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「高校の文化祭でしただけだよ」
「えー!見たかった!絶対カッコいいじゃん!ちょっとした芸能人よりキラキラだもん!」
 それは言えてる。
「フッフッフ…ここに私のスマホがあります」
 得意げな顔をした灯里が片手に持ったスマホを掲げた。
「何を捧げたらよろしいでしょうか?」
 ははーっと女子達が首部を垂れる。ノリが良すぎでは?
「苦しゅうないぞ。そうじゃなあ……では、倫音の身の安全の確保かのう」
「お任せください」
「全身全霊でお守りします」
「男子は一人たりとも近付かせません」
 私のガーディアンが増えた。現地調達された。
「では、見せて進ぜよう」
 灯里のスマホに張り付いた女子達から、黄色い悲鳴が上がった。

 なんか集合時間が思ったより早いなと思ったら、先にバーベキューをするらしい。だから参加費があったんだな…大学生っぽいことである。
 できるだけ面倒を避けたいから、サークルに所属しなかったし(勧誘はめちゃくちゃされた)、自分の為に講義をたくさん受けて勉強している為、真面目で勤勉な学生だと自負している。すなわち、世の中で言う大学生っぽいことは、これが初めてだ。
 今の私は、女子達に守られながら快適に過ごしている。灯里の作戦勝ちのようだ。
「肉が美味しい…焼くの上手だね」
「バーベキュー番長だから!手を出すと怒られるよ!」
 どうやら、斎藤はバーベキュー番長らしい。
 灯里の紹介で関わるようになったけれど、プライベートで会うことはなかったから、新しい発見だ。
 灯里は四六時中、私と一緒にいるくせに交友関係が広い。
「先輩がいないけど、このサークルは新設なの?」
「そうみたい!光流くんの友達が作ったんだって」
「へー」
 聞いた割に興味は薄い。
 今日の参加人数は十二、三人だ。サークル所属メンバーはもう少し多いのかもしれない。
「ここは、天体観測をしながらバーベキューやキャンプをしようっていうのが目的だからね」
 ニコニコ笑って星野がやってきた。
「光流、伴さんには1メートル距離を開けて」
 すかさず女子が間に入る。
「えっ、なにそれ!普段より遠いけど」
「今日の私達は、伴さんを守る騎士だから」
「ごめんね、光流!お前のチャンスは、私達が握り潰させてもらう」
 あ、星野の好意はサークル内認知されてるんだ。いやまあ、そりゃそうか。サークル所属してない女を誘うくらいだし。
「折角、倫音ちゃんが心を開いて来てくれたのに?!」
「特段、開いてはいないが」
 私の言葉に、ガクリと肩を落とした。

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