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最終章
12-1ついにやってきた日
しおりを挟むお父さんがガッチガチに固まってる。
「雅彦くん、お茶飲む?」
お母さんがグラスに入った烏龍茶を渡すと、お父さんは一気に飲み干した。
「いい飲みっぷり!」
「お母さんてば、お酒じゃないんだから。」
「いっそ、お酒の方がいいんじゃない?」
「お父さん弱いんだからダメだよー!」
話題の本人は、ぐっと押し黙ったままグラスを握っている。
「綾菜がお嫁に行くのが、寂しいのよ。」
お母さんがにっこり笑った。
私は今日、お嫁に行く。
籍はみーちゃんの希望で、昨日の夜に入れてきた。プロポーズをされた日と同じ、2人の真ん中バースデー。なんだかんだ、みーちゃんてロマンチストだよね。
結婚式はまだ挙げなくても良いかなって思ってたんだけど、母ズが。
「子どもが生まれたらなかなか挙げられないし、どうせ2人はすぐ子どもが出来るから今のうちに挙げときなさい。」
って予言めいたことを言われたので、小さな教会で親しい人たちだけ呼んで、式を挙げることにした。
純白のウェディングドレスはマーメイドライン。ティアラじゃなくて生花のかすみ草を付けて、花かんむりのようにしている。
ドキドキ、お父さんの緊張が移ったみたい。
お母さんは先に部屋を出て、みーちゃんパパママと教会に向かった。
「お父さん…緊張する。」
お父さんもコクコクと頷いている。
私達は、そろって緊張しいなのだ。
「こういう時、お母さんがいると喝入れてくれるんだけどね。」
「…お母さんはなぁ、自分の時も元気いっぱいで楽しんでたよ。」
「さすがお母さん。お父さんはやっぱり緊張してた?」
「うん…頭が真っ白になったのを覚えてるなぁ。」
ぽりぽりと顔をかいて、少し笑った。
「吉崎様、お時間です。」
担当の方が呼びに来て、教会の入り口にお父さんとスタンバイする。
もう中には、参列者のみんなと、みーちゃんが待っているんだ。
「お父さん、お願いします。」
「はい。」
お父さんと腕を組んで、2人で深呼吸をする。
うん、全然緊張はほどけない。
「お父さん、右足からだよね?」
「そ、そうだな。一歩ずつだよな。」
「うん、そのはず。」
お嫁に行く感慨に耽る余裕もなく、2人であわあわしていると、目の前の扉が開いた。
パイプオルガンが結婚式っぽい曲を奏でている。
そして、赤い絨毯のその先に…白いタキシードを着て、オールバックにきめたみーちゃんが待っていた。
かっこいい…みーちゃん…とてつもなくかっこいい。
今まさにこの世で一番の名を欲しいままにしている。
「綾菜」
お父さんが小声で呼びかけてくれなかったら、いつまでもみーちゃんを見つめているところだった。
2人で息を揃えて歩き出す。
一歩ずつ、みーちゃんに近づいて行く。
大好きな、みーちゃん。
かっこよくて、キラキラしていて、誰より私を大切にしてくれる、みーちゃん。
私は今日、あなたのお嫁さんになります。
お父さんの腕から離れ、みーちゃんの腕を取る。
「あーにゃ、綺麗だよ。」
「みーちゃんもかっこいいよ。」
お互いの顔を見合い、微笑む。
祭壇の前に立ち、私達は永遠の愛を誓った。
フラワーシャワーを受けながら、参列してくれたみんなを見る。
「綾菜、おめでとう!」
「おめでとうー!あやにゃん!」
「ありがとう!」
とっても可愛くオシャレをしてきてくれた、楓ちゃんとめーあちゃん。
「2人とも、おめでとう!」
「おめでとうー!幸せになってねー!」
その隣には、仁くんと、もちろん女装姿で来てくれた伊知地さんもいる。
「綾、瑞樹、おめでとうー!良かったねー!」
「綾先輩、最高に可愛いです!」
「2人とも来てくれてありがとう!」
幼馴染のひかちゃんと、後輩のさくちゃん。ひかちゃんは今、海外に留学しているんだけど、わざわざこのために帰って来てくれた。
みんなで集まって、記念写真を撮る。
今日は本当に、幸せいっぱい。
写真を見るたびに、きっと私はそれを思い出す。
そして、隣に立つみーちゃん。
私の腰を抱いて離さない。
分かってる、分かってるの。これは、そういう場面での立ち姿なんだって。
でもね、みーちゃんの手が腰をさわさわと触れてくるから、私は式中だっていうのにゾクゾクしてしまった。パックリ開いている背中にも、手を這わせて撫でてくるから気持ちよくなってしまう。
恥ずかしい!
こんな体に誰がした!
みーちゃんです!
どうしよう、子宮がきゅんきゅんしてる。こんな淫乱花嫁やだー!
披露宴はないけれど、この後は小さなレストランを借り切って、お食事会がある。
それまでに、どうにかちゃんとした花嫁に整えておきたい。
という、私の願望は虚しいこととなる。
控え室に戻って、食事会用のカジュアルなドレスに着替える。
参列者たちは両親も含めて休憩と移動中。
食事会は挙式の2時間後。
控え室には私が1人だけど、移動と準備に余裕を持って時間を取ってあるから、慌てなくても大丈夫。
コンコン、と扉をノックされた。
ちょうどカジュアルなドレスを着終わったところだったので、入室を許可する。
多分じゃなくても、みーちゃんだろう。
「どうぞー!」
ガチャっと開けて入って来たのは、既に着替え終わって荷物の準備も終わった状態の、カジュアルスーツなみーちゃんだった。
「みーちゃん、かっこいいー!」
「あーにゃの見立てだからね。」
テンションが高いからか、かっこつけてポージングしてくれた。
「きゃー!素敵ー!」
「どうも。あーにゃ、準備終わる?」
「うん、後は荷物をまとめるだけ。結構、時間に余裕があったね。後、1時間以上あるよ。」
「そうだね。スタッフさんに声かけて来たら、ギリギリまでゆっくりしていって良いって。」
「ありがとう!ゆっくり座りたかったんだぁ。」
はふーっと息をして、ソファに座る。ついでにヒールも脱いじゃう。
「普段こんなに高いヒール履かないから、足がパンパンになっちゃった。」
「あ、マッサージしてあげるよ。ふくらはぎとか、やばいでしょ。」
「わーい!嬉しい!」
私の投げ出した足を、みーちゃんが自分の足の上に乗せて、ゆっくり優しい力で揉みほぐしてくれる。
「はわぁ…気持ちいい。みーちゃん上手だねぇ。」
張っていた足が、じんわりと血行が良くなり、暖かくなってきた。
「あーにゃの花嫁姿、すごく可愛かった。」
みーちゃんがにこにこして言ってくれるから、すごく嬉しい。
「ありがとう。みーちゃんも最高にかっこよくて鼻血出そうだった。」
「鮮血の花嫁、字面がかっこいいな。」
「やだー、不吉だよー!」
ふくらはぎの次は膝周り。関節の横のところもぐりぐりされる。
「ぴゃっ!痛い!」
「太ももが張ってる。」
膝の上と横を少し力を入れて指圧する。
「はぁ…気持ちいい…」
ぎゅっぎゅっと押されているのだけれど、たまにするりと肌を這うように触れられて、ドキリとする。
段々、みーちゃんの手が上に登ってきた。
「みーちゃん、そこまでしなくても大丈夫だよ?」
みーちゃんがいい笑顔のまま、ドレスの中の内腿に手を滑らせる。
「ん?でも、凝ってるよ?」
「あっ…凝ってないよお…ひゃん!」
ストッキングの上から、ギリギリの場所を指で押される。
「んっ…みーちゃん…」
「その目、えっろ。俺、式中に何度も押し倒したくなってさぁ。めちゃくちゃ我慢したんだよね。」
やっぱり、あの触り方はそうだったかぁ。
ぐにぐにとクリトリスを押されて、思わず声が出てしまう。
「ああん…こんなところでダメだよお。」
「大丈夫だよ、ごゆっくりどうぞって言われてるからね。」
いたずらっぽくウィンクしてくる。これは、みーちゃん…手を回しているな。
生地の上から撫でるように刺激されて、気持ちいいけど物足りない。そう思った時点で流されてる。
「んっ…みーちゃあん…。」
「なに?あーにゃ。」
熱を持った呼び掛けに対して、爽やかそうに笑っているけれど、目は情欲にまみれて爛々としている。
くいっくいっと曲げた指でクリトリスを押し上げるように触られた。
「あああっ、みーちゃん!」
「なに?言わなきゃ分かんないよ。」
「うう……ちゃんと触って欲しいの。」
三白眼が、ギョロリと動いた。
その白眼の動きが好き…。どこを見てるか一目で分かる。
私の足の付け根と顔を交互に見て、笑った。
ドレスの中に手を突っ込んで、ストッキングと下着を下ろす。
「いつ誰が来るか分かんないのに、あーにゃはえっちだねえ。」
愛液がとろりと垂れた。
それをみーちゃんが指ですくって、クリトリスに塗りつける。
「ああんっ!みーちゃんのせいでしょ。」
くちゅ、くちゅ、撫でる度に体液が流れ落ち、内股を濡らす。
「うん、そう。あーにゃがえっちなのは、俺が何年もかけてあーにゃのことを愛したから。その結果が今日なんだから、最高だね。」
つぷりと指が入ってくる。
「あっ…みーちゃん…ああんっ!」
気持ちいい場所は全部知られている。
みーちゃんの指が的確に突いて、あっという間に体が快感を溜め込む。
「あーにゃ…一生そばにいて。おばあちゃんになっても、こうして毎日愛することを誓うよ。」
「あっ…あっ…みーちゃん、私も…愛してる…」
一番弱いところを掻き出されて、体が跳ねる。
「やあああっ!」
「いっていいよ。」
体の中で指が動き回る。入り口の辺りがきゅっきゅっと締まって、足が震えた。
「みーちゃ、でちゃううっ、ドレス濡れちゃああっ!」
みーちゃんが指を抜き、スカートをめくって、私の体をくるりと回転させた。後ろから抱きしめるようにして、また激しい快感を与えてくる。
「ほら、好きなだけ出していいよ。」
耳元で囁かれて、気が狂いそう。
「んんんやああっ!でちゃうっ…やっやっ…!」
ボタボタボタッと液体が床に当たった音がした。
膣がきゅうきゅうと指を食い締めて、快感が全身に広がる。
「いっく…あああっ!」
がくりと力が抜けて、みーちゃんの胸に倒れこんだ。
こめかみに優しくキスをされて、ティッシュで体を拭かれる。
「はぁ…あーにゃがいく姿って、何回見ても感動する、可愛い。」
「みーちゃん…!これから食事会なのに…!」
「うんうん。だから、触るだけで我慢してるんでしょ。」
背中にぐいぐいとみーちゃんの硬いものを押し付けられる。
「帰ったら、たっくさんしようね、あーにゃ。もう俺のものだから…」
耳にキスをして、ぐっと低い声で囁やく。
「いっぱい中に出すね。」
首筋がゾクゾクした。
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