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ドラゴンの肉編

7.お昼の時間

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歩くこと数分……。




豚さんと牛さんに連れられ、あるところまで通されます。









そこは、まるであのお城の玉座の間のような所でした。






「おいタウロス、オーク何だその人間は?」




そして少し離れた派手な椅子に座っている恐竜の着ぐるみを着た人が話します。






娘は興味津々で恐竜さんの方を見ています。







「へいっ、この人間が大変美味な物をお持ちでして………。」





豚さんは話します。








「だから通したというのか?」





恐竜さんは豚さん達に聞きます。







「へ、へい…………。」





「ボスが喜びになると思って……。」










それを聞いた途端、恐竜の着ぐるみを着た人は怒りました。





「そんなもん奪えばいいだけだろ!わざわざ人間を連れてくる馬鹿がいるかっ!」







「ひぇぇ、すみませんボス。」





「勘弁してくださ~い。」





そういって豚さんと牛さんはどこかに行ってしまいました。











しかし、この人がボスですか。





『奪えばいい』とか随分と横暴な人ですね。









「………話しは聞いていたな人間。悪いが消えて貰うぞ。」






そういって口から花火みたいなものをこちらに向けて吐き出します。





そういうのは人に向けたら危ないと習わなかったのでしょうか。





私は娘の手を引っ張り横に逃げようとしました………。







その時、娘が興奮してぶんぶんと振っていたおもちゃのステッキから流れ星のようなものが飛び出します。





そして花火にぶつかり音を立てて消え去りました。









「ば、馬鹿な。そんな簡単に消されるわけが………。」






そういって恐竜さんは、またいくつかの花火を吐き出します。






娘もそれを見て更にテンションが上がったのか、さっきよりも早くぶんぶんとステッキを振ります。






そしてまた流れ星のようなものが出て花火とぶつかり煙を立てて綺麗に消えました。









私の娘はどうやら本当にマジシャンの才能があるようです。





今度娘のためにも家族でマジックショーでも見に行きたいですね。










そして花火と星が衝突して出てきた煙の間から、唖然とした恐竜さんが見えました。







「ふざけるなっ!こんなことがあるわけぇ!!」





そういって今度は先ほどよりも大きな花火を吐き出そうとしています。











「はぁ………。」





流石の私も怒りました。






いたずらも度が過ぎたら不快なだけです。









「……なさい。」






「ああっ?」















【や          め         な          さ          い】












すると、恐竜さんの口の炎は段々と小さくなります。





「馬鹿なっ、俺が人間風情に恐れているというのか。」








私も昔、温厚なおかあさんがこうやって怒るのは怖かったです。




ですから、人に迷惑がかかるようなことはしないようにしてきました。







私は恐竜さんに聞きます。




「そういうのは人に向けたらいけないって習わなかったのですか?」







「『習う』っていったって、俺はこういうやり方しかしてこなかったんだよ。」







そういう恐竜さんは少しションボリしています。







どうやら恐竜さんにも私の知らない深い事情がありそうです。








少し考えて私は提案します。









「恐竜さん。」





「何だ?」








「お昼にしましょう!」





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