運命を知っているオメガ

riiko

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番外編

14、真山家の家族旅行5

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 司を感じて俺はやっといつもの落ち着いた俺を取り戻した。その頃にはすでに昼を回っていた。

「そういえば、司はなんでここに?」
「もし正樹に何かあったら怖いから、近くに来ていたんだ」
「へ、へぇ」

 やっぱこいつストーカーか? でもそのおかげで助かったけど。

「一人で大浴場に行くって連絡きただろ、その後電話しても繋がらないし、俺あわててここに来たんだよ。首輪しているオメガが一人で大浴場なんて、問題しかないし、なにより正樹の裸を他の男に見せたくない、和樹さんには貸し切りの時間だけ正樹を連れていって下さいってお願いしていたんだ」
「ん?」
「ここの女将と知り合いだから、チェックインから一時間だけ施設点検ってことで大浴場の利用を止めてもらって、その時間だけ正樹と和樹さんだけになれるように頼んだ」
「ええっ!? そうだったの、それで誰もいなかったのか」

 すげえな、司の力。父さんもなんか隠し事しているような感じがちらちらしていたんだよな、そういうことか。

「なんか、ありがとう。俺、全然知らなくて」
「ううん、事前に和樹さんが家族旅行で泊まる宿を教えてもらっていたから助かった。それでその旅館なら女将と面識あるし俺のつがい家族が行くからって色々融通をきかせてもらったんだ」
「司、好き!」

 俺は司に飛び乗った。

「うおっ、正樹?」
「俺、お前がホント好き、変態でストーカーだけど、でも好き、凄く好き!」
「へ、変態? ストー……えっ?」
「いいの、それも含めて全部好きだから!」
「そ、そうか?」
「うん! 好き!」

 馬乗りして、キスをした。ほんと好きなんだよな、出会った頃から、好きなのを抑えていた頃から、ううん、その時よりもどんどん好きになる。

 裸で馬乗りしている俺も大概だけど、それに素直に答えてキスをちゃんと返してくるこいつも大概だ。変態同士お似合いだろ。

「ま、正樹っ、嬉しいけど、そろそろご両親のところに戻った方がいい、二人とも心配しているだろうし」
「あっ、俺また無断で! しまった」

 やべえ、また母さんに泣かれる、というか父さんにもまた怒られる?

「それなら大丈夫。二人には旅館の人から連絡入れておいてもらったから。大浴場であった事ももう知っているよ、ちなみに正樹を連れていこうとした男は、公然わいせつ罪で捕まった。目撃者が多かったし、あいつ連行されたときフル勃起だったから、それともう一人の男は他の人が露天に入らないように入り口でドアが故障したって言って、通さないようにしていたから罪が認められたよ」
「そ、そうか。俺つくづく犯罪に近いなぁ、本当にありがとう、俺司には感謝してもしきれない」
「正樹はもう怖い思いをして、身をもってわかったと思うけど、本当にこんなこと勘弁してよ。もし三度目があったら監禁するから」
「う、わ、わかった。俺気をつけて生きます」

 よしよしって頭を撫でられた。司は優しいな、こんなダメなオメガなのに、怒らずにきちんと正してくれる。司の寛大さに感謝だ。それにいつも抜けている俺だけど、司が両親を気にして動いてくれるのも助かる。

 司にもう一度ギュってしてから、起き上がった。
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