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1章 関東編
第7話 今後の検討
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カスミガサキ邸
「ということで、今年の全国大会は観戦に行かないと?」
「ええ、ここ最近になって新規格が次々と観られたので、
有効性を見出す意味がうすいと想定しました」
自宅で行われた今日の食事会でスイリュウは
グラハム、ニトベ、アメリアと再び会合する。
高学年の試合を観に行かないことにして、
予定変更を打ち明けた。
規格というのは、ここ最近各地方で開発されている
新型ウォーターガンについて考えるべきことで、
それが今年のえいきょうにおよばないと思い、
事情を彼らに話してみた。
「数時間前、他地方の新型について情報を見ました。
しかも、ぼくと同年代の子たちが次々と新しい
タイプを手がけていってますね」
「何か縁起物でもあったのか、私もおどろきだ。
偶然としか言いようにないな。
大人のちえ貸しもあるが、大半は子どものおかげだと
聞いている」
「それで、今年はもう見当しないと?」
「はい、新型はまだ他地方へ実用にいたってませんが、
来年以降からえいきょうをおよぼすので、
対策をそこから取りたいわけです」
最もらしい理由はそれだけど、当たりさわりなく言う。
別にサボりたいからではなく、規格による戦略変化で
古い情報が通用しなくなると思ったからだ。
新しいものにはつねに可能性も多くふくまれる。
だから、今年の試合を観る必要性を感じなかった。
父もそれを聞いて応じてくれた。
総理大臣は全国大会のみ観戦しに行く行事をもつ。
ぼくの夏予定を伝えて、立場はそう設定された。
そして、話題はウォーターガンについて変わる。
先の続きとなるけど、新たなタイプがだれかによって
ここ最近になって他地方により変化が見られていた。
どんなキッカケ、構想にいたって作られていたのか
水鉄砲情勢が階段増しのごとく一気に高まり、
国会も整理するために話し合いが反する様に加熱。
3人も会談でよくここに来ているのだろう。
内の1人、アメリア大臣が聞いてきた。
「あなたは運動についてはとてもお上手ね。
アサルトライフル型のみで立ち回るVTRを観たわ。
他地方でも色々変わってきているけど、どうかしら?」
「そうですね、ぼくもいつの間にか作られていた仕様に
おどろきをかくせません。でも、関心はとても大きく
それぞれの個性として興味があります」
その点についてはぼく自身も意外だ。
地方限定仕様というルールは日本独自で、
政府制定で決められているけど、利権の都合で複雑に
からみ合って今にいたる。もちろん、ぼくですら
細かい内容は今でも理解しきれずにいる。
そこをニトベがくわしく追加する。
「それぞれの個性か、地方さながらのやり方で
試合展開をこなそうということか。
仕様が異なる間での対策は大変だろう?」
「その返答には困りつつありますね。
ぼくからしても、地方個別化は理解しづらいので」
「それは私たち側の責任だからな。
あんなことが起こらなければ水鉄砲事情も、
もっとなめらかに進んでいただろう」
「もうちょっと子どもに理解できる言葉を使わなきゃ」
「ああ、そうだな。
地方別なんていうのも確かにりふじんなものに思える。
同世代としては単にワクワクする展開ではあるが、
そこについてスイリュウ君の意見をうかがいたい」
「ぼくとしては・・・なんと言いますか。
性能のちがいをきちんとはあくしてから
異なるケースでどう動くべきかと思っています」
「異なる? 位置取り戦略にとってかね?」
「言い回しがアレだな。
んん、ミッション的課題としてとらえていると。
他地方への対策というべきか、あるいは」
「子どもにとっては、じゃないかしら?」
「ワハハ、とことん前向きな意見だ!
POのコウシ大臣もおっしゃられていたが、
関東の独自さがあまりうかがえないと?」
「そうとも言えます」
「しかし、水鉄砲の仕様にたよらずとも、良い試合など
いくらでもできるはずではないか!」
「確かに・・・そうですね」
つまり、個性が足りないという意味だ。
そう、関東はこれといった新型もろくに開発されてなく、
新規開たくを起こそうとする動きがなかった。
イバラギのワタルとトオルたちはパーツの一部だけを
手がけているものの、まるごと新規といえるような
ウォーターガンを作っていない。
自分ですら、さすがに新型について想像力までは
持ち合わせていないからどうすることもできなかった。
別に必ず作らなければならない理由もない。
運動力学だけ学んできたぼくは人の動向だけ。
この場ではとにかくがんばりますとだけ言う。
父がいない話し合いはじょうきょう報告だけで終了。
会食も終わり、重役たちも帰っていった。
不安を気取られることはなかったと思う。
(独自規格か)
正直、新型への対策なんてほとんど考えていなかった。
いつ、どこから現れるのか定かじゃない物を、
当然すんなりと攻略できるわけがないから。
そこに対応しても、すぐに上ぬりされるから意味がない。
だから、なんとなくそうしてるだけでしかないのだ。
体も少し重くなりかける。
下を向きすぎると、すぐにメイドたちに心配される。
上を向き直して背筋を伸ばす。
この時期はウオバト最優先で高等教育は行わないから、
今日はもう試合のつかれをいやすのみ。
部屋にもどって友だちのメールも確認しようと、
食堂から出ようとした時。
「爺?」
「案ずる必要はありません。
あくまでも自身で水を打ち、対応するのは人なので」
とつぜん、そんな発言をした。
何かを察知されたか、落ち着けと言いたげに
先の会話を聞かれてそういったかもしれない。
そこから何も言わずに部屋へもどる。
自身で対応。
この言葉は今、ぼくのなやみをついた様な気がする。
まゆ1つ動かさないしつじに、
返事の1つも思いうかべることができなかった。
「ということで、今年の全国大会は観戦に行かないと?」
「ええ、ここ最近になって新規格が次々と観られたので、
有効性を見出す意味がうすいと想定しました」
自宅で行われた今日の食事会でスイリュウは
グラハム、ニトベ、アメリアと再び会合する。
高学年の試合を観に行かないことにして、
予定変更を打ち明けた。
規格というのは、ここ最近各地方で開発されている
新型ウォーターガンについて考えるべきことで、
それが今年のえいきょうにおよばないと思い、
事情を彼らに話してみた。
「数時間前、他地方の新型について情報を見ました。
しかも、ぼくと同年代の子たちが次々と新しい
タイプを手がけていってますね」
「何か縁起物でもあったのか、私もおどろきだ。
偶然としか言いようにないな。
大人のちえ貸しもあるが、大半は子どものおかげだと
聞いている」
「それで、今年はもう見当しないと?」
「はい、新型はまだ他地方へ実用にいたってませんが、
来年以降からえいきょうをおよぼすので、
対策をそこから取りたいわけです」
最もらしい理由はそれだけど、当たりさわりなく言う。
別にサボりたいからではなく、規格による戦略変化で
古い情報が通用しなくなると思ったからだ。
新しいものにはつねに可能性も多くふくまれる。
だから、今年の試合を観る必要性を感じなかった。
父もそれを聞いて応じてくれた。
総理大臣は全国大会のみ観戦しに行く行事をもつ。
ぼくの夏予定を伝えて、立場はそう設定された。
そして、話題はウォーターガンについて変わる。
先の続きとなるけど、新たなタイプがだれかによって
ここ最近になって他地方により変化が見られていた。
どんなキッカケ、構想にいたって作られていたのか
水鉄砲情勢が階段増しのごとく一気に高まり、
国会も整理するために話し合いが反する様に加熱。
3人も会談でよくここに来ているのだろう。
内の1人、アメリア大臣が聞いてきた。
「あなたは運動についてはとてもお上手ね。
アサルトライフル型のみで立ち回るVTRを観たわ。
他地方でも色々変わってきているけど、どうかしら?」
「そうですね、ぼくもいつの間にか作られていた仕様に
おどろきをかくせません。でも、関心はとても大きく
それぞれの個性として興味があります」
その点についてはぼく自身も意外だ。
地方限定仕様というルールは日本独自で、
政府制定で決められているけど、利権の都合で複雑に
からみ合って今にいたる。もちろん、ぼくですら
細かい内容は今でも理解しきれずにいる。
そこをニトベがくわしく追加する。
「それぞれの個性か、地方さながらのやり方で
試合展開をこなそうということか。
仕様が異なる間での対策は大変だろう?」
「その返答には困りつつありますね。
ぼくからしても、地方個別化は理解しづらいので」
「それは私たち側の責任だからな。
あんなことが起こらなければ水鉄砲事情も、
もっとなめらかに進んでいただろう」
「もうちょっと子どもに理解できる言葉を使わなきゃ」
「ああ、そうだな。
地方別なんていうのも確かにりふじんなものに思える。
同世代としては単にワクワクする展開ではあるが、
そこについてスイリュウ君の意見をうかがいたい」
「ぼくとしては・・・なんと言いますか。
性能のちがいをきちんとはあくしてから
異なるケースでどう動くべきかと思っています」
「異なる? 位置取り戦略にとってかね?」
「言い回しがアレだな。
んん、ミッション的課題としてとらえていると。
他地方への対策というべきか、あるいは」
「子どもにとっては、じゃないかしら?」
「ワハハ、とことん前向きな意見だ!
POのコウシ大臣もおっしゃられていたが、
関東の独自さがあまりうかがえないと?」
「そうとも言えます」
「しかし、水鉄砲の仕様にたよらずとも、良い試合など
いくらでもできるはずではないか!」
「確かに・・・そうですね」
つまり、個性が足りないという意味だ。
そう、関東はこれといった新型もろくに開発されてなく、
新規開たくを起こそうとする動きがなかった。
イバラギのワタルとトオルたちはパーツの一部だけを
手がけているものの、まるごと新規といえるような
ウォーターガンを作っていない。
自分ですら、さすがに新型について想像力までは
持ち合わせていないからどうすることもできなかった。
別に必ず作らなければならない理由もない。
運動力学だけ学んできたぼくは人の動向だけ。
この場ではとにかくがんばりますとだけ言う。
父がいない話し合いはじょうきょう報告だけで終了。
会食も終わり、重役たちも帰っていった。
不安を気取られることはなかったと思う。
(独自規格か)
正直、新型への対策なんてほとんど考えていなかった。
いつ、どこから現れるのか定かじゃない物を、
当然すんなりと攻略できるわけがないから。
そこに対応しても、すぐに上ぬりされるから意味がない。
だから、なんとなくそうしてるだけでしかないのだ。
体も少し重くなりかける。
下を向きすぎると、すぐにメイドたちに心配される。
上を向き直して背筋を伸ばす。
この時期はウオバト最優先で高等教育は行わないから、
今日はもう試合のつかれをいやすのみ。
部屋にもどって友だちのメールも確認しようと、
食堂から出ようとした時。
「爺?」
「案ずる必要はありません。
あくまでも自身で水を打ち、対応するのは人なので」
とつぜん、そんな発言をした。
何かを察知されたか、落ち着けと言いたげに
先の会話を聞かれてそういったかもしれない。
そこから何も言わずに部屋へもどる。
自身で対応。
この言葉は今、ぼくのなやみをついた様な気がする。
まゆ1つ動かさないしつじに、
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