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1章 九州編
第7話 幽海の片鱗
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カゴシマCN 机埼エリア
ギリギリギリ
「「ぐっ、離しやがれ・・・!」」
ミヤザキ兵の足には細長い金属が巻き付いていた。
オキナワCNを警戒していた矢先、前触れもなく
突然、海からヘビの様な発動機が数体襲ってきたのである。
まったく音もなく悠々と飛ぶと同時に瞬時に巻き付き、
海に引きずり込もうとする。
「奴らは海から来る、海岸沿いには近づくな!」
「なんでイキナリ・・・?」
「もっと早く気付けなかったのか!?」
「モーションがウミヘビのそれで、判別が分からなかったんです!
ソナーでも、海洋生物としか分類されてなく」
メンバー内でも数十匹が海岸まで向かっていると指摘しても、
おかしいと発言し始めた時にはもう50mまで接近していて、
対応がこんな状況になってしまう。
とはいえ、手段は細長い金属を断てば勝てる見込みはある。
ケンジはカゴシマ既成片手剣で部下に対処させる。
「セパレイトチェインで切り落とせ!」
チ゛ュイイィィン
縛りつける物にはまるごと切り落とす。
カゴシマはチェーンソー替刃を装着したショートソードを所持。
武装を見図る性能まで備えていなさそうな相手を破壊しようと試みた。
しかし。
スルッ
「な!?」
巻き付いていたヘビは急にほどけて宙に浮いた。
かと思いきや、他の兵に向かって襲いかかっていく。
「コイツら知能があるのか・・・」
まるで生物の様な動きをしている。
刃を向けられたと判定したとしか思えない行動を取り始めて、
しかも、重力に逆らい空中を遊泳する動きで40m離れた。
自分達が所有している発動機ですら成せるモーションではない。
「くるなくるなああああああああああ!」
「周囲をよく見渡せ、避けろ!」
ビリビリビリ ボトン
細長い鋏が1人に迫ろうとした寸前、
犬がスタンナイフでヘビ機をショックさせる。
麻痺が通用したのか、それは地に落ちて蠢いていた。
ミキ率いる犬兵団が到着したのだ。
「犬兵団、只今到着しました!」
「はは、やっと来たか!」
小さくても頼もしい味方がやってきた。
犬兵ならば、細長い機体の素早い動きに十分対応できる。
10匹にも及び、常にスタンナイフを装備しているので
幸い電気に弱い事も瞬時に判明できた。
「俺らには人だけじゃなく、かけがえのないもの達もいるんだ!」
「これが九州の真骨頂だ! いいぞ、やっちまえ!」
これで形勢逆転とばかり、クリアできるはず。
手数が増えた九州兵の方に有利な状況が生まれて形勢が変わる。
しかし、ヘビ機は学習したのか50m程離れてから一気に横へ拡散しだした。
ヌウッ シュルル
「!?」
「全員中心に寄れ! 後ろから来るぞ!」
ケンジは散開しすぎると危険と判断、メンバーを固まらせる。
予想通り、後ろから攻めて来た。
しかし、今度は近づこうとせずに距離を空けて動きを変える。
先程の掴み行為をせずに、頭部のカバーが開いて
先端の金属部からエネルギー弾を撃ち付けて攻撃してくる。
バシュッ
「きゃあっ!」
複数の光が発生して身動きをくらます、今度は蒼い球弾を放ってきた。
電気エネルギーの類か、飛び道具の一種に変形。
人が避けられるスピードではない、わずかに隙間をくぐれる
犬兵は主人を守ろうとスタンロッドをくわえて向かってゆく。
「ガウッ」
スカッ
ヘビ機は避けた。掴むと身動きが取れなくなるので、
ヒットアンドアウェイに行動を起こすようになったのだ。
他も同様、光弾を放ち出して集中砲撃。
部隊は中心に寄りつつあるので一方的にいたぶられていく。
「ディサルトは、弾はもうないのか!?」
「当たりません、先の対処で弾薬も無くなりました」
「グホッ」
着ている装備に耐電まで施されていない。
ただの的となったフォーメーションに次の手が断たれてしまう。
犬兵も数m上昇した相手までとどかずに成す術を失った。
「銃も避けやがる・・・このままじゃ」
(マサキ・・・)
盾もなく、ライオットギアも起動停止されて囲まれた状態。
明らかに人の陣形を的確に捉えた上で行われている。
オキナワは本当に私達へ謀反を起こしたのか。
ミキもマサキの助力を願う。
劣勢にもちこまれ、万事休すと念がよぎった時だ。
「かかれ!」
背後からけたたましい声が聴こえてくる。
クマモト兵とカゴシマ兵がさらに援護に来てくれた。
「バインド!」
「!?」
自分が隙をついてオルンを1体のヘビにかからせた。
犬の数が増し、素早い複数の援護でさらなる制圧力に拍車。
外側からさらなる30の味方が駆けつけて電圧を浴びせた。
「ショック!」
ビリイッ ボトン
「うおおおおお! おれも、ちょ、びろびろろばびごろおぉぉ!?」
接触していた兵もたまに巻き添え感電。
追撃して落ちていたセパレイトチェインを拾い、切断。
非常に細い神経路らしい中身から青い火花を飛び散らかす。
「上にいるのは撃ち落とせ!」
ズドォン ズパァン
大型の四つ足が速射砲を放って狙撃。
ミキも含めて囲まれていた者が次々と救出される。
残りのヘビ達はこちらが来た途端に妙な動きをして、
中心部から一斉に海へ向かって逃げ出そうとする。
「マサキ、来てくれると思ってたわ!」
「ああ、でもちょっと待ってくれ!
奴らが逃げていく・・・」
さすがに未知の機体も多勢に無勢と判定したようだ。
方角からしてオキナワ方面。
逃走経路からやっぱり向こうに元締めのような物があると思う。
ただ、他にも感じたところはある。
(いくつかオルンの方を観ていたような・・・)
理屈は相変わらず分からないが、
ヘビ機はオルンを観て逃げ出した様にも見えた。
気のせいかもしれないが、このまま野放しにさせたらまた奇襲するだろう。
とどめに1機を追いかけていく。
「ガルルル」
「オルン!?」
必死に喰いつこうとしている。
もうスタンナイフの電力がないようで、直に噛みついてゆく。
敵と分かれば、動物の抵抗も凄まじい気配を見せる。
だが、別のヘビ機がオルンの脚にエネルギー光線を放った。
バシュッ
「キャン!」
「オルゥゥン!?」
振り落とされてヘビ機は海へ逃げてしまった。
離脱された反動でオルンは地面に打ち付けられ倒れてしまう。
後ろ右足が激しく裂傷を起こしたようだ。
自分は急いで駆け寄って手当しようとする。
しかし、何かおかしいと眼に疑うあり得ない光景を目撃してしまう。
「なんだ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・これ?」
ビリッ
オルンの肉が裂けて骨が見えている。
しかし、それは骨というよりは銀色の金属棒に見えるといった方が
誰の目で見ても正確さに当てはまる。
しかも、微弱な電流が流れているのも確認。生物の様を超えた外装だ。
「大丈夫なの・・・・・・って、ええっ!?」
「オルン・・・お前」
ミキとケンジ、他モブ兵が駆け寄って見ても同じ反応。
オルンは普通の犬ではなかった。
ロボット、ライオットギア、発動機、機械。
どの語を合わせても同じ、いわゆる無機物の類の1つだったのである。
言うならば、せいぜい四つ足型を小さくした物。
今は淡泊な言葉くらいしか思い浮かばない。
それだけ、生き物から離れた光景を表しているから。
「「オルン・・・ずいぶんと平気な顔してるな」」
犬の表情など普通は分からない。
だが、尻尾を振っていつもの愛嬌のある仕草をしている。
先の戦闘のせいか、動物と機械に惑わされてつい立ち往生。
この子に痛みというものが理解できているのか、
頭の中が膨大な雲に包まれる感覚がしてきた。
ギリギリギリ
「「ぐっ、離しやがれ・・・!」」
ミヤザキ兵の足には細長い金属が巻き付いていた。
オキナワCNを警戒していた矢先、前触れもなく
突然、海からヘビの様な発動機が数体襲ってきたのである。
まったく音もなく悠々と飛ぶと同時に瞬時に巻き付き、
海に引きずり込もうとする。
「奴らは海から来る、海岸沿いには近づくな!」
「なんでイキナリ・・・?」
「もっと早く気付けなかったのか!?」
「モーションがウミヘビのそれで、判別が分からなかったんです!
ソナーでも、海洋生物としか分類されてなく」
メンバー内でも数十匹が海岸まで向かっていると指摘しても、
おかしいと発言し始めた時にはもう50mまで接近していて、
対応がこんな状況になってしまう。
とはいえ、手段は細長い金属を断てば勝てる見込みはある。
ケンジはカゴシマ既成片手剣で部下に対処させる。
「セパレイトチェインで切り落とせ!」
チ゛ュイイィィン
縛りつける物にはまるごと切り落とす。
カゴシマはチェーンソー替刃を装着したショートソードを所持。
武装を見図る性能まで備えていなさそうな相手を破壊しようと試みた。
しかし。
スルッ
「な!?」
巻き付いていたヘビは急にほどけて宙に浮いた。
かと思いきや、他の兵に向かって襲いかかっていく。
「コイツら知能があるのか・・・」
まるで生物の様な動きをしている。
刃を向けられたと判定したとしか思えない行動を取り始めて、
しかも、重力に逆らい空中を遊泳する動きで40m離れた。
自分達が所有している発動機ですら成せるモーションではない。
「くるなくるなああああああああああ!」
「周囲をよく見渡せ、避けろ!」
ビリビリビリ ボトン
細長い鋏が1人に迫ろうとした寸前、
犬がスタンナイフでヘビ機をショックさせる。
麻痺が通用したのか、それは地に落ちて蠢いていた。
ミキ率いる犬兵団が到着したのだ。
「犬兵団、只今到着しました!」
「はは、やっと来たか!」
小さくても頼もしい味方がやってきた。
犬兵ならば、細長い機体の素早い動きに十分対応できる。
10匹にも及び、常にスタンナイフを装備しているので
幸い電気に弱い事も瞬時に判明できた。
「俺らには人だけじゃなく、かけがえのないもの達もいるんだ!」
「これが九州の真骨頂だ! いいぞ、やっちまえ!」
これで形勢逆転とばかり、クリアできるはず。
手数が増えた九州兵の方に有利な状況が生まれて形勢が変わる。
しかし、ヘビ機は学習したのか50m程離れてから一気に横へ拡散しだした。
ヌウッ シュルル
「!?」
「全員中心に寄れ! 後ろから来るぞ!」
ケンジは散開しすぎると危険と判断、メンバーを固まらせる。
予想通り、後ろから攻めて来た。
しかし、今度は近づこうとせずに距離を空けて動きを変える。
先程の掴み行為をせずに、頭部のカバーが開いて
先端の金属部からエネルギー弾を撃ち付けて攻撃してくる。
バシュッ
「きゃあっ!」
複数の光が発生して身動きをくらます、今度は蒼い球弾を放ってきた。
電気エネルギーの類か、飛び道具の一種に変形。
人が避けられるスピードではない、わずかに隙間をくぐれる
犬兵は主人を守ろうとスタンロッドをくわえて向かってゆく。
「ガウッ」
スカッ
ヘビ機は避けた。掴むと身動きが取れなくなるので、
ヒットアンドアウェイに行動を起こすようになったのだ。
他も同様、光弾を放ち出して集中砲撃。
部隊は中心に寄りつつあるので一方的にいたぶられていく。
「ディサルトは、弾はもうないのか!?」
「当たりません、先の対処で弾薬も無くなりました」
「グホッ」
着ている装備に耐電まで施されていない。
ただの的となったフォーメーションに次の手が断たれてしまう。
犬兵も数m上昇した相手までとどかずに成す術を失った。
「銃も避けやがる・・・このままじゃ」
(マサキ・・・)
盾もなく、ライオットギアも起動停止されて囲まれた状態。
明らかに人の陣形を的確に捉えた上で行われている。
オキナワは本当に私達へ謀反を起こしたのか。
ミキもマサキの助力を願う。
劣勢にもちこまれ、万事休すと念がよぎった時だ。
「かかれ!」
背後からけたたましい声が聴こえてくる。
クマモト兵とカゴシマ兵がさらに援護に来てくれた。
「バインド!」
「!?」
自分が隙をついてオルンを1体のヘビにかからせた。
犬の数が増し、素早い複数の援護でさらなる制圧力に拍車。
外側からさらなる30の味方が駆けつけて電圧を浴びせた。
「ショック!」
ビリイッ ボトン
「うおおおおお! おれも、ちょ、びろびろろばびごろおぉぉ!?」
接触していた兵もたまに巻き添え感電。
追撃して落ちていたセパレイトチェインを拾い、切断。
非常に細い神経路らしい中身から青い火花を飛び散らかす。
「上にいるのは撃ち落とせ!」
ズドォン ズパァン
大型の四つ足が速射砲を放って狙撃。
ミキも含めて囲まれていた者が次々と救出される。
残りのヘビ達はこちらが来た途端に妙な動きをして、
中心部から一斉に海へ向かって逃げ出そうとする。
「マサキ、来てくれると思ってたわ!」
「ああ、でもちょっと待ってくれ!
奴らが逃げていく・・・」
さすがに未知の機体も多勢に無勢と判定したようだ。
方角からしてオキナワ方面。
逃走経路からやっぱり向こうに元締めのような物があると思う。
ただ、他にも感じたところはある。
(いくつかオルンの方を観ていたような・・・)
理屈は相変わらず分からないが、
ヘビ機はオルンを観て逃げ出した様にも見えた。
気のせいかもしれないが、このまま野放しにさせたらまた奇襲するだろう。
とどめに1機を追いかけていく。
「ガルルル」
「オルン!?」
必死に喰いつこうとしている。
もうスタンナイフの電力がないようで、直に噛みついてゆく。
敵と分かれば、動物の抵抗も凄まじい気配を見せる。
だが、別のヘビ機がオルンの脚にエネルギー光線を放った。
バシュッ
「キャン!」
「オルゥゥン!?」
振り落とされてヘビ機は海へ逃げてしまった。
離脱された反動でオルンは地面に打ち付けられ倒れてしまう。
後ろ右足が激しく裂傷を起こしたようだ。
自分は急いで駆け寄って手当しようとする。
しかし、何かおかしいと眼に疑うあり得ない光景を目撃してしまう。
「なんだ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・これ?」
ビリッ
オルンの肉が裂けて骨が見えている。
しかし、それは骨というよりは銀色の金属棒に見えるといった方が
誰の目で見ても正確さに当てはまる。
しかも、微弱な電流が流れているのも確認。生物の様を超えた外装だ。
「大丈夫なの・・・・・・って、ええっ!?」
「オルン・・・お前」
ミキとケンジ、他モブ兵が駆け寄って見ても同じ反応。
オルンは普通の犬ではなかった。
ロボット、ライオットギア、発動機、機械。
どの語を合わせても同じ、いわゆる無機物の類の1つだったのである。
言うならば、せいぜい四つ足型を小さくした物。
今は淡泊な言葉くらいしか思い浮かばない。
それだけ、生き物から離れた光景を表しているから。
「「オルン・・・ずいぶんと平気な顔してるな」」
犬の表情など普通は分からない。
だが、尻尾を振っていつもの愛嬌のある仕草をしている。
先の戦闘のせいか、動物と機械に惑わされてつい立ち往生。
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