運命を知っているオメガ

riiko

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「運命を知っているオメガ」×「運命を知りたくないベータ」

6、クリスマスパーティー 2

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 我が家でクリスマスパーティーをすることになったが、俺は子供のことで頭がいっぱいだし、成人した息子たちの集まりに母親がすべて準備するのもおかしいだろうということになり、司がアルファの能力を発揮して、実家のホテルスタッフに集合をかけた。

 アルファの能力というか、御曹司の能力ね。なんか申し訳ない。一般家庭でのパーティーにセレブ御用達のホテルスタッフをお借りするなんて。

 そこは支配人のイケおじ笹本さんがむしろ張り切って準備に自ら来てくれた。双子が産まれた時から孫のようにかわいがってくれているとてもいい人だ。ホテルクオリティーで凄まじく豪華な会場が出来上がった真山家だった。
 
 笹本さんがおちゃめなのか、玄関からリビングに続く廊下に赤い絨毯を敷いていた。これは一体……。母さんが笹本さんのエスコートで、廊下を優雅に歩いていた。あなた達は一体何を?

「いやん、ママセレブになった気分だわ」
「そ、そうだね。レッドカーペットって意味だったんだね」
「だって世界のkaiカイが来るんだもの。これくらいしないとね! 笹本さんのアイデアにママきゅんしちゃったわ」

 母さんも笹本さんも楽しそうで何よりです。

「笹本さん、今日は準備ありがとうございました」
「いえ、これくらいとんでもございません。では私はホテルへ戻りますが、片付けスタッフは明日よこしますので、奥様は何もせず今日はお友達と久しぶりにお楽しみくださいませ」
「何から何まで、すいません」

 奥様と言われて俺は照れた。

 司の奥様なんだよな、俺。そんな笹本さんは、俺に微笑みを残してから華麗にホテルスタッフを引き連れて帰っていった。ほんとホテル子息の嫁ごときがすいませんと心の中では謝罪と感謝の気持ちでいっぱいだった。

「じゃあ俺、司を呼んでくるね。降りてこないところを見ると双子はもう寝ているのかも。もうすぐみんな来ると思うから、来たら適当に案内しておいて」
「まかせなさい! 今日はかける君もつきちゃんも来てくれるし、ほんと楽しみだわ」
「ちょっと大人数になるけど、母さんもあまり無理しないでね」

 かける君とつきちゃんというのは、司の両親だ。司の両親とうちの両親は意気投合してとても仲良しみたいで、四人でよく遊びに行っているみたい。セレブ夫妻と庶民である俺の両親が遊ぶって何しているのかは謎だったけれど、まあ円満で良かったよ。

 準備中は司に双子の世話を任せていたので、二階にある俺達の部屋へと向かった。

 部屋を開けると、絨毯の上では気持ちよさそうに親子三人ぐっすり寝ていた。ふふ、司も寝ちゃったんだ、可愛いな。俺達の天使たちも可愛いけれど、俺のアルファはかっこよくて可愛くて、たまらなくセクシーでとにかく最高だった。

 司の上に乗っていた双子を静かに抱っこしてベビーベッドに寝かせた。

 そして俺は司の隣にコテンと横になって司に寄り添った。息子たちには悪いけど、この男は俺のだからな。返してもらうぞ。

 大好きな旦那の寝顔を見て、俺は幸せに浸かっていた。司にそっくりな双子と頼りないような頼りがいの塊のような? そんな俺と同じ年の親友で恋人で旦那である俺のアルファがいる生活。

 寝顔は年相応に可愛いのに、起きたらスパダリに大変身。俺のことになるとたちまち弱気になってオロオロしだすのに、外だとアルファ様炸裂なオレ様で、なんともギャップがたまらなく俺のツボなんだよな。

 とにかく出会ってから、ずっと司に恋をしていて継続中だった。

 これからみんなが遊びに来るから司を起こさなくちゃって思っていたけど、寝ている司を見ていたらもっと独り占めしていたいなって思ってしまった。俺も大概だ。司は俺のことすごく好きみたいだけど、俺だって相当好きだった。俺は司にくっついて手を握った。最近は子どもたちにこの手を奪われて、二人で手をつなぐこともなくなっていた。ベビーカーを持つか、赤ん坊を抱っこするかに、俺のアルファの手は手一杯だ。

 仕方ない、二人も子供がいるんだもんな。今は子どもたちに貸してやるけど、子供が成長したらこの手はちゃんと俺のもとに返してもらうからな!

 そう心の中で誓って、寝ている司の唇にキスを落とした。すると司の目が薄く開いた。

「ん、あっ、しまった。俺寝ていたか? あっ双子は!?」
「お前は愛する妻よりもまず子供か?」
「へっ、ああ、いや」
「バ――カ! 冗談だよ。りんれんはベビーベッドに移したから心配するな、よく寝ている」

  本気でキョドるなよ、俺がひどい母親じゃねぇか。子供のことを一番に考えてくれるいい父親で俺は嬉しいよ。そんな寝起きの司の上に馬乗りになって、もう一度キスをした。

「司、大好きだよ」
「なに、いきなり。俺もだけど、俺は正樹を愛している」
「ぶはっ、そうだな。俺も愛しているよ、なあ、もっとキスしよう」
「ああ、濃厚なのを……」

 俺は司に夢中でキスをした。司を組み敷いて俺が上になって、キスを仕掛ける。ああ、このままその先にいきたいな、そんなことを思っていたら、司が俺の服をめくり胸を触ってきた。

「あっ、こら! だめだろう。もう準備が終わって笹本さんも帰っていったぞ。みんなもうすぐ来るから」
「ああ、そうだった。寝起きに俺の女神がキスをするもんだから、お誘いかと思ったよ」
「間違いないが、それは今じゃないからな。さあ、下へ行くぞ」
「う……ん。もうちょっとだけ、もう少しキスしたらな」
「ふあっ、んんん、おまっ、はん」

 そして夢中になって濃厚なキスをしていたら、笑い声が聞こえた。

「ははは、これは驚きだな。まさか正樹から司に乗っかっているなんて。司の執着が強そうに見えていたけど、主導権は正樹ってことかな?」
「ああ、正樹はああ見えても男前だからな、西条を押し倒すくらいわけないだろう」

 俺が司に乗って、上からむさぼるようなキッスをしていたら、いつの間にかドアの所には櫻井夫妻が立っていた。相変わらず美しい姿の海斗さんと、さわやか王子の櫻井。我が家がたちまち華やかになった。この家で美しいのは司だけだからな、アルファあるあるなのか、とにかくうちの旦那はかっこよくて、毎日俺はほれぼれしている。それはさておき、俺はとんでもない現場を友人に見られて焦った。

「えっ、か、海斗さん!? と櫻井!」
「ごめんごめん、二人とも久しぶり。百合ちゃんが二人を呼びに行って欲しいって言っていたから。良かったね、類。空を二階に連れてこなくて。流石に教育上よくないよね、空の大好きな正樹が旦那の上に乗って、胸を出して夢中にキスをしている姿は」
「ちょ、言い方!」

 海斗さんは俺達のラブシーンなんか気にならなかったようで、すぐにベビーベッドへと向かった。

「うわっ、可愛いね。双子ちゃん、あれ? まだ一歳にもならないのに、すでに司に似ているって、遺伝子強くない?」
「ほんとだ、こないだ写真もらったときはそこまでじゃなかったのに、もう西条の顔をしているな」

 櫻井夫妻は俺達のことは忘れて、双子を覗きに行っていた。俺は恥ずかしがりながらも、息を整え司の上から降りた。司も立ち上がり俺のまくれた服を直してくれた。

「お前ら、新婚夫夫ふうふの部屋に許可なく来やがって。俺と正樹のラブシーンを邪魔するな」
「新婚って、もう二年は経っただろ? お前らこそ、客ほっといていちゃつくなよ。こんな日くらい我慢したらどうだ?」
「俺が正樹を我慢する日は、正樹が病気の時だけだ」
「はいはい」

 司と櫻井が変なやり取りをしている間に、俺と海斗さんは起きてきた双子を抱っこして一階のベビーベッドに連れて行くことにした。

 それにしても、さすが世界の海斗さんだ。人のラブシーンも平常心でなんのその。俺の方が恥ずかしくてまだ顔がほてっていたぜ。
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