俺たちは魔法が使えるだけの普通の男子ですが？

暁の話

棘が刺さったまま

その日はどうやって帰ったか覚えてない
家族に泣き腫らした顔を見られたくなくて夕飯も食べなかった
その後からだった、幸也を避けるようになったのは
会っても無視をし続けた
そうしているうちに幸也は卒業して行った
無視してたせいか1度も幸也は理由を聞いてこなかった
幸也を避けるためもあり俺は今の高校を選んだ
そのまま卒業したら同じ高校になるからだ
まぁ、〖魔法〗を極めたいのもあったんだけど
入学して初めての夏が終わりかけた頃
幸也が転校してきた
心臓が止まるかと思った、久しぶりに会ったアイツは
前よりもっと、かっこよくなっていた
気持ちがまた惹かれるほどに


『久しぶり、暁』
『あ、あぁ…』

会話をしてしまったら逃げられなくなった

『話するのもね』
『そうだな……』

アイツは昔と変わらず優しく話しかけてきた
何も変わらず、あんなに無視し続けた俺に

それからまた少しずつ会話をするようになった
アイツが一人暮らししてることや会ってなかった間のこと
いろいろ話してくれた
アイツと話すのは嬉しかった……
構ってくれるようにもなりもっと嬉しかった……
無視し続けた間を会わなかった期間を
心に空いた隙間を埋めてくれるくらい優しく温かくしてくれた
でも、〚誰にでも〛優しいんだということは
鋭い棘のように刺さったまま抜けなかった
〚恋焦がれてた〛その記憶を貫くように

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