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婚約者がもう一頭の馬を連れて来てくれた話

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 木刀の素振りを終え、ポニーのフランソワと一緒に木陰で休みます。

 ぼんやりしているうちに、婚約者のエドガー様がやってきました。

 見れば、一頭のポニーを連れています。

「ポニーくんです。ポニーちゃんの相手としてどうかなと思いまして」

 いや、それは良いんですけど。

 エドガー様、もしかしてネーミングセンスが……?

 私が戦慄している間にフランソワが逃げ、ポニーくんが彼女を追っています。

 じゃれているようにも見えますが、あれ、フランソワは本気で逃げてるようにも見えますね。

 そこのところ、どう思われます?

「うーん、もう少し様子を見てみましょう」

 体力ではフランソワの方が上のようで、ポニーくんは結局追いつけませんでした。

 首を垂れてがっかりしているポニーくんに、フランソワが慰めるように鼻先を寄せます。

 エドガー様、これは一体?

「どうやら、フランソワさんの方から歩み寄ってくれたようですね。ナイスガッツだ、と。ポニーくんも涙を流して喜んでいます」

 えっ、本当に涙をぼろぼろ流していますが……あれは大丈夫なんです?

「大丈夫です。馬は賢いですからね」

 賢いという理由でなんでも説明できるとは思わないで下さいね……?



 というか、エドガー様。

 馬の機微を見抜く力が凄すぎません……?

 馬を愛する者としての嗜み?

 そうですか……。
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