせてしまった……どんよりした顔を見せたら、空があわあわした。そして俺の反応に海斗さんが慌てた。
「ママ! まさ君虐めないの!」
「ご、ごめん。冗談だよ。正樹ぃ。意地悪言ってごめんね。そのくだりさっき聞いた時に面白くてついからかった。商売だから、ちゃんと名前変えてそのまま使うって」
その言葉に救われた。
「え? そうなの」
「うん。ごめん。僕がネーミングは北海道なら恋人を付けるって言っちゃったの。まさか通ると思わなくてさ。ほんと紛らわしいことしてごめんね。西条グループなら誰かが名前は変えると思ったんだけど、司が思いのほか、恋人ってところ気に入っちゃったんだって」
あいつ……と思いながらも、海斗さんの奔放さに、少し怒る俺。
「海斗さん、司はお坊ちゃんだから、こういうお菓子知らないんだよ。あまりからかわないでよ」
「ほんと、ごめんって。でも、西条グループの法務部がきちんと何か対策は取ってると思うし、大丈夫かもしれないけど、まぁ危ない橋はわたらない方がいいからね。司はできた嫁だって、この話のくだり自慢してたよ。あとね、恋人っていうネーミングに恥ずかしがってる嫁が可愛いって」
司、そんなこと思っていたのかよ⁉ もう、ほんと、俺たちって、出会った頃から変わらないけど。司が怒ってなくてよかった。
「そこに恥ずかしがってないし!」
「あはは、ほんと何年経っても二人って、可愛い恋人同士みたいでいいね」
海斗さんが笑って、空が母親のそんな姿に「めっ!」てしてて、可愛い。
「もう、海斗さん俺たちをネタに笑い過ぎだから」
「いいじゃん。僕から見たら羨ましいよ、そんな関係が」
「え? 海斗さんとこだって、櫻井すげぇ暑苦しいよね?」
「はは、人の旦那に暑苦しいって失礼だね。類は司ほど子どもじゃないから、たまに司の奔放さは類にも少し欲しいかなって思うよ。年上女房に合わせて類は早く大人になちゃったかなって最近思うんだ」
なんだろ、なにかあるのかな? そんでもって司のことディスってないか? 確かにあいつは世間では優良アルファかもしれないけど、お子ちゃまな部分はあるし……真実だから仕方ない。
「大丈夫、まさ君。パパとママはラブラブだから。ただママが少し外人だから、パパが外ではママのそういう奔放なところ見せたくなくて、我慢してるのをママは気に食わないみたい」
「え?」
空がしっかりしすぎてて、俺は心配だよ。なんだ、それ? にしても息子に外人と言われてる海斗さん……華麗な見た目を裏切るお茶目な中身。
「だってさ、類見てたら僕、ムラムラしてフェロモンでちゃうみたいなんだ。僕コントロールがいまだに得意じゃなくて。そんで類が耐える姿見たらもうだめで」
「ちょちょちょ、いったい子どもの前で何の話ぃ⁉︎」
「やーだーなー、正樹のえっち! そんな話じゃなくて、類が人前でいちゃつかなくなってきて、なんだか寂しんだ」
「……それが大人だよ、海斗さん」
うんうんって空が頷く。
「まんねりとも言うけどね」
そこでピンポーンとベルが鳴る。
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