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桜花昇天之章
2話 長寿の実 壱
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大原家
自宅に戻った次の日曜日。
2人で朝食をとりながら台所に腰を据えている。
食べ具合はこれといってあまり進んでいないモソモソ感。
朗らかな会話もなく、内心に秘めているのは彼の事。
櫻の病の悪化の件で雰囲気が弾まずに懸念している。
事情を知っていた亜彗が聞いてきた。
「櫻くん、だいじょうぶそう?」
「・・・分からない」
自信をもって大丈夫とは言えない。
事例が彼以外に1人もいないので、述べようがなかった。
専門外の自分が説明のつかない間においては同じく、
何も分からない子どもならではの見聞きで知りたがる。
「お医者さんでもどうすれば良いかなんて、おかしいよ。
薬とかでも治せないって、本当に病気なの?」
「現代でも治せない病気はたくさんあるんだよ。
癌とか、外から来る病原体と違う種類もあって、
内側から生まれるものも」
「そうなんだ」
ただでさえ原因不明の現象に、現実的な根源と対応が
とれる医学ですら未解決の界隈に残され続けている。
ただ、大まかに説明できるといえば
開花師は植物の性質と同化する事がある。
動態と思念で葉緑体が体内から生成すると
寺院で習ってきた。
ここは科学で解明できない点で、
植物が人体へ及ぼす影響は不明のまま
自分の様な者はこの世界に身を置いている。
友人の1人が病院にいるが、やはり解決の糸口は見えず。
どれ程の開花力をもっていようと、
病に介入できるわけではなかった。
自分もこの子も表情は変わらず。
何も言いようなく台所で静まりかけた時だ。
「誰か来た」
呼び鈴が聴こえる。玄関に行くと、
自分がドアに手を触れる前に勝手に開けてきた。
「祐麻センパイ!」
「箕佐紀君!」
後頭部にマジェステを挿した橙色の髪の男。
明らかに後輩と分かる単語を聞かされてやって来た。
彼は二階堂箕佐紀。
かつては大学の後輩で、
今は山林で桃の栽培を営む22歳の者だ。
「そっちはどう?」
「こっちは呆れるくらい日常的に別状はないっす。
手入れは終わって、出荷までまだまだ
時間かかりそうなんで」
「君にとってはとても有利な仕事だからね。
場所が近いってのもあるけど」
「今まで指導をしてくれた感謝の気持ちで
大原家に御献上を。
で、土産ついでにあの人の様子を
聞きたくて来たんすけど」
「櫻について?」
「当たりっす」
来家した理由をあっさりと見抜いて反応を見る。
彼は櫻の事がとても・・・同性さながらな思いやりの心を
もった者で、少し柔らかい膜の様な言い方で、
ファンなのである。
小学校時代から仲が良かったのは知っていたが、
貼り付き具合がまたあれで
少々度が過ぎるベタベタっぷりは周囲から浮くくらいだ。
そんなに気懸かりなら直接会えば良いだろうと思うも、
直に吉野家へ行かなかった理由は1人じゃ気難しい事と、
当家の雰囲気がなじみにくいからと言う。
後は寺院での位の都合で悠々と入れないらしい。
だから、気軽さに寄りやすい同期の自分から普通に
伺いにきたのだが。
「やっぱり、そうなんすか?」
「うん、昨日行ったらますます膨らみ続けていた」
櫻の家での出来事を話す。
サクラの木の地下に根付く、
強大な思念や怨念の根源が何か
把握しきれていない現状を打ち明けた。
「原因は何なんすか?」
「地脈に何か異変が起きた・・・とは思う。
もしかしたら他地方からの影響も」
「最近はこれといった災害で死亡者が
増えたわけでもないのに。
なんで、東側に集ってるんすかね?」
「分からない、柳碧町だけに集まるってのもおかしいし。
さらに下から来てるような感じも」
魂の流動が異常という話はすでに開花師の間で
伝わっていた。
春と重なる季節に起因すると寺院の見解もあるが、
正確な根拠は未だつかみきれていない。
木も同様な事だが、友として櫻本人の容態を
どうにかするべきだと箕佐紀は提案をもちかけてきた。
「どんなモンがこようと、
櫻先輩に重しを乗せすぎちゃダメっす。
そこで、オレっちに良い考えがあるんすよ。
ちょっと、1個だけ作ってみました。
薬用のフルーツっす」
「薬膳桃?」
彼は自前の果物を差し出してきた。
前振りでもう理解できたと思うが、
箕佐紀は桃を持ち花とする開花師。
春をにぎわせ、人にとって目と胃袋に需要がある
代表的な一花だ。
そして今回、得意とする桃を櫻の療養の為に、
山林で実らせを手伝ってほしいと相談しにきた。
自分の教えもあって、寺院出身の1人で確かな実力はある。
ただ、性格面からして桃の様な性質と
似合っているかどうかは別。
前のめりで、おっちょこちょいが目立つのである。
「ところで、育成場所は? 今生えている木を使うの?」
「万が一の時を考えて、
自分オリジナルの木でやる事にしました。
敷地内で勝手にやると文句言われるので、
向こうも商売っすから」
「そうだね、農協の許可なく勝手な栽培なんてできないし。
原因も分からなきゃ、
効果も何が通用するのかも不明だし」
「ええ、せめてものトーヨー的医療として
全身から予防する効果で薬用果物を作りたいっす」
漢字に直すと東洋の医学で彼の肺を癒す。
場所は畑の離れで独自の木を生やす計画を立てるらしい。
行動の早さならある意味、衛太と同じくらいに思える。
自ら足を運んで電話で呼び出せば良いのではと答えるが、
ここに来た理由はまだ他にもあると言う。
「細かい話をここでするのもアレなので、現地でするっす。
で、今からウチの山に来てもらいますが。」
「そういえば、前触れなしにわざわざ来てくれたね。
電話で呼んでくれても良かったのに」
「実は祐麻センパイにも用があって来たんす。
育成の前に・・・ここでいっちょ花比べの相手を」
「そうくるか」
箕佐紀は自分に勝負しろと発言。
理由とは現地とはなれた個人事であった。
承諾した自分は準備しようと外に出て開けた所を選択。
2人は庭に移動、亜彗は縁側で足をパタつかせながら
様子を観る。
「準備は良い?」
「すでに了承、いつでもよござんす!
花の一手、申し込むッ!」
試合前の掛け言葉より、花の咲き合いを始めた。
共に身体の重心のバランスを取り直す。
後輩の掛け声と同時にお互いの舞いをとる。
「桃ッ!」
「梅ッ!」
自分は梅を出して対応、箕佐紀は桃で応対。
1秒の間で2種類の花弁が発生して互いに射出して
押し合う。先端の花柄をさらに伸ばして絡みつく。
自分は雌しべで桃の花の状態を探って発言した。
「2年前よりは・・・強くなってる」
「ぐぬっ、ほんぐおおお!」
梅の丸みな花弁を桃の尖った花弁をくるめる。
ここは物理的な作用を及ぼすが、植物の成長を促す
開花力の源泉。後は精神力が勝る側に決する。
「もう一丁!」
「うおあっ!?」
もう1つ弁を開いて箕佐紀の身体を押しのける。
錐揉みに回転しながら吹っ飛び、転倒。
桃の開花させる気力は一旦尽きる。
うつ伏せに言葉を発する。
「強いっす・・・」
「凛としたお手前で」
間もなく決着。
両手を点対称に逆にして合掌。
この町ではトップクラスの実力がある自分の貫禄を
後輩に教え込んだ。
花は由縁もなく咲かず。
根が有り、茎が在り、枝が或るから咲けるのだ。
ちなみに、花比べとは開花力を試す行為で、
花弁や植物体幹を駆使して競い合う行事の1つである。
相撲、と近しいものかもしれないが、
例えは各々の想像による。
「なんで、そんな開花力あるっすか?
カワイイ顔して、花力は圧倒的」
「可愛いは余計だ、幼少期からの練習量が違う。
精進あるのみだよ、しょうじん!」
お役目前の勝負に何の意味があったのかはさておき、
花を披露させ、ちょっとした試合が終わったところで
本題に戻る。
肝心の果実にどの様な影響で献身できるのか。
薬膳料理も様々で、身体的効果も決まっていない。
具体的にどうやって作るのか、
箕佐紀の持ち味に聞くしかなかった。
「で、気になってるのが薬用としての効き目だけど。
段取りはすでに整えてある?」
「農協から効能がありそうな肥料をもらってきたんで、
オレっち達がやるのは舞咲で桃を育てる事だけす」
「科学については上手くできる確証はないよ?
櫻の身体を治す方法なんて僕でも分からないんだから」
「確かにそうなんす。薬学だけじゃ、なにかと不安で。
その為に、あえてセンパイを頼りにしたんす」
「僕と一緒に?」
「つまり、なんだ、2人の共舞咲で効果を高める狙いっす。
舞咲で促成成分を高めて患部を癒す、みたいな。
以上の根拠はないっすが、オレっちとセンパイなら、
イケると思うっす」
共舞咲とは力を合わせて咲かせる事。
1つの植物を数人で舞咲させて質を高め、
効能を上げさせる高度な技術で
開花が難解な種類を解決する方法が存在する。
基本的には幹が異様に太かったりする物程、
頂への昇華へ負担がかかるので、
古来から複数の舞踏を試みてきた。
しかし、舞いの同調、気力維持などで相乗するのは難しい。
また、桜の様に超特殊体への干渉は複数で挑んでも
不可能なので、足し算感覚にはいかず、
思い通りに上がるとは限らないのだ。
「そうか・・・ところで、見落としとかないよね?」
「な、ないっす」
「学生時代にあった、花肥えでリン酸を多く混ぜすぎて、
開花させたら5mの花弁が生えた・・・とかないよね?」
「だ、大丈夫す」
「李も桃も桃の内、言ってみよう」
「すももももももものうち!」
「はい残念」
勢いある彼ならではのミスが伺える。
自分の見解としては何とも言えないが、
櫻を助けたい気持ちは飲める。
きっと、彼なりの見込みがあるのだろう。
少しでも可能性があればと、1つの件にのる事にした。
「何もしないで後悔するよりは、だし。
やるだけやってみよう!」
「流石は柳碧町の豪花っす! カワイイ!」
「可愛いは余計だッ!」
後輩を蔓でいなし(よろめかす事)、
玄関の始終場を締めくくる。
こうして薬膳桃の作成を試し作りする事を決定。
亜彗と一緒に連れて箕佐紀の労働所のある山林へ向かった。
そして、しばらくの間を省きつつ、今回は歩いて到着。
ここは柳碧町の中心から北東に位置する白透区。
先に述べた通り、桃の山地である。
0. 1㎢もの敷地面積をもつ緩やかな傾斜地に畑を設け
育てている。農林水産省より、農業協同組合(農協)で
生産、管理されていた。
白桃から由来をとったという説もあるが、
詳しい内容は分かっていない。
当を持ち花とする箕佐紀にとってはまさに天職の所だ。
「今や開花の絶頂期だね」
「見栄えなら桜でも負けないっすよ」
果物を生み出す産業以外でも外見の良さで
観光客が来る時もあり、淡い白と桃も織りなす色彩は
春さながらの温暖を表している。
桜と同等に綺麗だと、彼の言う通りに思えた。
農協の1人が迎えに来る。
「大原さん、この度はどうも」
「こんにちは」
従業員のおじさんに挨拶。
寺院に内通する植物伝導なのはここでも同様。
もはや、色々な所で顔が利いているので、
警戒される余地もなく桃園に入った。
学校の教員どころという枠ではないのかもしれない。
(良い香り)
辺りは薄いピンク色一面に彩られている。
桜が撫子色で甘い匂いも漂うのはこれと似ていても、
少し異なる。人工的な香水とは違う自然ならではの
香りに身が安らぎそうになる。
心地よく吸引して、作成するのはどこかと後輩に聞くと、
現場に行く前に工房で機材を持ってくると言う。
やる気を感じさせるかの様に、1分以内で戻ってきた。
「お待たせっす!」
「受粉させる道具だね?」
「ミスト機っす、こしらえた葯を蒔いて塗って入れる
子孫繫栄に欠かせない物っす!」
「述語が3つもあるくらい便利な道具だね。
花粉も人が付けていかないと満足に育てられないから
手間だ」
「ミツバチだけに頼ってると足りないっすからね。
量を求めるなら、結局は人も介入するしかないす」
ただでは子房を果実に変えられず。
通常なら雄しべに含む葯を昆虫が運んで受粉させるのが
普通だが、多量の実を望むと効率が低い。
よって、ここでは舞咲と化学調料を凝らして生産している。
寺院は科学を重視して扱ってはいないが、
禁止事項としてもいない。
教えとはいえ、人として日々を過ごす生活が関わる
事業なので、暗黙の静観。
実論と精神論が均等する関係を続けてきた。
箕佐紀にとっては“上手くいくなら何でも良い、
櫻の為なら”と、なりふり構わずスタイルで回っている。
「じゃあ、開花し終わったらこれを使います!
ミスト機で花に吹きかけて下さいっす」
「僕がやりたーい」
「亜彗に任せよう」
農場から外れた人気のない丘に着いて見渡す。
葯の散布を我が子に使用させて自分達は
舞踏会のスタンバイ。箕佐紀は使い方を丁寧に教え、
花弁に吹きかけて実を膨らませる。
今回は身体から生やすのではなく、苗を地面に植えてから。
多少の時間はかかるものの、肉体から直に実を
もぎ取らせるわけにはいかず。桃は本来、夏に収穫するが、
超促成が可能な自分達なら話は別である。
「東洋医学の側からみた補正治療か。
よく、思いついたもんだね?」
「大学時代、冬休みで温泉旅行に行きましたよね?
櫻先輩も呼んで、一緒に入った時の事っす。」
「へ?」
「あれ、知らなかったんすか? 2日目の夕方の頃の話で」
「あの時は僕が友達とシクラメンを
観に行ってた時だっけか。というか、いつの間に!?」
「ほら、あの人は生活パターン上、早風呂じゃないですか。
皆は外庭へ、オレっちは先輩と一緒についていて
チャンスだと。
一度で良いから・・・いや、何度でも入りたいから
誘ったんす。めったに外へ連れていけないですから」
「ちゃっかりして・・・それで?」
「幅3mくらいの小さな浴槽に2人で入った時なんすけど、
なんか、ムズムズ感がしてきたんす」
「変な気を起こしたんじゃなく?」
「もちろんす!(肯定、否定どっちつかず)
最初は気のせいかと思ってたんすけど、
なんだか先輩が眠くなった様な仕草をしたとたん、
体の中がホンワリと湯を伝ってきて」
「調和してる感じ、みたいな?」
「ええ、肩が触れてこっちの意識が
吹っ飛びそうになりましたが、
刺激ついでに静かな反応で思ったんす。
もしかして、桜と桃って、親和性が高いんじゃないかと」
「しんわせい・・・」
純粋な気持ちで語ったと受け止める。
親和性とは相性の良さで、良環境から好環境へ性質が変化。
同じ場所に異なる花を添えると、
場合によってより綺麗に咲くという。
温泉での経緯はともかく、
箕佐紀が櫻に思い入れが高まる流れで
相性が愛称に変化してゆく様なものなのかもしれない。
ただ、仕組みはまったく分かっていない。
似たような花弁、柄、季節、環境などが見当されているが、
持ち花という言葉はまだまだ奥がある。
能力者によっては花の形状を変える事もできるので、
オリジナルにデコレーションする者も少なくない。
自分達2人にとっても、桃なら粘土をこねる様に可能だが。
「ちょっと花弁にこだわりがあるので
八重咲きにしまっす!」
「はいよ」
2m前に立って技を成す。
後輩の注文を付け足して、
甘味の実を成就するべく共舞咲を実行した。
「桃ッ!」
「桃ォッ!」
右腕を前に左腕を後ろに構えてから
左足を突き出して半回転。
桃の木は急速に幹を伸ばして複数の枝先が上部に突き出る。
亜彗もミスト機で葯を放出しながら応援する。
「ガンバ!」
「頂上部の花弁の出が少し良くないね。
もっと腰を回して、桃太郎君!」
「ちょ、あだ名!?」
小型の植物とは違い、完全体までの労を必要とするので
体力がなくなり次第、交代交代で舞咲を続けた。
始めてから30分経過。
桃の木が4mくらいに成長。
休憩側の箕佐紀は質問を投げてきた。
「作業中、こんな事聞くのも野暮っすけど」
「なに?」
「どうして、寺院から出ていったんすか?」
「・・・・・・」
それは自分にとって少し障るものだった。
あそこによる身元については食物繊維のような
網目模様に展開するだろう。
もちろん、深層の最も深い淵から話せば
長くなる。だから、当たり障りのない答え方をした。
「自分の道を見つけたんだ。
立場でもなく、家柄でもないから」
「・・・そうっすか」
気まずいと分かったのか、箕佐紀も追及しない。
彼も関わっていた元締めの大奥を探る気は
起こらないだろう。
話の内容を早々に切り替えて木に没頭した。
「今日はこれまでにしよう。」
「お疲れ様っす!」
精も鍛も共に放出し尽くすくらいの
舞いはここで終了。
手応えは個人的にあった方で、後輩と合わせられたと思う。
後は経過を見守るのみ。
すぐに治る見込みが薄いのは分かっていたので、
箕佐紀の監視下で事の成り行きが良くなるのを願い、
熟成の時を待ち続けた。
弐に続く
自宅に戻った次の日曜日。
2人で朝食をとりながら台所に腰を据えている。
食べ具合はこれといってあまり進んでいないモソモソ感。
朗らかな会話もなく、内心に秘めているのは彼の事。
櫻の病の悪化の件で雰囲気が弾まずに懸念している。
事情を知っていた亜彗が聞いてきた。
「櫻くん、だいじょうぶそう?」
「・・・分からない」
自信をもって大丈夫とは言えない。
事例が彼以外に1人もいないので、述べようがなかった。
専門外の自分が説明のつかない間においては同じく、
何も分からない子どもならではの見聞きで知りたがる。
「お医者さんでもどうすれば良いかなんて、おかしいよ。
薬とかでも治せないって、本当に病気なの?」
「現代でも治せない病気はたくさんあるんだよ。
癌とか、外から来る病原体と違う種類もあって、
内側から生まれるものも」
「そうなんだ」
ただでさえ原因不明の現象に、現実的な根源と対応が
とれる医学ですら未解決の界隈に残され続けている。
ただ、大まかに説明できるといえば
開花師は植物の性質と同化する事がある。
動態と思念で葉緑体が体内から生成すると
寺院で習ってきた。
ここは科学で解明できない点で、
植物が人体へ及ぼす影響は不明のまま
自分の様な者はこの世界に身を置いている。
友人の1人が病院にいるが、やはり解決の糸口は見えず。
どれ程の開花力をもっていようと、
病に介入できるわけではなかった。
自分もこの子も表情は変わらず。
何も言いようなく台所で静まりかけた時だ。
「誰か来た」
呼び鈴が聴こえる。玄関に行くと、
自分がドアに手を触れる前に勝手に開けてきた。
「祐麻センパイ!」
「箕佐紀君!」
後頭部にマジェステを挿した橙色の髪の男。
明らかに後輩と分かる単語を聞かされてやって来た。
彼は二階堂箕佐紀。
かつては大学の後輩で、
今は山林で桃の栽培を営む22歳の者だ。
「そっちはどう?」
「こっちは呆れるくらい日常的に別状はないっす。
手入れは終わって、出荷までまだまだ
時間かかりそうなんで」
「君にとってはとても有利な仕事だからね。
場所が近いってのもあるけど」
「今まで指導をしてくれた感謝の気持ちで
大原家に御献上を。
で、土産ついでにあの人の様子を
聞きたくて来たんすけど」
「櫻について?」
「当たりっす」
来家した理由をあっさりと見抜いて反応を見る。
彼は櫻の事がとても・・・同性さながらな思いやりの心を
もった者で、少し柔らかい膜の様な言い方で、
ファンなのである。
小学校時代から仲が良かったのは知っていたが、
貼り付き具合がまたあれで
少々度が過ぎるベタベタっぷりは周囲から浮くくらいだ。
そんなに気懸かりなら直接会えば良いだろうと思うも、
直に吉野家へ行かなかった理由は1人じゃ気難しい事と、
当家の雰囲気がなじみにくいからと言う。
後は寺院での位の都合で悠々と入れないらしい。
だから、気軽さに寄りやすい同期の自分から普通に
伺いにきたのだが。
「やっぱり、そうなんすか?」
「うん、昨日行ったらますます膨らみ続けていた」
櫻の家での出来事を話す。
サクラの木の地下に根付く、
強大な思念や怨念の根源が何か
把握しきれていない現状を打ち明けた。
「原因は何なんすか?」
「地脈に何か異変が起きた・・・とは思う。
もしかしたら他地方からの影響も」
「最近はこれといった災害で死亡者が
増えたわけでもないのに。
なんで、東側に集ってるんすかね?」
「分からない、柳碧町だけに集まるってのもおかしいし。
さらに下から来てるような感じも」
魂の流動が異常という話はすでに開花師の間で
伝わっていた。
春と重なる季節に起因すると寺院の見解もあるが、
正確な根拠は未だつかみきれていない。
木も同様な事だが、友として櫻本人の容態を
どうにかするべきだと箕佐紀は提案をもちかけてきた。
「どんなモンがこようと、
櫻先輩に重しを乗せすぎちゃダメっす。
そこで、オレっちに良い考えがあるんすよ。
ちょっと、1個だけ作ってみました。
薬用のフルーツっす」
「薬膳桃?」
彼は自前の果物を差し出してきた。
前振りでもう理解できたと思うが、
箕佐紀は桃を持ち花とする開花師。
春をにぎわせ、人にとって目と胃袋に需要がある
代表的な一花だ。
そして今回、得意とする桃を櫻の療養の為に、
山林で実らせを手伝ってほしいと相談しにきた。
自分の教えもあって、寺院出身の1人で確かな実力はある。
ただ、性格面からして桃の様な性質と
似合っているかどうかは別。
前のめりで、おっちょこちょいが目立つのである。
「ところで、育成場所は? 今生えている木を使うの?」
「万が一の時を考えて、
自分オリジナルの木でやる事にしました。
敷地内で勝手にやると文句言われるので、
向こうも商売っすから」
「そうだね、農協の許可なく勝手な栽培なんてできないし。
原因も分からなきゃ、
効果も何が通用するのかも不明だし」
「ええ、せめてものトーヨー的医療として
全身から予防する効果で薬用果物を作りたいっす」
漢字に直すと東洋の医学で彼の肺を癒す。
場所は畑の離れで独自の木を生やす計画を立てるらしい。
行動の早さならある意味、衛太と同じくらいに思える。
自ら足を運んで電話で呼び出せば良いのではと答えるが、
ここに来た理由はまだ他にもあると言う。
「細かい話をここでするのもアレなので、現地でするっす。
で、今からウチの山に来てもらいますが。」
「そういえば、前触れなしにわざわざ来てくれたね。
電話で呼んでくれても良かったのに」
「実は祐麻センパイにも用があって来たんす。
育成の前に・・・ここでいっちょ花比べの相手を」
「そうくるか」
箕佐紀は自分に勝負しろと発言。
理由とは現地とはなれた個人事であった。
承諾した自分は準備しようと外に出て開けた所を選択。
2人は庭に移動、亜彗は縁側で足をパタつかせながら
様子を観る。
「準備は良い?」
「すでに了承、いつでもよござんす!
花の一手、申し込むッ!」
試合前の掛け言葉より、花の咲き合いを始めた。
共に身体の重心のバランスを取り直す。
後輩の掛け声と同時にお互いの舞いをとる。
「桃ッ!」
「梅ッ!」
自分は梅を出して対応、箕佐紀は桃で応対。
1秒の間で2種類の花弁が発生して互いに射出して
押し合う。先端の花柄をさらに伸ばして絡みつく。
自分は雌しべで桃の花の状態を探って発言した。
「2年前よりは・・・強くなってる」
「ぐぬっ、ほんぐおおお!」
梅の丸みな花弁を桃の尖った花弁をくるめる。
ここは物理的な作用を及ぼすが、植物の成長を促す
開花力の源泉。後は精神力が勝る側に決する。
「もう一丁!」
「うおあっ!?」
もう1つ弁を開いて箕佐紀の身体を押しのける。
錐揉みに回転しながら吹っ飛び、転倒。
桃の開花させる気力は一旦尽きる。
うつ伏せに言葉を発する。
「強いっす・・・」
「凛としたお手前で」
間もなく決着。
両手を点対称に逆にして合掌。
この町ではトップクラスの実力がある自分の貫禄を
後輩に教え込んだ。
花は由縁もなく咲かず。
根が有り、茎が在り、枝が或るから咲けるのだ。
ちなみに、花比べとは開花力を試す行為で、
花弁や植物体幹を駆使して競い合う行事の1つである。
相撲、と近しいものかもしれないが、
例えは各々の想像による。
「なんで、そんな開花力あるっすか?
カワイイ顔して、花力は圧倒的」
「可愛いは余計だ、幼少期からの練習量が違う。
精進あるのみだよ、しょうじん!」
お役目前の勝負に何の意味があったのかはさておき、
花を披露させ、ちょっとした試合が終わったところで
本題に戻る。
肝心の果実にどの様な影響で献身できるのか。
薬膳料理も様々で、身体的効果も決まっていない。
具体的にどうやって作るのか、
箕佐紀の持ち味に聞くしかなかった。
「で、気になってるのが薬用としての効き目だけど。
段取りはすでに整えてある?」
「農協から効能がありそうな肥料をもらってきたんで、
オレっち達がやるのは舞咲で桃を育てる事だけす」
「科学については上手くできる確証はないよ?
櫻の身体を治す方法なんて僕でも分からないんだから」
「確かにそうなんす。薬学だけじゃ、なにかと不安で。
その為に、あえてセンパイを頼りにしたんす」
「僕と一緒に?」
「つまり、なんだ、2人の共舞咲で効果を高める狙いっす。
舞咲で促成成分を高めて患部を癒す、みたいな。
以上の根拠はないっすが、オレっちとセンパイなら、
イケると思うっす」
共舞咲とは力を合わせて咲かせる事。
1つの植物を数人で舞咲させて質を高め、
効能を上げさせる高度な技術で
開花が難解な種類を解決する方法が存在する。
基本的には幹が異様に太かったりする物程、
頂への昇華へ負担がかかるので、
古来から複数の舞踏を試みてきた。
しかし、舞いの同調、気力維持などで相乗するのは難しい。
また、桜の様に超特殊体への干渉は複数で挑んでも
不可能なので、足し算感覚にはいかず、
思い通りに上がるとは限らないのだ。
「そうか・・・ところで、見落としとかないよね?」
「な、ないっす」
「学生時代にあった、花肥えでリン酸を多く混ぜすぎて、
開花させたら5mの花弁が生えた・・・とかないよね?」
「だ、大丈夫す」
「李も桃も桃の内、言ってみよう」
「すももももももものうち!」
「はい残念」
勢いある彼ならではのミスが伺える。
自分の見解としては何とも言えないが、
櫻を助けたい気持ちは飲める。
きっと、彼なりの見込みがあるのだろう。
少しでも可能性があればと、1つの件にのる事にした。
「何もしないで後悔するよりは、だし。
やるだけやってみよう!」
「流石は柳碧町の豪花っす! カワイイ!」
「可愛いは余計だッ!」
後輩を蔓でいなし(よろめかす事)、
玄関の始終場を締めくくる。
こうして薬膳桃の作成を試し作りする事を決定。
亜彗と一緒に連れて箕佐紀の労働所のある山林へ向かった。
そして、しばらくの間を省きつつ、今回は歩いて到着。
ここは柳碧町の中心から北東に位置する白透区。
先に述べた通り、桃の山地である。
0. 1㎢もの敷地面積をもつ緩やかな傾斜地に畑を設け
育てている。農林水産省より、農業協同組合(農協)で
生産、管理されていた。
白桃から由来をとったという説もあるが、
詳しい内容は分かっていない。
当を持ち花とする箕佐紀にとってはまさに天職の所だ。
「今や開花の絶頂期だね」
「見栄えなら桜でも負けないっすよ」
果物を生み出す産業以外でも外見の良さで
観光客が来る時もあり、淡い白と桃も織りなす色彩は
春さながらの温暖を表している。
桜と同等に綺麗だと、彼の言う通りに思えた。
農協の1人が迎えに来る。
「大原さん、この度はどうも」
「こんにちは」
従業員のおじさんに挨拶。
寺院に内通する植物伝導なのはここでも同様。
もはや、色々な所で顔が利いているので、
警戒される余地もなく桃園に入った。
学校の教員どころという枠ではないのかもしれない。
(良い香り)
辺りは薄いピンク色一面に彩られている。
桜が撫子色で甘い匂いも漂うのはこれと似ていても、
少し異なる。人工的な香水とは違う自然ならではの
香りに身が安らぎそうになる。
心地よく吸引して、作成するのはどこかと後輩に聞くと、
現場に行く前に工房で機材を持ってくると言う。
やる気を感じさせるかの様に、1分以内で戻ってきた。
「お待たせっす!」
「受粉させる道具だね?」
「ミスト機っす、こしらえた葯を蒔いて塗って入れる
子孫繫栄に欠かせない物っす!」
「述語が3つもあるくらい便利な道具だね。
花粉も人が付けていかないと満足に育てられないから
手間だ」
「ミツバチだけに頼ってると足りないっすからね。
量を求めるなら、結局は人も介入するしかないす」
ただでは子房を果実に変えられず。
通常なら雄しべに含む葯を昆虫が運んで受粉させるのが
普通だが、多量の実を望むと効率が低い。
よって、ここでは舞咲と化学調料を凝らして生産している。
寺院は科学を重視して扱ってはいないが、
禁止事項としてもいない。
教えとはいえ、人として日々を過ごす生活が関わる
事業なので、暗黙の静観。
実論と精神論が均等する関係を続けてきた。
箕佐紀にとっては“上手くいくなら何でも良い、
櫻の為なら”と、なりふり構わずスタイルで回っている。
「じゃあ、開花し終わったらこれを使います!
ミスト機で花に吹きかけて下さいっす」
「僕がやりたーい」
「亜彗に任せよう」
農場から外れた人気のない丘に着いて見渡す。
葯の散布を我が子に使用させて自分達は
舞踏会のスタンバイ。箕佐紀は使い方を丁寧に教え、
花弁に吹きかけて実を膨らませる。
今回は身体から生やすのではなく、苗を地面に植えてから。
多少の時間はかかるものの、肉体から直に実を
もぎ取らせるわけにはいかず。桃は本来、夏に収穫するが、
超促成が可能な自分達なら話は別である。
「東洋医学の側からみた補正治療か。
よく、思いついたもんだね?」
「大学時代、冬休みで温泉旅行に行きましたよね?
櫻先輩も呼んで、一緒に入った時の事っす。」
「へ?」
「あれ、知らなかったんすか? 2日目の夕方の頃の話で」
「あの時は僕が友達とシクラメンを
観に行ってた時だっけか。というか、いつの間に!?」
「ほら、あの人は生活パターン上、早風呂じゃないですか。
皆は外庭へ、オレっちは先輩と一緒についていて
チャンスだと。
一度で良いから・・・いや、何度でも入りたいから
誘ったんす。めったに外へ連れていけないですから」
「ちゃっかりして・・・それで?」
「幅3mくらいの小さな浴槽に2人で入った時なんすけど、
なんか、ムズムズ感がしてきたんす」
「変な気を起こしたんじゃなく?」
「もちろんす!(肯定、否定どっちつかず)
最初は気のせいかと思ってたんすけど、
なんだか先輩が眠くなった様な仕草をしたとたん、
体の中がホンワリと湯を伝ってきて」
「調和してる感じ、みたいな?」
「ええ、肩が触れてこっちの意識が
吹っ飛びそうになりましたが、
刺激ついでに静かな反応で思ったんす。
もしかして、桜と桃って、親和性が高いんじゃないかと」
「しんわせい・・・」
純粋な気持ちで語ったと受け止める。
親和性とは相性の良さで、良環境から好環境へ性質が変化。
同じ場所に異なる花を添えると、
場合によってより綺麗に咲くという。
温泉での経緯はともかく、
箕佐紀が櫻に思い入れが高まる流れで
相性が愛称に変化してゆく様なものなのかもしれない。
ただ、仕組みはまったく分かっていない。
似たような花弁、柄、季節、環境などが見当されているが、
持ち花という言葉はまだまだ奥がある。
能力者によっては花の形状を変える事もできるので、
オリジナルにデコレーションする者も少なくない。
自分達2人にとっても、桃なら粘土をこねる様に可能だが。
「ちょっと花弁にこだわりがあるので
八重咲きにしまっす!」
「はいよ」
2m前に立って技を成す。
後輩の注文を付け足して、
甘味の実を成就するべく共舞咲を実行した。
「桃ッ!」
「桃ォッ!」
右腕を前に左腕を後ろに構えてから
左足を突き出して半回転。
桃の木は急速に幹を伸ばして複数の枝先が上部に突き出る。
亜彗もミスト機で葯を放出しながら応援する。
「ガンバ!」
「頂上部の花弁の出が少し良くないね。
もっと腰を回して、桃太郎君!」
「ちょ、あだ名!?」
小型の植物とは違い、完全体までの労を必要とするので
体力がなくなり次第、交代交代で舞咲を続けた。
始めてから30分経過。
桃の木が4mくらいに成長。
休憩側の箕佐紀は質問を投げてきた。
「作業中、こんな事聞くのも野暮っすけど」
「なに?」
「どうして、寺院から出ていったんすか?」
「・・・・・・」
それは自分にとって少し障るものだった。
あそこによる身元については食物繊維のような
網目模様に展開するだろう。
もちろん、深層の最も深い淵から話せば
長くなる。だから、当たり障りのない答え方をした。
「自分の道を見つけたんだ。
立場でもなく、家柄でもないから」
「・・・そうっすか」
気まずいと分かったのか、箕佐紀も追及しない。
彼も関わっていた元締めの大奥を探る気は
起こらないだろう。
話の内容を早々に切り替えて木に没頭した。
「今日はこれまでにしよう。」
「お疲れ様っす!」
精も鍛も共に放出し尽くすくらいの
舞いはここで終了。
手応えは個人的にあった方で、後輩と合わせられたと思う。
後は経過を見守るのみ。
すぐに治る見込みが薄いのは分かっていたので、
箕佐紀の監視下で事の成り行きが良くなるのを願い、
熟成の時を待ち続けた。
弐に続く
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