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ドラゴンの肉編
8.恐竜さんのお話し
しおりを挟む「俺が物心ついた時にはこの世界は『力』が全てだった。奪い、奪われの繰り返し………。そして、自然とそれが俺達の生き方になってしまったんだ。」
さっきまでと様子が違い今の恐竜さんはどこか悲しそうです。
「誰かその考え方を変える人はいなかったのですか?」
疑問に思った私は恐竜さんに聞きます。
「あぁ、昔はいたよ。しかし、上のやつらは圧倒的な力をつけいて誰も止めるすべが無かった。」
どうやら争いの問題は、もっと別の部分にあるようですね。
ひどい話しです。
そして恐竜さんは続けます。
「俺がもし『平和』な世界に生まれることができたら、ここのやつらと昼は畑でも耕して、夜は朝まで飲んで過ごしたりなんて出来たのだろうなぁ。」
そう言うと恐竜さんはハンバーグに手を伸ばします。
しかし最後の一つだったため、ちょうど同じタイミングで取ろうとした娘と被りました。
「おっと、悪い悪い。こんな時まで取り合いなんて情けねぇからあんたが食べな。」
そう言われた娘ですが、首をかしげています。
何か不満だったのでしょうか。
すると、娘はハンバーグを半分に分けました。
「一つしかないなら『はんぶんこ』すればいいよ。」
そう言って娘は恐竜さんに半分にしたハンバーグをあげます。
「…………『はんぶんこ』か。」
そう言うと恐竜さんは、娘からもらったハンバーグを食べます。
「…………うめぇなぁ。このハンバーグ。」
そう言うと恐竜さんは立ち上がり、どこかに去ろうとします。
「世話になったな人間。あんた達は早く帰りな。」
「分かりました。………また一緒にお弁当を食べましょう。」
私がそう言うと、恐竜さんは片手を上げて去っていきました。
…………もう、ここの心配はする必要はないでしょう。
私達は食べてしまった弁当をしまい、ここから帰ることにしました。
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