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恋しい人
恋しい人 第142話
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「……藤原に聞いたんだな?」
「! な、なんで―――」
「葵が俺に言わない理由はそれ以外考えられない」
虎君は眉を顰めると僕から離れてしまう。言っても言わなくても怒らせてしまったと慌てる僕は離れないでと虎君を呼ぶんだけど、虎君はごめんと謝るだけでこっちを向いてくれなかった。
(ど、どうしよぅ……虎君、凄く怒ってる……)
いや、怒っているだけならまだいい。誠心誠意謝れば虎君は気っと許してくれるから。でも、心が離れてしまったら? 虎君が僕を嫌いになってしまったら、それはもう取り返しがつかないことだ。
虎君から拒絶される。そんな想像をするだけで息ができなくなるほど苦しくなる。
僕は鬱陶しいと拒絶される恐怖を押し殺し、震える手を伸ばして虎君の背中にしがみついた。
「ごめんっ……、ごめんなさい……ぉねがい、嫌いにならないで……」
「! ちがっ、そうじゃないっ!」
虎君に嫌われたら生きていけない。
そう訴える僕に虎君は勢いよく振り返ると力いっぱい抱きしめてくれた。嫌いになんてなるわけないだろうが! と。
「でも、でもぉ……」
「―――っ、俺が……、俺が全部教えたかったんだっ」
怒鳴り声に近い声色は僕を怯ませる。でも、虎君はそんな僕をさらに強く抱きしめると「葵は俺のものだっ」って苦しげな声を絞り出した。
悔しい。と、腹が立つ。と怒りを口にする虎君。僕はおずおずとその背中に手を回し、狼狽えながらも慶史から教えてもらっていたことを謝った。
「頭では分かってる。藤原は葵の身体を心配したから話したんだって、頭では理解してる」
「虎君……」
「でも、……ごめん。今は藤原の気遣いが憎たらしい」
これはただの独占欲だと分かってる。葵のことを想えば藤原に感謝するべきだってこともちゃんと理解してる。でも、それでも―――。
虎君は僕を抱きしめたまま、それでもすべて二人で愛し合いたかったと心を吐露してくれた。
僕は苦しいまでに抱きしめてくるその腕の中、心から愛してくれているからこその怒りなのだと理解した。
理解して、ぎゅっと虎君に抱き着く僕。
「虎君、ごめんね……」
「……俺こそ、ごめん……」
「虎君の気持ち、凄く嬉しいから謝らないで? 虎君と早く愛し合いたくて断らなかった僕が悪いんだから……」
自分の欲に負けて虎君の気持ちを考えていなかった行動は、完全に独り善がりだった。
そう謝る僕だけど、虎君は苦し気な声で「この話を続けたくない」と僕を抱きしめる腕に力を込めた。
「ご、ごめん……」
「俺こそごめん。でも、独占欲が抑えられない……」
本気で葵を誰にも見せたくない。
そう呟いた虎君は僕をこのままここに閉じ込めたいと言う。
虎君ほど優しくて頭のいい人がそれは絶対にしてはいけないことだと知らないわけがない。でも、それでも望んでしまうぐらい、虎君は僕を愛してくれている。
僕は虎君の肩に頭を預け、虎君だけだと伝えた。虎君が僕の全てだよ。と。
「…………一つだけ確認させてくれるか?」
「うん。何?」
「藤原に触らせてない、よな……?」
「当たり前でしょ。勉強みたいにテーブルにノート広げて教えてもらっただけだよ」
こんな風に触れ合うのは虎君とだけ。僕が虎君じゃないと絶対に嫌だもん。
そう伝えれば虎君は僕を抱きしめる腕を緩め、額を小突き合わせて「もう一回言って」と懇願。その表情は頼りなく、カッコいいのに凄く可愛い。
僕は虎君の頬っぺたを両手で包み込むと、
「虎君だけを愛してる。本当、大好き……」
チュッとその唇に唇を重ねた。
「俺も愛してる……。葵が俺の全てだ……」
「ん。嬉しい……」
離れた唇を追いかけるようにキスをくれる虎君。
唇に吸い付くように貰うキスにうっとりしながら目を開け虎君を探せば、少し辛そうな顔で僕を見つめる大好きな人の姿。
でもそれはさっきまでの怒りや嫉妬からくる表情じゃないって分かるのは、その瞳に宿る『愛』のおかげ。
僕は虎君が堪らなく愛しくて、自然と笑顔になる。
「ねぇ虎君……、エッチ、しよ……?」
「ああ。葵の全部、俺のものにするよ……」
「虎君も僕のもの?」
「もちろん」
「ふふ。嬉しい……」
どちらともなく唇を重ねれば、やっぱり幸せで笑顔になる。それは僕だけじゃなくて、虎君も。
僕は虎君に抱き上げられ、愛し合うためにバスルームへと連れて行かれる。もちろん、僕はその間も虎君への『好き』が我慢できなくて沢山キスしちゃうんだけど。
「! な、なんで―――」
「葵が俺に言わない理由はそれ以外考えられない」
虎君は眉を顰めると僕から離れてしまう。言っても言わなくても怒らせてしまったと慌てる僕は離れないでと虎君を呼ぶんだけど、虎君はごめんと謝るだけでこっちを向いてくれなかった。
(ど、どうしよぅ……虎君、凄く怒ってる……)
いや、怒っているだけならまだいい。誠心誠意謝れば虎君は気っと許してくれるから。でも、心が離れてしまったら? 虎君が僕を嫌いになってしまったら、それはもう取り返しがつかないことだ。
虎君から拒絶される。そんな想像をするだけで息ができなくなるほど苦しくなる。
僕は鬱陶しいと拒絶される恐怖を押し殺し、震える手を伸ばして虎君の背中にしがみついた。
「ごめんっ……、ごめんなさい……ぉねがい、嫌いにならないで……」
「! ちがっ、そうじゃないっ!」
虎君に嫌われたら生きていけない。
そう訴える僕に虎君は勢いよく振り返ると力いっぱい抱きしめてくれた。嫌いになんてなるわけないだろうが! と。
「でも、でもぉ……」
「―――っ、俺が……、俺が全部教えたかったんだっ」
怒鳴り声に近い声色は僕を怯ませる。でも、虎君はそんな僕をさらに強く抱きしめると「葵は俺のものだっ」って苦しげな声を絞り出した。
悔しい。と、腹が立つ。と怒りを口にする虎君。僕はおずおずとその背中に手を回し、狼狽えながらも慶史から教えてもらっていたことを謝った。
「頭では分かってる。藤原は葵の身体を心配したから話したんだって、頭では理解してる」
「虎君……」
「でも、……ごめん。今は藤原の気遣いが憎たらしい」
これはただの独占欲だと分かってる。葵のことを想えば藤原に感謝するべきだってこともちゃんと理解してる。でも、それでも―――。
虎君は僕を抱きしめたまま、それでもすべて二人で愛し合いたかったと心を吐露してくれた。
僕は苦しいまでに抱きしめてくるその腕の中、心から愛してくれているからこその怒りなのだと理解した。
理解して、ぎゅっと虎君に抱き着く僕。
「虎君、ごめんね……」
「……俺こそ、ごめん……」
「虎君の気持ち、凄く嬉しいから謝らないで? 虎君と早く愛し合いたくて断らなかった僕が悪いんだから……」
自分の欲に負けて虎君の気持ちを考えていなかった行動は、完全に独り善がりだった。
そう謝る僕だけど、虎君は苦し気な声で「この話を続けたくない」と僕を抱きしめる腕に力を込めた。
「ご、ごめん……」
「俺こそごめん。でも、独占欲が抑えられない……」
本気で葵を誰にも見せたくない。
そう呟いた虎君は僕をこのままここに閉じ込めたいと言う。
虎君ほど優しくて頭のいい人がそれは絶対にしてはいけないことだと知らないわけがない。でも、それでも望んでしまうぐらい、虎君は僕を愛してくれている。
僕は虎君の肩に頭を預け、虎君だけだと伝えた。虎君が僕の全てだよ。と。
「…………一つだけ確認させてくれるか?」
「うん。何?」
「藤原に触らせてない、よな……?」
「当たり前でしょ。勉強みたいにテーブルにノート広げて教えてもらっただけだよ」
こんな風に触れ合うのは虎君とだけ。僕が虎君じゃないと絶対に嫌だもん。
そう伝えれば虎君は僕を抱きしめる腕を緩め、額を小突き合わせて「もう一回言って」と懇願。その表情は頼りなく、カッコいいのに凄く可愛い。
僕は虎君の頬っぺたを両手で包み込むと、
「虎君だけを愛してる。本当、大好き……」
チュッとその唇に唇を重ねた。
「俺も愛してる……。葵が俺の全てだ……」
「ん。嬉しい……」
離れた唇を追いかけるようにキスをくれる虎君。
唇に吸い付くように貰うキスにうっとりしながら目を開け虎君を探せば、少し辛そうな顔で僕を見つめる大好きな人の姿。
でもそれはさっきまでの怒りや嫉妬からくる表情じゃないって分かるのは、その瞳に宿る『愛』のおかげ。
僕は虎君が堪らなく愛しくて、自然と笑顔になる。
「ねぇ虎君……、エッチ、しよ……?」
「ああ。葵の全部、俺のものにするよ……」
「虎君も僕のもの?」
「もちろん」
「ふふ。嬉しい……」
どちらともなく唇を重ねれば、やっぱり幸せで笑顔になる。それは僕だけじゃなくて、虎君も。
僕は虎君に抱き上げられ、愛し合うためにバスルームへと連れて行かれる。もちろん、僕はその間も虎君への『好き』が我慢できなくて沢山キスしちゃうんだけど。
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