33 / 131
1章 中部編
第3話 練習試合という試験
しおりを挟む
シズオカエリア
次の土曜日、練習試合をしにボクたちは
となりエリアのシズオカに向かう。
学校専用バスで少しばかりの時間を費やして来た。
というのは、部活としてではなく
今日は自分のクラスだけで試合を行うことになり、
特別許可として新型を実せんすることになる。
たいていは周りの学校がアイチに来ることばかりだけど、今回はボクたちが行く。
理由はもちろんBWを試すことだけどそれだけではない。
学校だけでない個人的な要望をお願いしたのも
ふくまれていた。
くわしくは以下の小声な会話で明かされる。
「「あいつに見せるためにバスを使わせたのか!?」」
「「そう、部活で行くわけじゃないから
本人が来るとは限らない。永栄には部活がないし、
ボクたちが直接行けば会える確率が上がる」」
小さくもリアクションが大きめなメルの問い分が
ボクの本心だ。
実はこの学校に知り合いがいる。
スティーブという名前の子が信茶にいて、
真っ先に当人へ見せたかった。
とはいえ、部活がなく本人が永栄に来られずに、
本人がまだウオバトをやっているか分からないので、
こちらから直に観せに行った方が会える
確実性がより増してくるからだ。
(招く立場がこっちなのは常だけど、
イリーナ先生も、ボクの意向をくんでくれたんだろう。
・・・いや、もっと上の方だけど)
もっと正確にいうなら父の利権の力。
援助金を受け続けるのは学校も一部で
確実に根を生やしている。
その下で動き続けるボクもボクで、
中部進出は同じくさんどうしつつ
調子にのりすぎない感じを覚えつつ、
みんなで信茶小学校へ向かった。
しばらくの景色が変わる中で現地にとうちゃく。
校舎裏にバスが止まり、ここの校長先生がむかえて
イリーナ先生と対応。
側でクラスメイトと共に降りて入口に近づくと、
同じく信茶の児童たちもむかえてきた。
「よっ、元気かノア!?」
「スティーブ」
さっそく本人がやって来る。
金色スポーツカットでボクより一回り背の高い同級生。
保育園時代でいっしょだったが、小学校からは別になった。
時々メールでやりとりするだけで
顔を合わせていなかったけど、
久しぶりな感覚はほとんどなくふつうに接する。
日常生活も特に変わらず、
ふだんの会話で試合前の場をとりもつ。
「君も相変わらずの体格っぷりだね。
ボクも最近いそがしくて
連絡する息をつくヒマもなかった」
「お前、頭は良いもんな。
こっちはいつもとおんなじ緑茶ぶりよ。
それにしても、お前らがわざわざこっちに来るなんて
めずらしいな?」
「スティーブがウオバト部にいるか
確かめたかったのもある。
来年から出られる大会でいっしょに行けるかって
意味合いとしてね。
それはともかくとして、
その頭で今日はすごい物を造ってきた」
ボクは友人にBWを見せた。
試合前から手の内を教えるようなものだけど、
かまわずにおひろめする。
外見だけはただの“大きなウォーターガン”なので、
細かな性能など知らないはず。
水を飛ばすことはみんなが使うアサルトライフル型と
等しく、容量の多そうなものとだけしか
思われていないから平気だった。
同時に周りの子どもたちもおどろきの顔と声が上がる。
「なんだコリャ、ずいぶんとでかいな!?」
「新型を作った。
今までのありきたりなフォーメーションを一度くずして
中部に新しい戦略を生み出したいんだ」
信茶のみんなが想定通りな反応を見せる。
試合前にわざわざ見せたのも、新装備のインパクトを伝えて
試合中に“どう動きを変えるか”というねらいもある。
ただ、大まかなせんきょうに変革をもたらさなければ
意味がない。
よって、身近な反応からうかがって他地方を出しぬくのが
何よりも重要だ。
勝ち負けではなく、これも中部に新たなる示しを表すため。
率先役のイリーナ先生が信茶の先生に続けて説明した。
「今日は新作を用意してきました。
いかんなくはっきするつもりなので、
よろしくお願いします」
「こちらこそ、規格提供と聞いて楽しみにしています。
おたがいがんばりましょう」
自信あり気にアピール。
おたがいにあまりきんちょうかんのない中で場が進む。
とはいえ、性能においての失敗は許されないから、
ある意味では分かれ目。
今回はチームデスマッチ、10:10の形式で
ライフが0になり次第で終了するルールで行う。
カラークッションを校庭じゅうに設置して、
両わきに陣地を組む。
メルはアサルトライフル型を手に持ち、
予定通りに動くとささやいた。
「「じゃあ、ぼくたちは散開してるよ」」
「うん、それぞれクッションの後ろで対応して」
メンバーはボクをサポートする役目として動く作戦。
8人は全て待ちぶせによる後陣をとるように決めた。
「では、試合開始!」
ピーッ
合図と同時にボクはBWをかかえて止まる。
指導通り、前線には出ないよう陣地手前で
様子をみなければならない。
ただ、待つだけなら簡単なのだが。
(5分以上は持っていられない)
10kgをいかにして持ち続けられるのかが
個人の勝負であった。
事前の練習で最も長くかかえていられたのがその時間で、
残すところ、自身の問題だけ。
結局、重さは解決できないからこれだけはふんばって
もちこたえなければならず、前線でえんごしてくれる
味方の働きにも期待する必要があった。
(もう2~3人近くに来ているはず、
すがたを見てからじゃおそい)
ころあいを見計らってトリガーを押し始める。
発射までに時間がかかるデメリット
CO2の圧力をかけていつでも打てるようにためてゆく。
だが、やたらと放出しても音ですぐ居場所が特定される。
そろそろ来るか、来ないか。
わずかなタイミングを静かに見定め続けてゆく。
(ストップ)
いったん止める。
ボクはムダな射出をおさえ、
もう一度メルたちの行動を見直して静止した。
一方でスティーブは永栄の所持物を見て
おかしなことに気付く。
試合前に見せられた大型のウォーターガンは見えずに、
ほとんどの相手がふつうの型ばかりだった。
(大型を持ってるのはあいつだけか?)
永栄チームは大半がアサルトライフル型を持っている。
形がちがうだけで水玉を打ってくるのに変わりない。
気を取られすぎるのも良くないと、
クッションの角をクイックリィに見直す。
すると、前でなく左のクッションから1人ねらってくる。
ププシュ ズササァ
スライディングをしてから上打ちにビートさせる。
全てよけられずかたに数発当たってしまい、ライフ70。
気が付けばウオッチ情報で他のメンバーは
もう4人やられていて、すぐここをねらってくると予測。
分かりやすいくらいにメルがクッションをとびこして
打ってきた。
「視界のはんい外からならぁ、シカシカシカ!」
「させっか!」
ププシュッ
「ヘッショォ!」
「顔ッ!?」
スティーブがメルの顔面に数発打ちこむ。
クッションの上から来るくらいすでに分かっていた。
メルはかっこ良く飛び出すが、
あっという間にビートされてここで終わり。
自分のライフをチラ見すると20。
クッションの上に登るのも手間がかかりすきができるから
やりたくない。
アイチにそれほど運動神経のあるやつはいないはず。
身体能力では負けていないので、地上戦を優先したい。
しかし、上部に1人しかいない保証がない。
スティーブが上ばかりけいかいしていた時である。
バルルルルルルルル
ビチャチャチャチャチャチャチャチャチャチャチャチャ
小つぶの球体がすさまじい連続で顔の表面に次々とヒット。
アイチの陣地から見えるようにとびだしてしまったために、
波状を大きく受け入れられるポジションに立っていた
ところをねらわれた。
ノアは開始から前へ出ずに後方でずっと待機。
長い時間の待ちぶせでずっと射線に立つ相手だけを求めて
あらかじめねらっていたのである。
「「ンッフォオアァ、
ンッフォオアァ、
ンッフォオアァ!?」」←エコー
スティーブは横から降る雨にさらされてビート。
残りの20ポイントを一気にもっていかれてしまった。
不利に思えるこの仕様によるイリーナ先生の作戦は
確実にBWの性能を考えて示してくれた。
「こんな感じか」
ここでボクはそのまま発射をいじしながら移動。
残りの相手は他のメンバーと共に対応。
最後の1人もビートさせ、ボクをふくめて
2人だけ残って試合に勝利する。
かんじんの彼というと、
起き上がってくやしがると思いきや、
小学生と思えないようなえげつない声を出し始めた。
「ンフォオオオッ、キ゛ンモチ゛イイイィィ!!」
「えっ?」
ずいぶんと素直な感情で両うでを上げながらさけぶ。
ビートされたはずなのに、水びたしで気持ち良さそうに
元気に体をのばしている。
アサルトライフル型とちがって長時間あびられたから、
すごく清々しいと絶賛してくれた。
「まったくすげーモン作ったな!
体全身にまんべんなく当たった気がしたわ!」
「ヘッドショットで頭部だけねらったつもりだけど。
他の部位だとビートまで時間がかかるから」
「そーかそーか、こつぶに小気味良くやられたんだな。
で、それおれらでも使えるようになるんだよな!?」
「なると思う。
父が中部かいわいまでなら展開を許すって言ってたから。
まだ試作だけど、もっと欠点をなくして調整できれば
みんなの所に提供できるよ」
「おほほぉ、打ち合いヨロシクそれっぽいの造ってる
親父さんの計画だったんだな。
これで中部は他の地方を一歩出しぬくチャンスが
おれたちの時代でやってきた!」
他のみんなもタオルでふきながら、改めてBWに注目。
試合は残数2:0でアイチが勝利したものの、
ある意味ギリギリ勝負にかたよる。
もちろんBWも全対応できずに万能ではないから、
今回の検証を帰ってから見直す必要もある。
スティーブも満足してくれたようで、本格的暑さになる
前のシズオカにちょっとした冷涼を与えられた。
きぼの小さな練習試合だったが、
エンジニアとしての結果は上々。
満足よりほんの下くらいの成果で今日の試合は終わった。
他に何もやることがなく日帰りなので、
もうこれでアイチにもどる。
ちなみに、メルはほぼかつやくするチャンスがなく、
うなだれた顔で早々バスにもどっていった。
次の土曜日、練習試合をしにボクたちは
となりエリアのシズオカに向かう。
学校専用バスで少しばかりの時間を費やして来た。
というのは、部活としてではなく
今日は自分のクラスだけで試合を行うことになり、
特別許可として新型を実せんすることになる。
たいていは周りの学校がアイチに来ることばかりだけど、今回はボクたちが行く。
理由はもちろんBWを試すことだけどそれだけではない。
学校だけでない個人的な要望をお願いしたのも
ふくまれていた。
くわしくは以下の小声な会話で明かされる。
「「あいつに見せるためにバスを使わせたのか!?」」
「「そう、部活で行くわけじゃないから
本人が来るとは限らない。永栄には部活がないし、
ボクたちが直接行けば会える確率が上がる」」
小さくもリアクションが大きめなメルの問い分が
ボクの本心だ。
実はこの学校に知り合いがいる。
スティーブという名前の子が信茶にいて、
真っ先に当人へ見せたかった。
とはいえ、部活がなく本人が永栄に来られずに、
本人がまだウオバトをやっているか分からないので、
こちらから直に観せに行った方が会える
確実性がより増してくるからだ。
(招く立場がこっちなのは常だけど、
イリーナ先生も、ボクの意向をくんでくれたんだろう。
・・・いや、もっと上の方だけど)
もっと正確にいうなら父の利権の力。
援助金を受け続けるのは学校も一部で
確実に根を生やしている。
その下で動き続けるボクもボクで、
中部進出は同じくさんどうしつつ
調子にのりすぎない感じを覚えつつ、
みんなで信茶小学校へ向かった。
しばらくの景色が変わる中で現地にとうちゃく。
校舎裏にバスが止まり、ここの校長先生がむかえて
イリーナ先生と対応。
側でクラスメイトと共に降りて入口に近づくと、
同じく信茶の児童たちもむかえてきた。
「よっ、元気かノア!?」
「スティーブ」
さっそく本人がやって来る。
金色スポーツカットでボクより一回り背の高い同級生。
保育園時代でいっしょだったが、小学校からは別になった。
時々メールでやりとりするだけで
顔を合わせていなかったけど、
久しぶりな感覚はほとんどなくふつうに接する。
日常生活も特に変わらず、
ふだんの会話で試合前の場をとりもつ。
「君も相変わらずの体格っぷりだね。
ボクも最近いそがしくて
連絡する息をつくヒマもなかった」
「お前、頭は良いもんな。
こっちはいつもとおんなじ緑茶ぶりよ。
それにしても、お前らがわざわざこっちに来るなんて
めずらしいな?」
「スティーブがウオバト部にいるか
確かめたかったのもある。
来年から出られる大会でいっしょに行けるかって
意味合いとしてね。
それはともかくとして、
その頭で今日はすごい物を造ってきた」
ボクは友人にBWを見せた。
試合前から手の内を教えるようなものだけど、
かまわずにおひろめする。
外見だけはただの“大きなウォーターガン”なので、
細かな性能など知らないはず。
水を飛ばすことはみんなが使うアサルトライフル型と
等しく、容量の多そうなものとだけしか
思われていないから平気だった。
同時に周りの子どもたちもおどろきの顔と声が上がる。
「なんだコリャ、ずいぶんとでかいな!?」
「新型を作った。
今までのありきたりなフォーメーションを一度くずして
中部に新しい戦略を生み出したいんだ」
信茶のみんなが想定通りな反応を見せる。
試合前にわざわざ見せたのも、新装備のインパクトを伝えて
試合中に“どう動きを変えるか”というねらいもある。
ただ、大まかなせんきょうに変革をもたらさなければ
意味がない。
よって、身近な反応からうかがって他地方を出しぬくのが
何よりも重要だ。
勝ち負けではなく、これも中部に新たなる示しを表すため。
率先役のイリーナ先生が信茶の先生に続けて説明した。
「今日は新作を用意してきました。
いかんなくはっきするつもりなので、
よろしくお願いします」
「こちらこそ、規格提供と聞いて楽しみにしています。
おたがいがんばりましょう」
自信あり気にアピール。
おたがいにあまりきんちょうかんのない中で場が進む。
とはいえ、性能においての失敗は許されないから、
ある意味では分かれ目。
今回はチームデスマッチ、10:10の形式で
ライフが0になり次第で終了するルールで行う。
カラークッションを校庭じゅうに設置して、
両わきに陣地を組む。
メルはアサルトライフル型を手に持ち、
予定通りに動くとささやいた。
「「じゃあ、ぼくたちは散開してるよ」」
「うん、それぞれクッションの後ろで対応して」
メンバーはボクをサポートする役目として動く作戦。
8人は全て待ちぶせによる後陣をとるように決めた。
「では、試合開始!」
ピーッ
合図と同時にボクはBWをかかえて止まる。
指導通り、前線には出ないよう陣地手前で
様子をみなければならない。
ただ、待つだけなら簡単なのだが。
(5分以上は持っていられない)
10kgをいかにして持ち続けられるのかが
個人の勝負であった。
事前の練習で最も長くかかえていられたのがその時間で、
残すところ、自身の問題だけ。
結局、重さは解決できないからこれだけはふんばって
もちこたえなければならず、前線でえんごしてくれる
味方の働きにも期待する必要があった。
(もう2~3人近くに来ているはず、
すがたを見てからじゃおそい)
ころあいを見計らってトリガーを押し始める。
発射までに時間がかかるデメリット
CO2の圧力をかけていつでも打てるようにためてゆく。
だが、やたらと放出しても音ですぐ居場所が特定される。
そろそろ来るか、来ないか。
わずかなタイミングを静かに見定め続けてゆく。
(ストップ)
いったん止める。
ボクはムダな射出をおさえ、
もう一度メルたちの行動を見直して静止した。
一方でスティーブは永栄の所持物を見て
おかしなことに気付く。
試合前に見せられた大型のウォーターガンは見えずに、
ほとんどの相手がふつうの型ばかりだった。
(大型を持ってるのはあいつだけか?)
永栄チームは大半がアサルトライフル型を持っている。
形がちがうだけで水玉を打ってくるのに変わりない。
気を取られすぎるのも良くないと、
クッションの角をクイックリィに見直す。
すると、前でなく左のクッションから1人ねらってくる。
ププシュ ズササァ
スライディングをしてから上打ちにビートさせる。
全てよけられずかたに数発当たってしまい、ライフ70。
気が付けばウオッチ情報で他のメンバーは
もう4人やられていて、すぐここをねらってくると予測。
分かりやすいくらいにメルがクッションをとびこして
打ってきた。
「視界のはんい外からならぁ、シカシカシカ!」
「させっか!」
ププシュッ
「ヘッショォ!」
「顔ッ!?」
スティーブがメルの顔面に数発打ちこむ。
クッションの上から来るくらいすでに分かっていた。
メルはかっこ良く飛び出すが、
あっという間にビートされてここで終わり。
自分のライフをチラ見すると20。
クッションの上に登るのも手間がかかりすきができるから
やりたくない。
アイチにそれほど運動神経のあるやつはいないはず。
身体能力では負けていないので、地上戦を優先したい。
しかし、上部に1人しかいない保証がない。
スティーブが上ばかりけいかいしていた時である。
バルルルルルルルル
ビチャチャチャチャチャチャチャチャチャチャチャチャ
小つぶの球体がすさまじい連続で顔の表面に次々とヒット。
アイチの陣地から見えるようにとびだしてしまったために、
波状を大きく受け入れられるポジションに立っていた
ところをねらわれた。
ノアは開始から前へ出ずに後方でずっと待機。
長い時間の待ちぶせでずっと射線に立つ相手だけを求めて
あらかじめねらっていたのである。
「「ンッフォオアァ、
ンッフォオアァ、
ンッフォオアァ!?」」←エコー
スティーブは横から降る雨にさらされてビート。
残りの20ポイントを一気にもっていかれてしまった。
不利に思えるこの仕様によるイリーナ先生の作戦は
確実にBWの性能を考えて示してくれた。
「こんな感じか」
ここでボクはそのまま発射をいじしながら移動。
残りの相手は他のメンバーと共に対応。
最後の1人もビートさせ、ボクをふくめて
2人だけ残って試合に勝利する。
かんじんの彼というと、
起き上がってくやしがると思いきや、
小学生と思えないようなえげつない声を出し始めた。
「ンフォオオオッ、キ゛ンモチ゛イイイィィ!!」
「えっ?」
ずいぶんと素直な感情で両うでを上げながらさけぶ。
ビートされたはずなのに、水びたしで気持ち良さそうに
元気に体をのばしている。
アサルトライフル型とちがって長時間あびられたから、
すごく清々しいと絶賛してくれた。
「まったくすげーモン作ったな!
体全身にまんべんなく当たった気がしたわ!」
「ヘッドショットで頭部だけねらったつもりだけど。
他の部位だとビートまで時間がかかるから」
「そーかそーか、こつぶに小気味良くやられたんだな。
で、それおれらでも使えるようになるんだよな!?」
「なると思う。
父が中部かいわいまでなら展開を許すって言ってたから。
まだ試作だけど、もっと欠点をなくして調整できれば
みんなの所に提供できるよ」
「おほほぉ、打ち合いヨロシクそれっぽいの造ってる
親父さんの計画だったんだな。
これで中部は他の地方を一歩出しぬくチャンスが
おれたちの時代でやってきた!」
他のみんなもタオルでふきながら、改めてBWに注目。
試合は残数2:0でアイチが勝利したものの、
ある意味ギリギリ勝負にかたよる。
もちろんBWも全対応できずに万能ではないから、
今回の検証を帰ってから見直す必要もある。
スティーブも満足してくれたようで、本格的暑さになる
前のシズオカにちょっとした冷涼を与えられた。
きぼの小さな練習試合だったが、
エンジニアとしての結果は上々。
満足よりほんの下くらいの成果で今日の試合は終わった。
他に何もやることがなく日帰りなので、
もうこれでアイチにもどる。
ちなみに、メルはほぼかつやくするチャンスがなく、
うなだれた顔で早々バスにもどっていった。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
Condense Nation
鳳
SF
西暦XXXX年、突如としてこの国は天から舞い降りた勢力によって制圧され、
正体不明の蓋世に自衛隊の抵抗も及ばずに封鎖されてしまう。
海外逃亡すら叶わぬ中で資源、優秀な人材を巡り、内戦へ勃発。
軍事行動を中心とした攻防戦が繰り広げられていった。
生存のためならルールも手段も決していとわず。
凌ぎを削って各地方の者達は独自の術をもって命を繋いでゆくが、
決して平坦な道もなくそれぞれの明日を願いゆく。
五感の界隈すら全て内側の央へ。
サイバーとスチームの間を目指して
登場する人物・団体・名称等は架空であり、
実在のものとは関係ありません。
NPCが俺の嫁~リアルに連れ帰る為に攻略す~
ゆる弥
SF
親友に誘われたVRMMOゲーム現天獄《げんてんごく》というゲームの中で俺は運命の人を見つける。
それは現地人(NPC)だった。
その子にいい所を見せるべく活躍し、そして最終目標はゲームクリアの報酬による願い事をなんでも一つ叶えてくれるというもの。
「人が作ったVR空間のNPCと結婚なんて出来るわけねーだろ!?」
「誰が不可能だと決めたんだ!? 俺はネムさんと結婚すると決めた!」
こんなヤバいやつの話。
鉄錆の女王機兵
荻原数馬
SF
戦車と一体化した四肢無き女王と、荒野に生きる鉄騎士の物語。
荒廃した世界。
暴走したDNA、ミュータントの跳梁跋扈する荒野。
恐るべき異形の化け物の前に、命は無残に散る。
ミュータントに攫われた少女は
闇の中で、赤く光る無数の目に囲まれ
絶望の中で食われ死ぬ定めにあった。
奇跡か、あるいはさらなる絶望の罠か。
死に場所を求めた男によって助け出されたが
美しき四肢は無残に食いちぎられた後である。
慈悲無き世界で二人に迫る、甘美なる死の誘惑。
その先に求めた生、災厄の箱に残ったものは
戦車と一体化し、戦い続ける宿命。
愛だけが、か細い未来を照らし出す。
決戦の夜が明ける ~第3堡塁の側壁~
独立国家の作り方
SF
ドグミス国連軍陣地に立て籠もり、全滅の危機にある島民と共に戦おうと、再上陸を果たした陸上自衛隊警備中隊は、条約軍との激戦を戦い抜き、遂には玉砕してしまいます。
今より少し先の未来、第3次世界大戦が終戦しても、世界は統一政府を樹立出来ていません。
南太平洋の小国をめぐり、新世界秩序は、新国連軍とS条約同盟軍との拮抗状態により、4度目の世界大戦を待逃れています。
そんな最中、ドグミス島で警備中隊を率いて戦った、旧陸上自衛隊1等陸尉 三枝啓一の弟、三枝龍二は、兄の志を継ぐべく「国防大学校」と名称が変更されたばかりの旧防衛大学校へと進みます。
しかし、その弟で三枝家三男、陸軍工科学校1学年の三枝昭三は、駆け落ち騒動の中で、共に協力してくれた同期生たちと、駐屯地の一部を占拠し、反乱を起こして徹底抗戦を宣言してしまいます。
龍二達防大学生たちは、そんな状況を打破すべく、駆け落ちの相手の父親、東京第1師団長 上条中将との交渉に挑みますが、関係者全員の軍籍剥奪を賭けた、訓練による決戦を申し出られるのです。
力を持たない学生や生徒達が、大人に対し、一歩に引くことなく戦いを挑んで行きますが、彼らの選択は、正しかったと世論が認めるでしょうか?
是非、ご一読ください。
もうダメだ。俺の人生詰んでいる。
静馬⭐︎GTR
SF
『私小説』と、『機動兵士』的小説がゴッチャになっている小説です。百話完結だけは、約束できます。
(アメブロ「なつかしゲームブック館」にて投稿されております)
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
スタートレック クロノ・コルセアーズ
阿部敏丈
SF
第一次ボーグ侵攻、ウルフ359の戦いの直前、アルベルト・フォン・ハイゼンベルク中佐率いるクロノ・コルセアーズはハンソン提督に秘密任務を与えられる。
これはスタートレックの二次作品です。
今でも新作が続いている歴史の深いSFシリーズですが、自分のオリジナルキャラクターで話を作り本家で出てくるキャラクターを使わせて頂いています。
新版はモリソンというキャラクターをもう少し踏み込んで書きました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる