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終章・二人のこれから

95・ひと段落

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「アユリ様、こちらを確認していただけますか。」
「そちらが終わりましたら、こちらもお願いいたします。」
「はい!今ー!」
さすが、シャーリーのメイドさん達。恐ろしいほど素早くプロの技を発揮してくれたおかげで、湖に置くイスやテーブルの塗装、飾り付けといった、1人では終わる気のしなかった作業が見る見るうちに終わった。
あとは、細々したものが残っているくらいで、1人でなんとか出来そうだ。
「えーん!ありがとうございますー!これで無事に式を挙げられそう!!」
「アユリ様のお役に立てて良かったですわ。」
「私共も嬉しいですわ。」
きゃらきゃらと喜んでくれるメイドさん達がとても可愛くて、こんなに素敵な女の子、そりゃあ平等に愛したくもなるもんだ…分かるわ。
でもきっと、それはシャーリーじゃなきゃ無理だと思うけど。
「もちろん、みんな式に呼ぶから、来てね!あー、でも全員休めないか…仕事あるよね。」
「それは、ゲームで決着をつけますわ!」
「私達、びーちばれーがとても上手くなりましたの!」
ふんすふんす、と鼻息荒いメイドさん達を見て、湖の行為を思い出した。
もしかして、お屋敷でもやってるのかな。シャーリーのせいで、ビーチバレーが流行ったりしてね…
「うん、じゃあ、来れる人は来てね!」
「ハイですわ!」
「頑張りますわ!」
向こうの方から、メイド長が声をかける。
「アユリ様、そろそろお夕食のお時間になりますが、ご用意してしまってよろしいですか。」
「わあっ、ありがとうございますー!ソーヴィ呼んでくるー!」
えーん、手が回らない私達の食事まで用意してくれるなんて、本当にありがたい。
母屋から出て仕事場へ行くと、ソーヴィがちょうど薬草を片付け終わったところだった。
「ソーヴィ!メイド長がご飯だって!」
ふっと上げた顔が、甘くとろけていてときめいた。
「アユリ、どう?状況は?」
立ち上がって私を抱きしめる。ソーヴィの香りがして落ち着く。
「みんなが手伝ってくれたおかげで、すっごく進んだー!あ、そうだ。みんなにお礼したいんだけど、何が良いかな?」
「んー…あ、さっき出来上がったばっかりの薬とかどうかな。多分、シャロンが喜ぶ。」
「どんなやつ?!」
聞いておいてなんだけど、いかがわしい気がする。
「媚薬っていうか、塗るとくすぐったくなるというか、痒いのが気持ちいいみたいな、クリーム。」
おっと、やはりいかがわしい奴だったわ。
「ソーヴィって何でも作るんだね。」
「お客様のご要望にお応えするのが、仕事だからね。ついでに、シャロンには被験者になってもらおう。」
「一国の王を…薬剤被験者に…」
「喜んで使うと思うよ。」
うん、目に浮かぶ。
「…じゃあ、それ渡す?」
ソーヴィが体を離して笑った。
「今、包んでくるから、先に母屋に戻ってて。」
「分かった。」
クスクス笑って奥に行くソーヴィを見送り、仕事場を出た。
夕日が落ちかけ空が紫色に滲み、湖がそれを反射してキラキラと幻想的に輝いている。
あそこで、来週、私達は式を挙げるんだ。
ドキドキ、ソワソワ、ワクワク。
ソーヴィのお父さんは、来てくれるかな。
楽しんでくれるといいな。
しばらく景色を眺めてから、母屋に戻った。

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