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LOVE IS SOMETHING YOU FALL IN.
LOVE IS SOMETHING YOU FALL IN. 第20話
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「本当に大丈夫か? 天野、お前なんか変な顔してるぞ?」
「! そりゃ姫神に比べりゃ、俺の顔なんて『変な顔』になるっつーの」
那鳥が心配してくれていることは分かっているし、言葉に悪気や裏の意味もないと分かっている。
それなのに、どうして自分はこんな酷い態度を取ってしまったのか。
失言に気づいたのは言葉を口に出した後だった。
『しまった』と後悔したところで伝わった『偽り』は取り消せない。
いくら『本心ではない』と伝えたところで、弁解の言葉が本当に『本心』であるか相手は分からないから。
那鳥の表情には目に見えて不快感が表れた。
那鳥が同性から『恋愛対象』として見られることを嫌悪していてその要因の一つにもなっている整った容姿を心底嫌っている事は、悠栖も理解していた。
だから、自分の言葉に那鳥が不快感を持つのも当然と思った。
折角一カ月かけて築き上げた信頼は、自分の失言により脆くも崩れてしまったことだろう。
この後那鳥からもらうのはきっと辛辣な言葉。
いや、辛辣な言葉を浴びせることで那鳥の気が晴れるのならいいのだが……。
「あのさ、顔面偏差値低めの二人がどんぐりの背比べなんてしないでくれる?」
「慶史君、いくら友達相手でもオブラートは必要だよ? ……確かに那鳥君も悠栖も良い線いってるし自惚れるのも分かるけど、慶史君と僕を差し置いて『綺麗』とか『可愛い』とか言わないでよね」
那鳥が不快感をぶつけようと口を開いたその時、先に言葉を発したのは慶史と朋喜だった。
二人は醜い争いは止めろと笑い「そう思うよね?」と心配そうに事の成り行きを見ていた葵に話を振る。
悠栖はその連係プレーにただただ感心した。
突然の二人の茶番に驚いた那鳥の顔からは不快感が消え、状況を理解しようと瞬きだけを繰り返していたから。
(マモに話を振るあたり、絶対全部計算してやってるよな。慶史も朋喜も)
自分達は裏で『姫』と呼ばれていると言う共通点もあり、学校ではほとんど一緒に行動する仲良しの五人組。
その関係には優劣も上下もなく、全員が平等であり、全員が主体。
きっと友人関係とはそういうモノだろう。
だが葵を除いた四人にはもう一つ別の共通点が存在していた。
それは、『三谷葵に弱い』というものだ。立場は対等。でも精神的には少しその力学が違っていた。
それぞれ形は違えど、葵に対する想いはとても強いものなのだ。
警戒心の強い那鳥が自分達にはすんなり打ち解けてくれた要因には葵の存在がとても大きくて、そんな葵が不安気に悪態を代弁して悠栖に代わって謝ろうものなら、那鳥だって許さないわけにはいかないというものだ。
「僕は皆凄いって思ってるから優劣つけたりできないかな。……でも悠栖、なんだかイライラしてるみたいだけど、那鳥君に当たるのはよくないよ?」
「わ、分かってる……」
「だよね。悠栖、口にした後すぐ『しまった』って泣きそうな顔したもんね」
昼時で教室は賑わっているはずなのに、葵の声がとてもよく響いているように感じるのは何故だろう?
悠栖は葵に促されるまま頷き、己の非を認めた。
すると葵は嬉しそうに笑うと那鳥に向き直り、「那鳥君、ありがとう。嫌な思いしたのに我慢してくれて」と微笑んだ。
その笑顔は幼い子供のように純真無垢なもので、眩しすぎる。
内面からキラキラしている葵に那鳥も気圧されたのか、小さく息を吐くと悠栖に視線を配って「八つ当たりすんな」と力なく肩を落とした。
どうやら関係崩壊は免れたようだ。悠栖は強く頷き、「本当にごめん……」と誠心誠意謝った。
「! そりゃ姫神に比べりゃ、俺の顔なんて『変な顔』になるっつーの」
那鳥が心配してくれていることは分かっているし、言葉に悪気や裏の意味もないと分かっている。
それなのに、どうして自分はこんな酷い態度を取ってしまったのか。
失言に気づいたのは言葉を口に出した後だった。
『しまった』と後悔したところで伝わった『偽り』は取り消せない。
いくら『本心ではない』と伝えたところで、弁解の言葉が本当に『本心』であるか相手は分からないから。
那鳥の表情には目に見えて不快感が表れた。
那鳥が同性から『恋愛対象』として見られることを嫌悪していてその要因の一つにもなっている整った容姿を心底嫌っている事は、悠栖も理解していた。
だから、自分の言葉に那鳥が不快感を持つのも当然と思った。
折角一カ月かけて築き上げた信頼は、自分の失言により脆くも崩れてしまったことだろう。
この後那鳥からもらうのはきっと辛辣な言葉。
いや、辛辣な言葉を浴びせることで那鳥の気が晴れるのならいいのだが……。
「あのさ、顔面偏差値低めの二人がどんぐりの背比べなんてしないでくれる?」
「慶史君、いくら友達相手でもオブラートは必要だよ? ……確かに那鳥君も悠栖も良い線いってるし自惚れるのも分かるけど、慶史君と僕を差し置いて『綺麗』とか『可愛い』とか言わないでよね」
那鳥が不快感をぶつけようと口を開いたその時、先に言葉を発したのは慶史と朋喜だった。
二人は醜い争いは止めろと笑い「そう思うよね?」と心配そうに事の成り行きを見ていた葵に話を振る。
悠栖はその連係プレーにただただ感心した。
突然の二人の茶番に驚いた那鳥の顔からは不快感が消え、状況を理解しようと瞬きだけを繰り返していたから。
(マモに話を振るあたり、絶対全部計算してやってるよな。慶史も朋喜も)
自分達は裏で『姫』と呼ばれていると言う共通点もあり、学校ではほとんど一緒に行動する仲良しの五人組。
その関係には優劣も上下もなく、全員が平等であり、全員が主体。
きっと友人関係とはそういうモノだろう。
だが葵を除いた四人にはもう一つ別の共通点が存在していた。
それは、『三谷葵に弱い』というものだ。立場は対等。でも精神的には少しその力学が違っていた。
それぞれ形は違えど、葵に対する想いはとても強いものなのだ。
警戒心の強い那鳥が自分達にはすんなり打ち解けてくれた要因には葵の存在がとても大きくて、そんな葵が不安気に悪態を代弁して悠栖に代わって謝ろうものなら、那鳥だって許さないわけにはいかないというものだ。
「僕は皆凄いって思ってるから優劣つけたりできないかな。……でも悠栖、なんだかイライラしてるみたいだけど、那鳥君に当たるのはよくないよ?」
「わ、分かってる……」
「だよね。悠栖、口にした後すぐ『しまった』って泣きそうな顔したもんね」
昼時で教室は賑わっているはずなのに、葵の声がとてもよく響いているように感じるのは何故だろう?
悠栖は葵に促されるまま頷き、己の非を認めた。
すると葵は嬉しそうに笑うと那鳥に向き直り、「那鳥君、ありがとう。嫌な思いしたのに我慢してくれて」と微笑んだ。
その笑顔は幼い子供のように純真無垢なもので、眩しすぎる。
内面からキラキラしている葵に那鳥も気圧されたのか、小さく息を吐くと悠栖に視線を配って「八つ当たりすんな」と力なく肩を落とした。
どうやら関係崩壊は免れたようだ。悠栖は強く頷き、「本当にごめん……」と誠心誠意謝った。
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