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ドラゴンの肉編
20.勇者の願い
しおりを挟むゆうしゃさんは先ほどの沈んでいたのが嘘のように元気になっています。
「あのマンモフを一撃で沈めるとは恐れ入りました。」
「ぜひ私のパーティーに加わって頂きたい。」
ゆうしゃさんは私に頼み込んできます。
「…………てっ、違う!まずは、やらねばならないことがあった。」
ゆうしゃさんは一人でノリツッコミしたかと思うと、震えている女の子の元へと歩いていきます。
「もう大丈夫だ!この町にいた化け物は私達が追い払った。怖がる必要もない。」
「ほ、本当?」
女の子は顔を上げてゆうしゃさんを見つめます。
「うん、もう心配しなくていいよ。」
そう言われた女の子は恐怖から解放されたせいか、ぐっすりと眠ってしまいました。
ゆうしゃさんは優しく女の子を抱え上げます。
………どうやら、ゆうしゃさんは私の思っている以上にしっかりとしているようです。
「お~い、あんたら大丈夫か~~。」
この町の人達でしょうか。
たくさんの人達がこの町に戻ってきました。
「あ、あなたは勇者様!」
町の人達が驚いた表情で顔を合わせます。
もしかして、このゆうしゃさんは凄い人なのでしょうか?
「あぁ!マリー。」
女の子のお母さんと思われる方が、女の子をゆうしゃさんから預かります。
「勇者様、娘を助けていただきありがとうございます。」
「いえいえ、私は何もしていないですよ。………それに、この町の大事な宝物も奪われてしまったと聞きました、すみません。」
そう言ってゆうしゃさんは頭を下げます。
すると、この町の町長らしき人が出てきました。
「頭を上げてください勇者様。この町の宝物はこの町の人達の命ですよ、何も奪われていません。」
なんと立派な考えを持った素晴らしい方でしょうか。
それだけでこの町の良さが伝わってきます。
「勇者様、お疲れのようですし今日はこの町に泊まられてはいかがですか?」
町長さんは提案します。
「すみません、私にはまだやらねばならないことがあります。」
「……それが全て片付いた後、ここの美味い料理を皆で囲んで楽しみましょう。」
「分かりました、いつでもお待ちしております。」
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