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暁の話

色づき始めた世界

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意識が戻った時には真夜中になっていた
起き上がり鈍い痛みに眉を顰めた
気がつけばソファーからベッドに移動し
制服からパジャマに変わっていた
隣で幸也が寝ていた

「夢じゃなかった…」

そう思えばしていたことが思い起こされ恥ずかしくなった
幸也とシたんだ、初めてが幸也だった
恥ずかしいけど嬉しかった
両手で口元を覆いながら噛み締めていた

「ん…暁…?」
「っ…ごめん、起こして…」

俺が動いたことで起こしてしまったらしい


「ううん、それより大丈夫?痛い?」
「痛いけど…」
「ごめんね…抑えが効かなかった」
「抑えなくて良いよ…」
「え?」
「抑えなくて良い…幸也と出来て嬉しかったから…」

素直に言葉が出てきた

「幸也とだったらシてもいい」
「本当に?」
「うん…幸也…」
「ん?」

今なら言える
ずっと思ってたこと

「好きだよ、ずっと前から」
「ありがとう、気持ち言ってくれて」

そう言い頭を撫でてくれた

「付き合ってくれる…僕と」
「手出したんだから責任取ってよ」
「ふふっ…そうだね、責任取るよ」

そう微笑んで抱きしめてくれた

「暁」
「ん?何?」
「暁は僕の特別だよ」

刺さってた鋭い棘が消えていく
消えて幸せでいっぱいになる
俺は《幸也の特別な存在》なんだって
俺は変わらない毎日が色づいて変わり初めたんだって
そう実感した
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