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番外編

二人のお揃い

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 お揃いは人目に見えないところで、と決めている。
 例えば、ポーチ、リップクリーム、洗剤。あとは、パジャマやルームフレグランス、絶対に人目に晒さないもの。

 今日は、個室レストランのデート。
 いつもの場所じゃなくて、なんだか良さげなところを紹介してもらったらしい。
 とびっきりのオシャレをして来てねって言われたから、美容室で髪型を変えてもらって、新しい服を買っちゃった。
 ドキドキしてる。それは、自分が楽しみなのもあるけど、きっと目一杯オシャレをしてくるだろう、きいくんに会えるから。
 絶対、絶対、絶対にカッコいいんだろうな。どんな服なんだろう。
 きいくんて、基本的にこっちの期待を斜め上に裏切ってくるんだよ!!ううっ、どうしよう…会った瞬間に嘔吐しないように気をつけなくちゃ…!
 最近、ちょっと髪の毛伸ばしてるなって思ったらパーマかけてて、ふわふわマッシュボブになったから、頭の上に天使の輪が見えるよう。しんどい…自担しんどい…なんであんなに可愛いの…どうして…死にそう…
「はぁ…写真買いに行かなきゃ…」
 最近、撮影オフショットの新しいフォトコーナーが出来たから、買いに行きたいんだけど開店時間内に間に合わない。
 早く写真をお迎えして、伴喜一の名前が続く長いレシートを見たいのだ。
 好き…ずっとしゅき…
 脳内のばんばんにウットリしていると、ノックの後にドアが開いた。
「ごめん、遅くなった。」
「全然、大丈夫だよ!」
我が神は 、まことの美しさとたおやかさをたたえ、民のまなこを焼くが如く、燦然と光り輝くのであった。
「合掌…」
 眩しくて見えない。
「えっ?えっ?大袈裟じゃない?」
「やはり、ここが涅槃であった。私は悟りを開いたのだ。」
「なかちゃんまたモードに入ってる。」
 スウッと魂が天に昇ったのを感じてから、改めて目を開くと、クスクスと笑っている、破茶滅茶にかっこいいきいくんがいた。
「…好き。」
「ありがとう。」
「めっちゃ似合ってる!」
 こげ茶の千鳥格子のロングジャケットのセットアップに、胸元を横一線にアーガイル模様の入ったクリーム色のシャツ、そしてネクタイではなくリボンをしているのが可愛らしい。足元は年季の入った革靴で、きっと古着だろう。
「はあ…可愛いですう…そしてかっこいい…うう…かわいいかわいいかわいい…」
「なかちゃんがバグった!」
 ケラケラと笑いながら、一回転してポーズを決めてくれた。
「ぴえん!かっこよすぎい!」
「なかちゃんも、よく見せて。」
 椅子に座って伏していたのを、手を引いてゆっくりと立たされる。
 上から下、そして下から上までじっくりと眺められてニッコリ嬉しそうにした。
「かわいい。これが、なかちゃんのとびっきりのオシャレなんだね。」
  こっくりとした赤のシャツに、ジャケットは同系色の赤が入ったレトロスカーフ柄、薄いグレーのハイウエストな幅広のパンツを履いている。靴は5センチヒールの赤いスクエアトゥ。
「似合ってる。髪型も変えたね。」
「うん…ショートに戻してみた。」
 肩につくくらいまで伸びていたのを、耳が見えるタイプのショートにしてもらった。
「かわいいよ、すごく。」
 少し低い声でささやくように褒められて、耳が妊娠するかと思った。
「あっ、ちょっともう無理です。立ってられない。」
「本当、なかちゃんて楽しい。」
 笑いながらエスコートされて、着席する。
「ううっ、紳士…」
「お姫様、お腹は空いてらっしゃいますか。」
「今のでいっぱいになりました、胸が。」
「あはは!」
 楽しそうに笑って向かいに座るきいくんは、もうこれ以上ないくらい幸せのかたまりだ。

 楽しい夕食を過ごし、いつも通りにきいくんのマンションへ行く。私はタクシーに乗り、きいくんは電車で帰る。
 バラバラなのも、きいくんを守ってるって感じがして楽しい。
 先に着いて、部屋の電気を点ける。
 二、三日振りの部屋は、たいして変わってなかった。いつも通り、きいくんの香りをいっぱいに吸い込んでウットリする。
 これをきいくんの前ですると、俺がいるんだから俺を嗅げばいいじゃんって言うんだけど、そういうことじゃないのだ。空気中の伴喜一成分を体に取り込みたいのだ。
 充分気が済んだので、お茶でも沸かしておこうと、ケトルに水をいれて、ついでにお風呂もスイッチを入れておいた。
「よしよし、よろしいんじゃないかしら!」
 きいくんをもてなす準備は万端だ!
 すると、玄関の鍵が開いて、愛しの我が君が帰宅した。
「ただいまー。」
「おかえり、思ったより早かったね。」
「途中でタクシー捕まえちゃった。」
 ちょっと酔っ払って可愛くなってるきいくんが、ふにゃふにゃと私に抱きついてくる。
「ふふふ、なかちゃんの匂い。」
「どんな匂い?」
「んー、ねこちゃん」
 可愛いネコちゃんは君だろう、と思ったけど口には出さない。
 匂いは全く分からないけど、きいくんが可愛いのでオッケーです。
 ケトルのお湯が沸いたので、ティーパックをマグカップに入れてお湯を注ぐ。その間も、きいくんは私にべったりだ。
 最近、またグッと忙しくなったから、疲れてるのかな。
 お休みなんてほぼなくて、今日みたいなデートは久しぶりだ。
「きいくん、お茶持ってくよ。」
「あーい。」
 自分と私の分をスッと持ち、テーブルに置く。
「ありがとう。」
「こちらこそ、お茶ありがとう。」
 にっこり笑って座ったきいくんが、両手でポンポンと太ももを叩く。
「なかちゃん、ここね。」
 まじ、しんど。なにこれ、殺す気?可愛さで!そういう新手の詐欺だったらすぐ引っかかりますわ。
「はい。」
 常にかわいさ更新中のきいくんにクラクラしながら、そっときいくんの前に座ると、広げた長い足で囲われて背中にぐっとGがかかった。
「なかちゃん、可愛い。好き。」
 吐息混じりの声が耳元でふわりと囁く。
「うう、今日が命日だ…」
「だーめ、そしたら冥界まで行って連れ帰る。」
 イザナギとイザナミじゃん。きいくんの最新のお仕事、舞台の題材だ。
 少しだけ体を離して、きいくんがお茶を飲む。
「んふふ、落ち着く。久しぶりに外で会ったね。」
「うん、毎日遅くまでお仕事お疲れ様。明日も早いでしょ?」
「稽古だけだから、午前中はゆっくりできるよ。」
 ぎゅーっと抱きしめられて、胸がキュンとする。
「なかちゃんのコーディネート、めっちゃ可愛いなあ。パンツスタイルって珍しいね。」
「とびっきりって言われたから、今まで着たことない服にしようかと思ったの。」
「うん、ドキドキしちゃった。」
 吐息が首筋にあたって、くすぐったい。
「私の方が、きいくんのかっこよさに死ぬほどドキドキしましたぞい。」
「本当?嬉しいなあ。」
 すりすりと頬擦りされたかと思うと、うなじに顔が埋まる。
「もっと、ドキドキしてみない?」
 チュッと音を立ててキスをされた。
「…死んじゃう。」
「ある意味ね!」
 顔を後ろへ向けると、目を細めたきいくんに唇を奪われた。

 ボタンをプチプチと外されていく。
「お揃いだね。」
  シャツの隙間から覗き始めた下着のラインを、きいくんの熱い指先がなぞった。
「…だって、とびっきりのオシャレって言ったから。」
「ふふ、俺も。見る?」
 欲望が溢れて首を強く縦に振ると、クスリと笑ってシャツをゆっくりと抜き出し、ベルトを外したらジッパーを焦らすように下ろしていく。
 ごくり、と喉が鳴った。
 ズボンを腰骨までずり下ろすと、自分と同じ柄のボクサーパンツが見える。
 既に局部は盛り上がっており、自分の体を巡る血潮の音が聞こえるほど、興奮した。
「ほら、おそろいだね。」
「きいくんんん、死んじゃう。かっこよすぎて死んじゃう!」
「だーめ、生きてないとこの先が出来ないよ。」
「強く生きるっ!!!!」
 もう、耐えられないくらい、ドキドキしてる。
「きいくん、ねえお願い。」
「なに?」
 おそろいのボクサーパンツの上から、大きくなった可愛いきいくんをそっと撫でると、ビクッと震えた。
「可愛い子、ちゅっちゅしたいの。」
 今すぐ、このおそろいのボクサーパンツから、可愛い子だけをボロンと取り出して、めちゃめちゃ可愛がりたい!!!!
「えー、どうしようかなあ。」
「おねがいー!きいくんのおっきくて硬いやつ、私の中だと猛々しいのに、私に攻められるとキュンキュンしてトコロテンしちゃう可愛い子を、ちゅぱちゅぱしたいのー!」
「ちょっと、なにそれ!どこでそんな言い方覚えてきたの!」
 大きな目を見開いてから、肩を揺すられる。
「大きいお友達が喜ぶ薄い本!」
「………俺の?」
「違います!ナマモノは本人に言うのも見せるのも存在を気付かせるのも、ダメ絶対!私が見たのは、男の人向けのオリジナルえっち同人誌だよ。」
 半眼になったきいくんが、口を尖らせる。
「なかちゃん、それ見て一人えっちするの?」
「えっ、拗ねてる?きいくん拗ねてる?」
「だって、最近…遠征多くて一緒にいられないし、えっちするのも久しぶりだから。」
 たまに、可愛い女の子のようなことを言う。
「一人えっちは…どうしても寂しい時だけ、きいくんのこと思い出して…するよ…」
 彼氏であり自担にこんなこと言うの、はちゃめちゃに恥ずかしいんですけど!!!!!!
 しかし、きいくんはとても満足そうな満面の笑みである。
「ならいいんだー!ん?なら何でえっちな本見たの?」
「きいくんを悦ばせる新たなネタはないかと、研究してました!」
「…それがさっきのやつ?」
「そうでぃーす!」
 大きな声でケタケタと笑い出す。
「ほんっと、なかちゃんて斜め上。おかしすぎて、ちょっと萎えちゃった。」
「えー!やだあ!じゃあ私がおっきくする!」
 前の取り出し口から、少し柔らかなそれを取り出して口に含む。
「…んっ。」
 舌と唇で刺激しながら、むにゅむにゅと食めば、やがて口内で強度を増していった。
「んはっ…かわいこちゃん…おおきくなりましたねえ…んちゅっ!」
 手のひらで少し睾丸を弄び、裏筋をたくさん舐めていく。
「はっ…それやばい…なかちゃ…」
「もっと気持ちよくするからねえ、かわいこちゃん。」
 音を立ててジュプジュプと吸いながら動かせば、ドクンドクンと脈打って熱くなっていく。
「あんまりすると、出ちゃうから…」
「らひていいお。」
「なかちゃんの…中で…出したい…」
 やだー!可愛い!なにそれ!!最高に可愛い!悦楽で歪むご尊顔も最高にえっち!抱きたい抱かれたい男ナンバーワン(自社調べ)!
 可愛い可愛い可愛い、気が狂いそうなほど可愛い!たまらん!
 ぐちゅぐちゅと舐め回しているだけなのに、おそろいのショーツが濡れていくのが分かった。
「もう、いれう?」
「…なかちゃんの、触ってないよ。」
 舐めたまま首を振る。
 もう、疼いて疼いて、触られなくても絶対に入ってしまう。まるっと飲み込んでしまう自信がある。
 ゆっくりと口を離して、ハイウエストパンツを脱ぎ、下着姿になった。
 ショーツを少しだけずらして、自分の秘部を露わにする。
「きいくんの、欲しいの。大丈夫だから、入れて…」
 大きなため息をついてから、きいくんが私を抱きしめた。
「殺されるのは俺の方だよお…。もう、このまま入れちゃうからね。」
 ずらしたショーツの隙間から、熱くて気持ちいいそれがゆっくりと埋没された。
「はう…ずっと、きいくんの欲しかったあ。」
「俺も…なかちゃんの中、触ってないのに、にゅるにゅるだね。」
  あまりにも嬉しそうに言うから、胸がキュンとした。
「きいくんの、えっちなジュース飲んだからかなあ。」
 先走りはしょっぱくてぬるぬるしてる。きいくんのだと思うと、たまらなく美味しい。
「なかちゃんのえっちー!そんな子はこうだぞ、えいっ!」
「ああんっ!」
 奥をぐりぐりと刺激される。じわじわビリビリと快感が広がった。思わず肩にしがみつく。
「んふう…きいくんの…あつい…」
 しがみついた体も熱い。
 背中と腰を支えられて、中をゆっくりぬちぬちと擦られ、声が止まらない。
「見て、なかちゃん。俺のとなかちゃんの…おそろいのパンツでくっつき合ってるよ。」
 お互いの体液で染みが広がり、色が濃く変わっている。
「うう…ドキドキする…あんっ…」
「俺も…すっごく…興奮してる。」
 ショーツの隙間から抜き差しされる、きいくんの赤黒いそれが、二人の混ざり合った体液でぬらぬらと光っている。
「ふううっ…はあっ…うんっ…きもちっ…い…」
「なかちゃん、あんまり締めると…出ちゃう…」
「やだあ、ああっ…まだだめ…」
 久しぶりのえっちだから、まだ繋がっていたい。もっと奥まで欲しい。
 首に腕を回して胸を押し付けるようにくっつくと、背中にあった手がプチリとホックを外した。
「なかちゃんの可愛いおっぱい、もっとくっつけて欲しいな…」
 気持ちよくていっぱいいっぱいなのに、そんな可愛いこと言われたら気が狂いそう。
 肩紐から腕を抜き、素肌になった胸をきいくんの胸板に当てて揺する。
「きいくんの…ちっちゃい乳首も、ツンてしてるね。」
「なかちゃんのも、ね。んー…すっごく可愛い。もっとして。俺も、もっとするから。」
「あああっん!」
 一番奥をめがけて、ずんずんと突き始める。快感で呼吸が速くなり、立っているのがやっと。動きに合わせて腰を振ると、甘く苦しくとけるような愉悦に、背中が震えた。
「きいくっ…いっちゃう…ああっ!」
「うん、いっちゃえ…奥、ゴリゴリするよ。」
 最奥まで到達すると、弱いところを何度も擦られ、下腹部がビクビクっと痙攣した。
「やっ、やあっ…いっく…いっちゃう…んんんっ!」
 強く膣が締まり、そこから一気に引き抜かれて、熱い体液がボタボタと床に漏れ出た。
「俺も、いくよ…」
 抜いたそれを奥まで一気に突き上げて、熱い体液が流れ込んできた。
「あっ…はあっ…ん…」
 快感で、目がチカチカする。
 ずるりと抜かれたあと、元の位置に戻ったショーツへ二人の体液が流れ落ちて溜まる。
「すごい…ドロドロだね。」
 きいくんの手が、ショーツの上から体液ごと下腹部を揉みしだいた。
「んんっ、やっ、今ダメ…いったばっかりだから…あんっ!」
「あー、すげー可愛い。やば…ここぬるぬるでモチモチして気持ちいい…」
 グチュグチュと音を立てて触られるそこは、いくらでも快感を得ようと無意識に擦りつけていた。
「まだ、時間あるから、たくさんしようね…」
「…うん、きいくん大好き。」
「俺も、なかちゃん大好き。」
 強く抱きしめて、深い口づけを交わした。





 
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