運命を知っているオメガ

riiko

文字の大きさ
上 下
1 / 101
本編

1、オメガになった日

しおりを挟む

 今日から高校生活が始まる。

 ワクワクしながらも不安はある。それはこれから始まるかもしれない発情期や、改めてアルファやオメガという人種の中に入ること。

 俺は中学時代、ベータしか存在しない学校に通っていた。でも高校には、中学の時とは違いベータだけではなくアルファやオメガも存在するらしい。

 そこは受験する際に再度バース検査を受けることが必須だった。小学生の時の検査でベータだったし、突出した能力も無いから意味ないのにと思ったが、たまにいきなりアルファになるやつとかもいるらしいし、必須なら仕方ないので受けてきた。

 バース検査になんて、引っかかるとも思ってもなかった。

 検査結果はまさかのオメガ。

 両親はそんなこともあるのかと驚いてはいたが、むしろ母親は喜んでいたように見えた。なぜなら俺の母親は腐女子という部類らしく、アルファのイケメンを婿に迎えられるチャンスができたと訳のわからないことを言っていた。

 それはさておき、多様性の中でも生き抜く力を手に入れろという我が家の方針と、若いうちからできるだけ多くのバースと触れ合わせて偏見の無い人間に育って欲しいという両親の願いがあった。俺はなんの疑問もなく、その両親が選んできた高校に勧められるまま受験しただけだった。

 その時までは何も考えていなかった。でも今は違う! 俺、男。オメガとなった以上、そんな学校行くのはちょっと嫌だ。自慢じゃないが凡人の中の凡人、それが俺、 真山正樹まやままさきだ!

 今まで性別を疑ったこともなく、もちろん男としてしか生きていないし、可愛い女の子で童貞を卒業するのを夢見ている。それなのに、妊娠できて男はおろかアルファなら女の子にまで掘られる側。そんなの受け入れられるわけがない。そしてそんな恐ろしい人種がいるところなんて行きたくない。

 いっそこのままオメガを隠して、またベータしか存在しない学校に通えばいいのではないか? そう思って親に相談するも、もうその高校には事前検診の結果も送っていた。

 国の方針でアルファとオメガは自動的にいく学校は決められていてその一つがその学校だった。俺がオメガと判明した時点で、たとえベータしかいない学校に受かっていたとしても無駄だったのだ。そこに通うのは決定事項になっていた。

 ベータだけの幸せな中学時代だったから、高校でもそれを選べばよかった。そしたら再度バース検査なんて受けずに、発情期がくるまでオメガだって知らず生きられたのに。なんの考えもなく親の勧めるままに、俺の偏差値ではかなり厳しいにもかかわらず、辛い受験勉強を頑張った俺、無駄な努力をしていた。

 悔しいっ。
しおりを挟む
感想 128

あなたにおすすめの小説

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

もう人気者とは付き合っていられません

花果唯
BL
僕の恋人は頭も良くて、顔も良くておまけに優しい。 モテるのは当然だ。でも――。 『たまには二人だけで過ごしたい』 そう願うのは、贅沢なのだろうか。 いや、そんな人を好きになった僕の方が間違っていたのだ。 「好きなのは君だ」なんて言葉に縋って耐えてきたけど、それが間違いだったってことに、ようやく気がついた。さようなら。 ちょうど生徒会の補佐をしないかと誘われたし、そっちの方に専念します。 生徒会長が格好いいから見ていて癒やされるし、一石二鳥です。 ※ライトBL学園モノ ※2024再公開・改稿中

R指定

ヤミイ
BL
ハードです。

風俗店で働いていたら運命の番が来ちゃいました!

白井由紀
BL
【BL作品】(20時毎日投稿) 絶対に自分のものにしたい社長α×1度も行為をしたことない風俗店のΩ アルファ専用風俗店で働くオメガの優。 働いているが1度も客と夜の行為をしたことが無い。そのため店長や従業員から使えない認定されていた。日々の従業員からのいじめで仕事を辞めようとしていた最中、客として来てしまった運命の番に溺愛されるが、身分差が大きいのと自分はアルファに不釣り合いだと番ことを諦めてしまう。 それでも、アルファは番たいらしい なぜ、ここまでアルファは番たいのか…… ★ハッピーエンド作品です ※この作品は、BL作品です。苦手な方はそっと回れ右してください🙏 ※これは創作物です、都合がいいように解釈させていただくことがありますのでご了承くださいm(_ _)m ※フィクション作品です ※誤字脱字は見つけ次第訂正しますが、脳内変換、受け流してくれると幸いです ※長編になるか短編になるかは未定です

花婿候補は冴えないαでした

BL
バース性がわからないまま育った凪咲は、20歳の年に待ちに待った判定を受けた。会社を経営する父の一人息子として育てられるなか結果はΩ。 父親を困らせることになってしまう。このまま親に従って、政略結婚を進めて行こうとするが、それでいいのかと自分の今後を考え始める。そして、偶然同じ部署にいた25歳の秘書の孝景と出会った。 本番なしなのもたまにはと思って書いてみました! ※pixivに同様の作品を掲載しています

【完結】幼馴染から離れたい。

June
BL
隣に立つのは運命の番なんだ。 βの谷口優希にはαである幼馴染の伊賀崎朔がいる。だが、ある日の出来事をきっかけに、幼馴染以上に大切な存在だったのだと気づいてしまう。 番外編 伊賀崎朔視点もあります。 (12月:改正版)

頑張って番を見つけるから友達でいさせてね

貴志葵
BL
大学生の優斗は二十歳を迎えてもまだαでもβでもΩでもない「未分化」のままだった。 しかし、ある日突然Ωと診断されてしまう。 ショックを受けつつも、Ωが平穏な生活を送るにはαと番うのが良いという情報を頼りに、優斗は番を探すことにする。 ──番、と聞いて真っ先に思い浮かんだのは親友でαの霧矢だが、彼はΩが苦手で、好みのタイプは美人な女性α。うん、俺と真逆のタイプですね。 合コンや街コンなど色々試してみるが、男のΩには悲しいくらいに需要が無かった。しかも、長い間未分化だった優斗はΩ特有の儚げな可憐さもない……。 Ωになってしまった優斗を何かと気にかけてくれる霧矢と今まで通り『普通の友達』で居る為にも「早くαを探さなきゃ」と優斗は焦っていた。 【塩対応だけど受にはお砂糖多めのイケメンα大学生×ロマンチストで純情なそこそこ顔のΩ大学生】 ※攻は過去に複数の女性と関係を持っています ※受が攻以外の男性と軽い性的接触をするシーンがあります(本番無し・合意)

大嫌いだったアイツの子なんか絶対に身籠りません!

みづき
BL
国王の妾の子として、宮廷の片隅で母親とひっそりと暮らしていたユズハ。宮廷ではオメガの子だからと『下層の子』と蔑まれ、次期国王の子であるアサギからはしょっちゅういたずらをされていて、ユズハは大嫌いだった。 そんなある日、国王交代のタイミングで宮廷を追い出されたユズハ。娼館のスタッフとして働いていたが、十八歳になり、男娼となる。 初めての夜、客として現れたのは、幼い頃大嫌いだったアサギ、しかも「俺の子を孕め」なんて言ってきて――絶対に嫌! と思うユズハだが…… 架空の近未来世界を舞台にした、再会から始まるオメガバースです。

処理中です...