1 / 7
一人目
悪人ゴロシ
しおりを挟む
日本には、未だに逮捕されていない極悪人が潜んでいる。逮捕されれば死刑は確実。そんな極悪人
トウドウマサミツ
の一人、藤堂正光。男女合わせ、計八人を強盗目的で殺害。資産家の家に侵入し、殺害、全財産を持っていく。極めて悪質だ。被害総額は五十億円にものぼる。勿論逮捕されれば、死刑は免れない。今も、東京の一等地で裕福な逃亡生活を送っている。
「警察はまだ、俺のことは微塵も疑ってないらしい。だが、警察にはなるべく会わないようにしないとな」
一生使い切れないほどの厚さになっている札束を眺めながら言う。
「暇だし、ニュースでも見るか...」
テレビのリモコンを持ち、七と書いてあるボタンを押す。しばらくニュースを見ていると、突然、砂嵐になった。
「どうしたんだ?壊れたか...」
正光は不思議そうに呟く。が、数秒続いた砂嵐から、映像が切り替わった。口元しか見えないほど、フードを深くかぶっている誰かが映っている。髭が生えているので、男だろう。
「やあ、全国のみんな。さて、突然だが、今見てる人の中に、大罪を犯した極悪人はいるかな」
まるで、正光に言っているかのようだ。声は太いが、おかしいほど口調が柔らかい。その口調が、不気味さを倍増させている。
「もし極悪人が見ているならば、聞いてくれ。今日から『私たち』は、まだ逮捕されていない極悪人を『消していく』...。ただし、逮捕されれば死刑確定の者だけを対象とする。今の内に警察署に行って、自首してもいい。むしろその方が、『私たち』の望んでいる結果だ。今日からだぞ。十分後に遂行する。どうか、見ている極悪人全員が、自首することを願っている。では、失礼」
再び砂嵐が数秒続く。そして、ニュースに戻る。女性キャスターが、謝罪の言葉を述べている。
「いたずらにしては凝っているな。ああいう、訳の分からないことをする奴が居るんだな」
いたずらと信じ込んでいる様子の正光は、呆れた様子で言う。
「さて、コンビニに昼メシ買いに行くか」
今は一月だ。外はとても寒い。正光は、パジャマの上にジャンパーを羽織り、靴下を履く。玄関で靴を履き、ドアを開けて外に出る。鍵を閉めて、歩き出す。徒歩で五分ほどの距離にあるコンビニで、いつも昼食を買っている。コンビニに着いた。昼食を手に取り、レジに並ぶ。
「今日はやけに混んでるな...」
五分ほど経つと、やっと正光の番が回ってきた。会計を済ませて外に出る。コンビニのすぐ目の前に人混みが出来ている。正光は人混みを掻き分け、皆が見ている方に体を向けた。すると、さっきのフードの男が一人の男に歩み寄っている。フードの男の手には、斧が握られていた。フードの男が口をひらく。 コンドウオサム
「あなたは確か、近藤修さんですね?年齢は二十二歳。家族構成は、修さん、妹、兄、父、母、祖父、祖母。実家に帰省した時、家族全員を殺害、放火した。合ってますね」
「お、お前誰だよ...。なんで俺のことそんなに知ってるんだよ」
修は叫ぶ。フードの男が持っている斧を見ている。
「やっぱり修さんですね。では、消させて頂きます」
男は、修の目の前まで迫った。
「消すってどういうこ」
男は、修の言葉を最後まで聞かず、手に持っていた斧で首を切り落とした。血飛沫が上がる。群がっていた人達が、叫び声をあげて逃げ始めた。気分が悪くなった正光も、帰ろうとする。フードの男と目が合う。その瞬間、男の口角が少し上がった。さらに気分が悪くなった正光は、家に帰る。家に着くと、安堵の表情でベッドに横たわった。
トウドウマサミツ
の一人、藤堂正光。男女合わせ、計八人を強盗目的で殺害。資産家の家に侵入し、殺害、全財産を持っていく。極めて悪質だ。被害総額は五十億円にものぼる。勿論逮捕されれば、死刑は免れない。今も、東京の一等地で裕福な逃亡生活を送っている。
「警察はまだ、俺のことは微塵も疑ってないらしい。だが、警察にはなるべく会わないようにしないとな」
一生使い切れないほどの厚さになっている札束を眺めながら言う。
「暇だし、ニュースでも見るか...」
テレビのリモコンを持ち、七と書いてあるボタンを押す。しばらくニュースを見ていると、突然、砂嵐になった。
「どうしたんだ?壊れたか...」
正光は不思議そうに呟く。が、数秒続いた砂嵐から、映像が切り替わった。口元しか見えないほど、フードを深くかぶっている誰かが映っている。髭が生えているので、男だろう。
「やあ、全国のみんな。さて、突然だが、今見てる人の中に、大罪を犯した極悪人はいるかな」
まるで、正光に言っているかのようだ。声は太いが、おかしいほど口調が柔らかい。その口調が、不気味さを倍増させている。
「もし極悪人が見ているならば、聞いてくれ。今日から『私たち』は、まだ逮捕されていない極悪人を『消していく』...。ただし、逮捕されれば死刑確定の者だけを対象とする。今の内に警察署に行って、自首してもいい。むしろその方が、『私たち』の望んでいる結果だ。今日からだぞ。十分後に遂行する。どうか、見ている極悪人全員が、自首することを願っている。では、失礼」
再び砂嵐が数秒続く。そして、ニュースに戻る。女性キャスターが、謝罪の言葉を述べている。
「いたずらにしては凝っているな。ああいう、訳の分からないことをする奴が居るんだな」
いたずらと信じ込んでいる様子の正光は、呆れた様子で言う。
「さて、コンビニに昼メシ買いに行くか」
今は一月だ。外はとても寒い。正光は、パジャマの上にジャンパーを羽織り、靴下を履く。玄関で靴を履き、ドアを開けて外に出る。鍵を閉めて、歩き出す。徒歩で五分ほどの距離にあるコンビニで、いつも昼食を買っている。コンビニに着いた。昼食を手に取り、レジに並ぶ。
「今日はやけに混んでるな...」
五分ほど経つと、やっと正光の番が回ってきた。会計を済ませて外に出る。コンビニのすぐ目の前に人混みが出来ている。正光は人混みを掻き分け、皆が見ている方に体を向けた。すると、さっきのフードの男が一人の男に歩み寄っている。フードの男の手には、斧が握られていた。フードの男が口をひらく。 コンドウオサム
「あなたは確か、近藤修さんですね?年齢は二十二歳。家族構成は、修さん、妹、兄、父、母、祖父、祖母。実家に帰省した時、家族全員を殺害、放火した。合ってますね」
「お、お前誰だよ...。なんで俺のことそんなに知ってるんだよ」
修は叫ぶ。フードの男が持っている斧を見ている。
「やっぱり修さんですね。では、消させて頂きます」
男は、修の目の前まで迫った。
「消すってどういうこ」
男は、修の言葉を最後まで聞かず、手に持っていた斧で首を切り落とした。血飛沫が上がる。群がっていた人達が、叫び声をあげて逃げ始めた。気分が悪くなった正光も、帰ろうとする。フードの男と目が合う。その瞬間、男の口角が少し上がった。さらに気分が悪くなった正光は、家に帰る。家に着くと、安堵の表情でベッドに横たわった。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
理由なき殺意
ビッグバン
ホラー
ある日、親友達が謎の失踪を遂げた。唯一帰って来た主人公の弟も記憶や感情を全て失って帰って来た。唯一覚えている事は海岸沿いにあるという古びた神社の事だけ、主人公 田奥は親友達を探すため、その神社があるという場所まで行くが。
[恥辱]りみの強制おむつ生活
rei
大衆娯楽
中学三年生になる主人公倉持りみが集会中にお漏らしをしてしまい、おむつを当てられる。
保健室の先生におむつを当ててもらうようにお願い、クラスメイトの前でおむつ着用宣言、お漏らしで小学一年生へ落第など恥辱にあふれた作品です。
受け継がれるローファー
ハヤサカツカサ
ホラー
「校舎にある片方だけのローファーの噂のこと知ってる?」
高校説明会後の自由時間。図書室で一冊の本を開いた少女の頭の中に、その言葉を皮切りに一人の女子高校生の記憶が流れ込んでくる。それはその高校のとある場所に新しいままであり続けるローファーに関するものだった。ローファーはなぜ新しくなり続けるのか?
その理由を知って、本を閉じた時何かが起こる!
*心臓が弱い方はあらかじめご遠慮ください
トランプデスゲーム
ホシヨノ クジラ
ホラー
暗闇の中、舞台は幕を開けた
恐怖のデスゲームが始まった
死にたい少女エルラ
元気な少女フジノ
強気な少女ツユキ
しっかり者の少女ラン
4人は戦う、それぞれの目標を胸に
約束を果たすために
デスゲームから明らかになる事実とは!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる