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秋の桜海祭編
体育祭ーブロック別対抗リレー③
しおりを挟む私は吹雪の考えに疑問を持つ。
「えっ?私、普通に『松白君』って呼んで応援しているけど。」
「あーもう、分かってないなぁ。『松白君』じゃなくて、笹山君が呼んでるように『みさ』って呼んであげるんだよ。」
その発言に私の頭の中で思考がグルグルと回り始める。
急に名前呼びなんてしていいのかなとか、そんなの効果あるのかなとか。
今まで『松白君』って呼び方が当たり前だった私にとっては中々難しいことだった。
……………でも。
こうやって考えるとあんなに向こうは親しくしてくれるのに、今まで私は少し遠い位置から接していたような気がするな。
そんな彼を名前で応援することで力になれるなら難しく考える必要はないんじゃないか…………。
「いいんじゃないか?吉野の考え。」
「あっ、笹山君。」
最後の走りを終えた笹山君が戻ってきた。
「あいつは割りと単純な所があるから、その少しの違いだけでも凄い喜ぶと思うぞ。」
「そ、そうなんだ。」
名前呼びかぁ…………。
今まで私はよくよく考えていたら松白君だけじゃなく吹雪以外にはこの呼び方が普通だったな。
中学生の頃、刺々しい性格だった私は自然と人と距離をおくようになっちゃったんだっけ。
ガシッ!
「うわぁっ!」
私は吹雪に腕を急に捕まれる。
「ほらっ!笹山く…………いや勇くんもそう言ってるんだから、さくらも応援するよ。一番声がよく届く位置で。」
そう言って、私は吹雪に連れていかれる。
「はははっ、頑張ってこいよ染井!」
私は笹山………じゃない、勇くんに手を振って見送られる。
きっと最後のランナーを任された彼はこんな作戦が待っているとか知らないのだろうな。
覚悟しておいてよ、みさ!
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