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2話

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 何かふわふわして気持ちいーなぁ、それにいい匂いもする。身を捩ると温い固い壁にぶつかるがエアコンの冷気のせいか肌寒かったのでそこにスリっと頬を寄せて思わず口元を緩ませてしまう。

『ぁんっ……もぅ……くぅ、ぁぁぁーーっ!』

 ずっと流れているBLアニメの嬌声、声だけだと想像が掻き立てられて余計卑猥に聞こえてくるからいい加減に止めてほしい。そして頭上に感じる掌の温もり、ずっと撫でていたのかな?最高だなーもっとこのままでいたい。

 うっとりと身を任せていたら撫でていた手の感触が急になくなってしまいどこにいったのかと薄目を開けて手を探してしまう。そこに劉生の手が頬や耳下、項を撫でてきた。

「ぁぅ~」

 くすぐったくて寝ぼけたまま手を払いのける。けれども再度撫でてくるのでまた手を払いのける。それを数回繰り返していたら手を掴まれてしまいその手の甲に柔らかい感触がしてチュッというリップ音がしたと思ったらペロッと舐められてしまった。

 訳も分からず一瞬で目が覚めてしまい必死に手を払うが力の差なのか振りほどけない。

「わー!な、な、なな……なにすんだーーー!」

 思わず叫んで身体を起こすとなんと劉生に膝枕されていたらしいことに気付く、じゃぁさっき感じた固い壁ってまさか!チラっと股間あたりを見るが膨らみはないようでよかったぁ~~と一安心。じゃぁ、あの固いのは腹筋か!なんか腹立つ……

 それにしてもまだ手の甲に唇と舌の感触が残ってる感じがするしなんかドキドキもしてきた……じぃっと劉生の唇をみつめてしまう。あの唇が俺の手を舐め、ぬるっとした感触を思い出し頭を振る。

「くっくっく、そんな物欲しそうな顔して見るなよ。もっとしてほしいのか?」

「んな訳あるかー!手を離してくれ、痛い……うわっ!」

 少し涙目になりながらキッと睨み付けるけれど手を離してくれずそのまま引っ張られてしまった。バランスを崩してしまい劉生に伸し掛かるがもう片方の腕が腰に回されて抱き留められてしまい顔が大接近。

 ヤバいこいつやっぱすげーイケメンだ。イケメン爆発しろ!理不尽な文句を心の中で言いながら眼を逸らすことも出来ず見つめていたら軽いバードキスをされ唇をペロッと舐められた。ショックで動くことができなくてそのまま固まってしまうが心の中はかなりの大騒ぎだ。

 こいつ何した?接吻ってやつか?……ぎゃーなんてことしやがるんだこいつ!俺のファーストキス…可愛い女の子と夕方川沿いでチュッとする予定だったのに!夢が砕けてしまった。

 そうだ!今のはキスではない!大型犬にでもされたと思えばいいんだ。必死に現実逃避をしつつも無意識に自分の唇に触れてしまう。

 でも劉生とキスしても嫌悪感ないんだろう?と不思議に思うけどボーイズラブにどっぷりつかった環境にいたせいで倫理観が崩壊してしまったのかもしれないと自分に言い聞かせる。

「美味そうなごちそうが転がってたから喰わせてもらった。ごちそーさん」

 手を離してくれたのはいいが耳元に唇を寄せ囁やかれペロリと自分の唇を舐めてニヤリと見つめてくる。そのエロボイスと妖艶な姿に思わず背筋がぞくぅっと寒気が!
 身を震わせると下半身の中心が反応してるのに気付き腰が砕けそうになるのを必死で自分の身体を抱いて誤魔化す。

 自分の殺人的エロボイスの威力に気付いてほしい、俺を腰砕けにしてどうするんだよ!てかこの股間どうしたらいいんだよ……
 もぞもぞと腿を擦って動いていたのに気づいたのか股の間に手を滑り込ませてきてふにふにと中心に触れてきた。

「っん、な、なんでもない……触るな!」

「キスだけで勃起したのか?敏感すぎるだろ」

「お前の声がエロすぎんだよ!離れろ――部屋戻る……」

 ここは部屋に戻って治まるを待つしかない、このままこいつといたらかなりヤバい事になりそうだしこのドキドキも隠したい。

 劉生の上から退こうと立ち上がろうとするが抱き留められ腰に回された腕の力が強く抜け出すことができずこの馬鹿力めと悪態をつく。様子を見るととても楽しそうなのがとても腹立つ。

「股間、苦しそうだな、手伝ってやろうか?」

「いや、遠慮する!ほっとけば治まる……ぁん」

 喋ってる途中にもズボンの上から揉んできて思わず声が上ずりギュッとシャツを掴む。何だこの声、俺の声?でも気持ちい……流されちゃダメだと脳内に言い聞かせるもののクラクラしてしまい判断がつかない。

 こいつ慣れてないか?手際がいいというか、気づけば片方の手で首、鎖骨、胸と順番に掌で撫でてきた。

 股間を撫でていた手がズボンのジッパーを下し下着の中に滑り込んできてゆるく勃ち上がったそこを直に掴み軽く上下に扱いてくる。

 声が出そうになるのを唇を噛んで堪えていると劉生が鼻を摘みそのまま唇を塞がれてしまい息苦しく思わず口を開いてしまう。そこにぬるりと舌が入ってきてしまい反射的に目を閉じてしまう。

 舌を絡ませてこようとするのを必死で逃げるが捕まってしまい深く舌を絡ませられ歯列をなぞり口内の感じる場所をさぐられ唾液が飲み込めず口端から絶えず零れる

「ちょっ!やめっ……ん、ん、んーー!」

 何がどうしてこうなった?BLアニメのせいか?俺が寝たふりしたせいなのか?いや、こいつのエロボイスが悪いんだ!そのせいだ!劉生の声とか聞き慣れてるくせにこんな反応してしまうとか、どうなってんだ俺は!

 下半身の自身は既に完勃してしまい先端からは先走りまで溢れている始末。カチャッカチャッとベルトが外されズボンと下着を膝まで下された。いつ取り出したのか一回り大きい劉生の猛りと自分のモノを一緒に握りこまれ上下に扱いていく。
 初めての刺激に脚は震え、声が抑えられないが口は劉生の唇に押さえられてる為、くぐもった声しか出ない。2階には両親がいるのもあり背徳感が半端ないがいやあの二人なら喜んで出歯亀しそうだと頭をよぎってしまう。

「んぅ…んっー……うー、ぁぁん」

「腰浮いてるな……いいだろ?お前の辛そうだしやらせろ、手貸せ」

 唇が離れ口端から零れた唾液を舐めながらそのまま首筋へと舌を這わせチリっと痛みが走る。手を掴まれ劉生のソコに触れさせられ握らされた。体格と一緒で猛りもデカい、そのナリにしてそのブツってハイスペックすぎるだろ!

 恐る恐る手を上下に動かし刺激を与えてみるとピクッと反応してくれたそれが少しうれしくなり微笑する。

「はぁ……りゅ、せ……ぃい」

「たかと、お前その顔、反則だ……」

「な、んぅ!やめぇ…出る…離してくれ……くっん…んぁぁ!」

「くっ!」

 急に手の動きが激しくなりピークが近づいてくる。離せと言っても離してもらえずそのまま掌に達してしまった。達した瞬間、劉生の鈴口と雁括をキツク掴み扱いたせいかそのまま劉生も達した。

「はぁはぁ」と息が上がってしまい力も入らずくてりと肩に頭を乗せ体重を預け小さく声を上げる。雰囲気に流されてしていいもんじゃないってことをここでちゃんと言ってやらないと!

「りゅ、せ……こういうことは……はぁ……好いた奴とだな……するもんであって……場に流されてするもんじゃないと思う」

「俺はお前が好きだ。いや、愛している。だから気にするな」

「は?」

 何だって?今なんとおっしゃいましたか?俺が好き?愛してる?軽い感じで言われ呆気に取られ「好き、愛してる」という言葉を反芻してかぁぁぁっと顔が真っ赤になるのを感じる。

「だから、俺はお前を愛してるんだ。それはもうぐちゃぐちゃにしたいほどな。伝えたからな、お前も俺を好きになれ!」

 頬も熱く胸のドキドキが止まらない。劉生は好きだがそれは友達としてで決してエッチなことをしたいという意味で好きではない……はずだ。今日だけで劉生とファーストキスどころかセカンドキスに扱きあいとかどれだけ初体験をさせられるんだ。色々ありすぎてもう考えるのも辛い。

 震える手でテーブルの上に置いてあった濡れタオルで掌と自身を軽く拭く。立ち上がろうとするも下着が足に絡まり転けそうになるが劉生が抱き留めてくれた。

 片手でズボンと下着を引き上げると、劉生の腕をタップし離れる。

「劉生、ごめん、ちょっと頭こんがらがって何も考え付かないわ……まだ何も言えない」

 いつの間にかDVDは終わっていることに気付いたがそのまま二階の自分の部屋へと入りベッドにパタリと倒れ込んだ。







 
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