142 / 221
第五章 未来のこと
SS:眠れない夜 ー結衣ー
しおりを挟む
失敗した。
失敗した。失敗した。
失敗した失敗した失敗した失敗した。
失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した――
香りだけで、酔っ払ってしまった。
私が私であることを思い出したのは、全てが終わった後。
ゆい……許して。
ダメなママを許して。
許して許して許して。
「ん〜〜っ!」
という精神状態で、結衣は枕に顔を埋めてバタバタしていた。
「んん〜〜っ!」
とっくに日付が変わる時間を過ぎているけれど、結衣は全く眠気を感じていない。
だってこんな失敗は初めてだった。
まともに会話をすることが出来ないだけでなく、まさかワインの香りにやられて早々に意識を失うなんて予想だにしなかった。
確かに今迄酒の席は全て断ってきた。大きなパーティでもワインには手を付けず水だけを飲んでいた。だから自分があそこまでアルコールに耐性が無いなんて知りもしなかった。
「んんん〜〜〜っ!!!」
より大きくバタバタする結衣。
「んん〜〜っ!!」
隣でバタバタするゆい。
いつもならとっくに寝ている時間だが、結衣がこんな状態だから眠れなくて、ついでに面白そうだったから隣で結衣のマネをしている。そして今の結衣には娘に早く寝なさいと言う余裕すらない。
なんで?
どうして?
どうしてああなったの?
なんでどうしてああああああああああううううぅうぅぅぅ!
結衣がここまでおかしくなっていることには、ちゃんと理由がある。早々に意識を失ったとはいえ、朧に、微かに、ほんの僅かに覚えていることがあるのだ。
「んんん〜〜〜〜っ!!!」
「ん〜!」
普段の自分なら失言をしても直ぐに取り戻せる。
しかし今回は何を言ったのかさえ分からないのだ。
しかも原因はお酒であり、結衣の知識が正しければ普段は理性で抑えている本能的な部分が表面に出てくるとのこと。それを迷信でないとするならば、直前まで結衣を支配していた感情が理性というブレーキを失って暴走したということであり、抑えられていた感情というのはつまりそういうことで――
「んんんんん〜〜〜〜〜っ!!!!!」
「ん〜!」
もしかしたら何も言っていないかもしれない。
だけどその可能性は極めて低い。
根拠は目を覚ました後に見た彼の色だ。
意識を失う前と明らかに違っていた。
つまり、そういうことなのだろう。
「んんん〜〜〜〜〜〜!!」
「ん〜! ……つかれた」
せめて、何を言ったのかくらいは聞き出したい。聞き出さなければならない。
「ママ、もうねるね」
本にも書いてあったではないか。
お酒のせいにしてしまえば、だいたい何とかなると。
「おやすみ」
そう、都合の悪いことは全て酒のせいにすれば良いのだ。
だったら話を聞くくらい簡単に……出来ない。会うのが、怖い。
でも会って話を聞きたい。
でも怖い。
でも――
「んんんんん! んんん〜〜〜〜っ!!」
「……ママ」
結衣は今、自分を制御出来ていない。
抑えこまれていた感情と経験したことのない感情に振り回されている。
そんな母親を見てゆいは、
「……かわいい」
と呟いたのだった。
失敗した。失敗した。
失敗した失敗した失敗した失敗した。
失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した――
香りだけで、酔っ払ってしまった。
私が私であることを思い出したのは、全てが終わった後。
ゆい……許して。
ダメなママを許して。
許して許して許して。
「ん〜〜っ!」
という精神状態で、結衣は枕に顔を埋めてバタバタしていた。
「んん〜〜っ!」
とっくに日付が変わる時間を過ぎているけれど、結衣は全く眠気を感じていない。
だってこんな失敗は初めてだった。
まともに会話をすることが出来ないだけでなく、まさかワインの香りにやられて早々に意識を失うなんて予想だにしなかった。
確かに今迄酒の席は全て断ってきた。大きなパーティでもワインには手を付けず水だけを飲んでいた。だから自分があそこまでアルコールに耐性が無いなんて知りもしなかった。
「んんん〜〜〜っ!!!」
より大きくバタバタする結衣。
「んん〜〜っ!!」
隣でバタバタするゆい。
いつもならとっくに寝ている時間だが、結衣がこんな状態だから眠れなくて、ついでに面白そうだったから隣で結衣のマネをしている。そして今の結衣には娘に早く寝なさいと言う余裕すらない。
なんで?
どうして?
どうしてああなったの?
なんでどうしてああああああああああううううぅうぅぅぅ!
結衣がここまでおかしくなっていることには、ちゃんと理由がある。早々に意識を失ったとはいえ、朧に、微かに、ほんの僅かに覚えていることがあるのだ。
「んんん〜〜〜〜っ!!!」
「ん〜!」
普段の自分なら失言をしても直ぐに取り戻せる。
しかし今回は何を言ったのかさえ分からないのだ。
しかも原因はお酒であり、結衣の知識が正しければ普段は理性で抑えている本能的な部分が表面に出てくるとのこと。それを迷信でないとするならば、直前まで結衣を支配していた感情が理性というブレーキを失って暴走したということであり、抑えられていた感情というのはつまりそういうことで――
「んんんんん〜〜〜〜〜っ!!!!!」
「ん〜!」
もしかしたら何も言っていないかもしれない。
だけどその可能性は極めて低い。
根拠は目を覚ました後に見た彼の色だ。
意識を失う前と明らかに違っていた。
つまり、そういうことなのだろう。
「んんん〜〜〜〜〜〜!!」
「ん〜! ……つかれた」
せめて、何を言ったのかくらいは聞き出したい。聞き出さなければならない。
「ママ、もうねるね」
本にも書いてあったではないか。
お酒のせいにしてしまえば、だいたい何とかなると。
「おやすみ」
そう、都合の悪いことは全て酒のせいにすれば良いのだ。
だったら話を聞くくらい簡単に……出来ない。会うのが、怖い。
でも会って話を聞きたい。
でも怖い。
でも――
「んんんんん! んんん〜〜〜〜っ!!」
「……ママ」
結衣は今、自分を制御出来ていない。
抑えこまれていた感情と経験したことのない感情に振り回されている。
そんな母親を見てゆいは、
「……かわいい」
と呟いたのだった。
0
お気に入りに追加
111
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
思い出を売った女
志波 連
ライト文芸
結婚して三年、あれほど愛していると言っていた夫の浮気を知った裕子。
それでもいつかは戻って来ることを信じて耐えることを決意するも、浮気相手からの執拗な嫌がらせに心が折れてしまい、離婚届を置いて姿を消した。
浮気を後悔した孝志は裕子を探すが、痕跡さえ見つけられない。
浮気相手が妊娠し、子供のために再婚したが上手くいくはずもなかった。
全てに疲弊した孝志は故郷に戻る。
ある日、子供を連れて出掛けた海辺の公園でかつての妻に再会する。
あの頃のように明るい笑顔を浮かべる裕子に、孝志は二度目の一目惚れをした。
R15は保険です
他サイトでも公開しています
表紙は写真ACより引用しました
婚約者に消えろと言われたので湖に飛び込んだら、気づけば三年が経っていました。
束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢シャロンは、王太子オリバーの婚約者に選ばれてから、厳しい王妃教育に耐えていた。
だが、十六歳になり貴族学園に入学すると、オリバーはすでに子爵令嬢エミリアと浮気をしていた。
そしてある冬のこと。オリバーに「私の為に消えろ」というような意味のことを告げられる。
全てを諦めたシャロンは、精霊の湖と呼ばれている学園の裏庭にある湖に飛び込んだ。
気づくと、見知らぬ場所に寝かされていた。
そこにはかつて、病弱で体の小さかった辺境伯家の息子アダムがいた。
すっかり立派になったアダムは「あれから三年、君は目覚めなかった」と言った――。
チート薬学で成り上がり! 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました!
芽狐
ファンタジー
⭐️チート薬学3巻発売中⭐️
ブラック企業勤めの37歳の高橋 渉(わたる)は、過労で倒れ会社をクビになる。
嫌なことを忘れようと、異世界のアニメを見ていて、ふと「異世界に行きたい」と口に出したことが、始まりで女神によって死にかけている体に転生させられる!
転生先は、スキルないも魔法も使えないアレクを家族は他人のように扱い、使用人すらも見下した態度で接する伯爵家だった。
新しく生まれ変わったアレク(渉)は、この最悪な現状をどう打破して幸せになっていくのか??
更新予定:なるべく毎日19時にアップします! アップされなければ、多忙とお考え下さい!
後宮の棘
香月みまり
キャラ文芸
蔑ろにされ婚期をのがした25歳皇女がついに輿入り!相手は敵国の禁軍将軍。冷めた姫vs堅物男のチグハグな夫婦は帝国内の騒乱に巻き込まれていく。
☆完結しました☆
スピンオフ「孤児が皇后陛下と呼ばれるまで」の進捗と合わせて番外編を不定期に公開していきます。
第13回ファンタジー大賞特別賞受賞!
ありがとうございました!!
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
父が死んだのでようやく邪魔な女とその息子を処分できる
兎屋亀吉
恋愛
伯爵家の当主だった父が亡くなりました。これでようやく、父の愛妾として我が物顔で屋敷内をうろつくばい菌のような女とその息子を処分することができます。父が死ねば息子が当主になれるとでも思ったのかもしれませんが、父がいなくなった今となっては思う通りになることなど何一つありませんよ。今まで父の威を借りてさんざんいびってくれた仕返しといきましょうか。根に持つタイプの陰険女主人公。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる