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婚約者に可愛げが無いと言われたので自ら身を引いた話

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「ああ、婚約者殿には可愛げが無いからな」

 その言葉を聞いて、私はこれまでの全てが誤っていたのだと知りました。

 彼の婚約者として相応しい態度と行動を取ってきたつもりですが、それは彼にとって不要のものだったのです。

 現に彼は私と距離を置き、別の女性とお昼を共にしています。

 ――もう、いいかな。

 彼の家が提示してきた婚約破棄を承諾し、私は別の家に嫁ぐことになりました。



 後年に聞いたことですが。

 私が婚約破棄を受け入れてからというもの、その元婚約者は酷く荒れたそうです。

 数々の女性と付き合うも長続きせず、孤独の生涯を病床で終えたとか。
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