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婚約者の見る目に畏怖が混じっていますが、何かしてしまったでしょうか?

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「王太子殿下が婚約破棄を宣言したそうだ……」

 婚約者が項垂れながら告げてきましたが、私でなくとも知っている情報でしょう。

 なんでも、婚約者である公爵令嬢を罵倒し、ぽっと出の男爵令嬢と婚約すると宣ったとか。

 まあ、こうなるとは思っていましたけども。

「どうするべきだと思う?」

 と言うのは?

「王太子殿下は王の器ではない。今回の件でそれが露呈した」

 であれば、第二王子を推すしかないでしょうね。

「それができれば苦労はしない。俺たちの家は、王太子の派閥じゃないか」

 まあ、そうでしたけど。

 ちょっとうちの婚約者殿はのんびりしているところがありますね。まあ、そこも魅力ですが。

 ということで、これを見せます。

「これは? 王太子派閥の家の名が並んでいるが……」

 現時点において、第二王子の派閥に移行しています。

 各当主の署名も確保していますので、効力としては小さくありません。

 ちなみに、私と貴方の家もこれに参加しています。

 ですので、先ほどの心配は無用になりますね。

「……いつの間に?」

 前々から公爵令嬢のアリア様から相談されていたので、内々で手配していました。

 王位継承権を移譲させるだけの力はあるでしょう。

 王としても、これらの家が第二王子を支持するとあっては無下にできない筈です。

 無下にした場合の対応も、内々で考慮しています。

 おや、私を見る婚約者の顔が少しばかり引き攣っていますが、どうかしました?

 何か落ち度があったでしょうか?
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