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ドラゴンの肉編
12.雨のち晴れ
しおりを挟む娘が作ってくれた『てるてる坊主』
せっかくですので、どこかに飾ってもらえないかお願いしてみます。
「すみません、これをどこかの軒下にでも飾っていただけませんか?」
そう言って私は男の人にてるてる坊主を渡します。
「なんだいこの変わった人形は。……まぁ、俺の家でいいならすぐに飾れるが。」
そう言って男の人は、丁寧にてるてる坊主を飾ります。
飾られたてるてる坊主は風に揺られ、楽しそうに舞っております。
さぁ、とりあえずどこかで明日まで待ってみますか。
それに少し暑いので喉も乾いてきました。
………ん、暑い?
空を見上げると、雲の切れ間から強い日差しが射し込んできました。
「おいおい嘘だろ?晴れてきやがった。」
男の人はとても驚いています。
「あんた魔法使いなのかい?」
「い、いえ!たまたまですよ。」
そんな簡単に天気は操ることはできません。
きっと、偶然『てるてる坊主』を飾ったタイミングで晴れただけでしょう。
そう言っている間にも、雲はどんどん晴れていきます。
町の人も何事かと外に出てきます。
「後は魔女さえどうにかすれば、『ナダの町』はいつも通りだな。」
「…………ナダの町?」
「ここの町の名前さ。普段は港町として活気に溢れているんだが、ここ最近はずっと沈んだ雰囲気だったんだ。」
ナダの町ですか。いい名前ですね。
晴れてきたことで住民の方々も明るさが戻り、活気が出てきます。
「見ろ!嵐が消えていく。」
誰かが言ったことで気付きましたが、嵐が徐々に小さくなり消えていきました。
「おおっ!これでいつでもあの島へ行けるぞ。どうするんだ?」
明日にしたい所ですが、いつまでこの晴れた状況が続くか分かりません。
「…………今からでも大丈夫ですか?」
私は男の人に聞きます。
「おぅ、分かった。今から船の準備をしてくるから、少し待ってな。」
いよいよ魔女の所へ行けるようです。
ワクワクしてきました。
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