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付き合うまで長くね??と私も思ってます。
「や、ねぇ、葵!んっ…やめ」
やだ!誰か助けてーーー!
なぜ、俺が、葵にキスされてるんだ!!
意味が分からない。怖い。
「やっ、やだっっ!!」
ガッ…
「っ!!」
咄嗟に葵を殴ってしまった。
葵は不意打ちだったからか、少し蹲っている。あぁ、葵の綺麗な顔に傷をつけてしまったな、と思うのと同時に、ちょっと、怖かったなと震える体と殴った拳が熱くなった。
「あ、葵!ごめ」
気付いたら走っていた。空き教室を抜け出して、廊下をダッシュする。
階段を降りている時に、授業開始のチャイムが鳴ってしまったが、授業に出る気分でもなく、葵に会うのも怖くて、保健室へと逃げ込んだ。
「まおちゃん先生ごめんなさい」
「大丈夫ですよ、気分が悪くなっちゃったんですよね?ゆっくり休んで…それとももう帰りますか?」
「まおちゃん先生…いいんですか?!」
ええ、と優しく微笑んでくれた保健室の先生ことまおちゃん先生。
「じゃ、じゃあ…帰りたいです」
「熱が出たってことにしときますよ」
「あ、ありがとうございます~!」
保健室は不思議で、クラスにいるよりも落ち着く。まおちゃん先生が淹れてくれた、ココアをゆっくり飲み干して、保健室を出る。
「ありがとうございました、まおちゃん先生」
「はい、お大事に」
失礼しました、そう一声かけてドアを閉める。
仮病、使っちゃった。
先生が気を利かせてくれたから、お言葉に甘えて…なんて。
いや、さっきの出来事でだいぶ頭が痛い。
「…帰ろ」
葵はどうしただろうか。
まだ空き教室なのか、それとも授業へ言ったのか、分からない。
「明日も休んじゃおう、かな」
「明日、休んじゃうの?」
「えっ」
デジャブか。
聞き覚えのある声が後ろから聞こえて、思わずぐりんっと音がなりそうなほどに勢いよく振り返った。
「な、七瀬?!」
「うん、羽咲。俺も一緒に帰っていいかな」
「今日、休みじゃ」
「あぁ、それは春乃が勝手に言ったから」
七瀬はそう言ってにこにこ笑う。あまり、葵のことを考えたくなかったのに、春乃という言葉に反応してしまった。
「あ、葵が…かって、に?」
「うん。昨日…ちょっとね」
少し、痛かったなぁ、と七瀬が腕をさする。
「腕…怪我してるの?」
「まぁ、そうなるかな。」
なんで、と言いかけた時、澪!とこちらへ走ってくる葵に気付いて、瞬間的に走り出しそうになった。が、それは腕を掴む七瀬によって阻止される。
「七瀬!離して!」
「あーあ、春乃ってば、羽咲が怖がってるし…何したのかな」
「羽咲、ちょっと、こっち来て」
逃げたいんだよね?
そう聞かれ強く頷くと、ぎゅっと七瀬に抱き抱えられる。と、七瀬は何処かへと走り出した。
「おい!七瀬!!澪を返せ」
遠くに聞こえる声を無視して七瀬は階段を登る。普段使わない棟の廊下で、少し困惑した。見たことない場所だ…。
着いた先は、
「美術室…?」
「うん。羽咲は美術選択してないから来たことないよね。ここなら人はほとんど来ないし、多分春乃も、ここなら分からないよ」
「え、あぁ…うん。ありがとう」
美術室は確かに、初めて来た気がする。
木でできた机と椅子がいくつかあって、教室の後方に作品が立てかけられている。
そういえば、七瀬は美術部だと女子達が話しているのを聞いたことがある。
「七瀬って、美術部なんだっけ?」
「ふふ、そうだよ。…ねぇ、羽咲」
「ん?」
七瀬とこうしてちゃんと話すのは2度目なので、少し緊張してくる。
あれ、俺早退するはずだったんだけどな。
まおちゃん先生、助けて…。
「澪って呼んでいいかな?」
「あ、うん。いいよ」
「俺のことも柒って呼んでよ」
「柒?」
呼んだ途端、七瀬改めて柒が固まる。
「…これは破壊力やばいな…」
「何か言った?」
「いや、嬉しいなって」
そう…こんな人気者の柒と、話してる…話してる??
あっ、
「あ、ねぇ柒?俺の勘違いだったら無視して欲しいんだけどさ、俺のことずっと見てない?その…恥ずかしいからやめて欲しいんだけど」
「…ん、、あぁ…ごめんね。無意識に目で追っちゃうんだ。澪、可愛いから」
「え」
「澪が毎日可愛いから、こっちみてほしくて」
え、え、え、?
どどどどどどういうこと?
俺が、可愛い?美形は何処か基準が狂ってしまってるんじゃないかと疑い始めてしまった。
「澪、好きだよ…春乃に怖いことされちゃったんだよね?」
「え、あ、うん?」
「あぁ、可哀想に。俺がそんな怖いことから守ってあげるから。」
ぎゅうっと強く後ろから抱きしめられる。
え?唐突すぎじゃない?ねぇ、誰か助けて。
「俺ね、入学した時から澪がずっと好きだったんだよ。一目惚れしちゃったんだ。なのに、全然澪は見てくれない。でも、そうだな…告白振った所を見られた時からかな…意識してもらえて嬉しかったよ。」
急に饒舌になった柒に、俺は困惑を隠しきれずにいる。脳が処理しきれない。いきなりすぎる。なにそれ、俺のことが好き??
あれ、七瀬柒って、好きな人がいるから全部告白断ってたんだよね?その好きな人って、俺のことだったの???
「あぁ、可愛い。澪が俺の腕の中にいる。はぁ♡可愛いね。なのに、さ。澪の近くにはいつも春乃がいて邪魔で仕方なかったよ。」
でも、今はいないから、安心してね。
耳元で甘く蕩けるように囁かれる、が。
安心してる暇はない…気がしている。
「あ、ねぇこれ、見て欲しいな。」
するりと手を絡ませてある絵の前まで手を引かれる。
「…??!?!」
それは、俺。
キャンバスに描かれているのは、俺。だった。
「毎日一生懸命描いてるんだ。可愛い可愛い澪の写真を見ながら…」
「え。しゃ、しん??」
とてもとても絵が上手だと思った。すごく繊細で美しい色使いで、きっと俺の絵じゃなかったらもっと良かったのにな、って。考えたけど、そうじゃない。
普通は描いてもらったら嬉しいだろう。こんな、イケメンに、こんなに絵が上手い人に、描かれたら。
でも、写真?
「驚いた?毎日撮ってるよ…その勝手にごめんね。でも、本当に澪が好きなんだ。俺の気持ち伝わった?」
伝わったも何も、なんか凄いことを言われた。写真撮ってるって…盗撮ってこと?ストーカー?もう何が何だか…。
なんか書いてたらすごい方向に行ってしまって、吃驚してます。
もしやストーカー攻めだったのではないか??と真剣に頭を抱える次第です。
「や、ねぇ、葵!んっ…やめ」
やだ!誰か助けてーーー!
なぜ、俺が、葵にキスされてるんだ!!
意味が分からない。怖い。
「やっ、やだっっ!!」
ガッ…
「っ!!」
咄嗟に葵を殴ってしまった。
葵は不意打ちだったからか、少し蹲っている。あぁ、葵の綺麗な顔に傷をつけてしまったな、と思うのと同時に、ちょっと、怖かったなと震える体と殴った拳が熱くなった。
「あ、葵!ごめ」
気付いたら走っていた。空き教室を抜け出して、廊下をダッシュする。
階段を降りている時に、授業開始のチャイムが鳴ってしまったが、授業に出る気分でもなく、葵に会うのも怖くて、保健室へと逃げ込んだ。
「まおちゃん先生ごめんなさい」
「大丈夫ですよ、気分が悪くなっちゃったんですよね?ゆっくり休んで…それとももう帰りますか?」
「まおちゃん先生…いいんですか?!」
ええ、と優しく微笑んでくれた保健室の先生ことまおちゃん先生。
「じゃ、じゃあ…帰りたいです」
「熱が出たってことにしときますよ」
「あ、ありがとうございます~!」
保健室は不思議で、クラスにいるよりも落ち着く。まおちゃん先生が淹れてくれた、ココアをゆっくり飲み干して、保健室を出る。
「ありがとうございました、まおちゃん先生」
「はい、お大事に」
失礼しました、そう一声かけてドアを閉める。
仮病、使っちゃった。
先生が気を利かせてくれたから、お言葉に甘えて…なんて。
いや、さっきの出来事でだいぶ頭が痛い。
「…帰ろ」
葵はどうしただろうか。
まだ空き教室なのか、それとも授業へ言ったのか、分からない。
「明日も休んじゃおう、かな」
「明日、休んじゃうの?」
「えっ」
デジャブか。
聞き覚えのある声が後ろから聞こえて、思わずぐりんっと音がなりそうなほどに勢いよく振り返った。
「な、七瀬?!」
「うん、羽咲。俺も一緒に帰っていいかな」
「今日、休みじゃ」
「あぁ、それは春乃が勝手に言ったから」
七瀬はそう言ってにこにこ笑う。あまり、葵のことを考えたくなかったのに、春乃という言葉に反応してしまった。
「あ、葵が…かって、に?」
「うん。昨日…ちょっとね」
少し、痛かったなぁ、と七瀬が腕をさする。
「腕…怪我してるの?」
「まぁ、そうなるかな。」
なんで、と言いかけた時、澪!とこちらへ走ってくる葵に気付いて、瞬間的に走り出しそうになった。が、それは腕を掴む七瀬によって阻止される。
「七瀬!離して!」
「あーあ、春乃ってば、羽咲が怖がってるし…何したのかな」
「羽咲、ちょっと、こっち来て」
逃げたいんだよね?
そう聞かれ強く頷くと、ぎゅっと七瀬に抱き抱えられる。と、七瀬は何処かへと走り出した。
「おい!七瀬!!澪を返せ」
遠くに聞こえる声を無視して七瀬は階段を登る。普段使わない棟の廊下で、少し困惑した。見たことない場所だ…。
着いた先は、
「美術室…?」
「うん。羽咲は美術選択してないから来たことないよね。ここなら人はほとんど来ないし、多分春乃も、ここなら分からないよ」
「え、あぁ…うん。ありがとう」
美術室は確かに、初めて来た気がする。
木でできた机と椅子がいくつかあって、教室の後方に作品が立てかけられている。
そういえば、七瀬は美術部だと女子達が話しているのを聞いたことがある。
「七瀬って、美術部なんだっけ?」
「ふふ、そうだよ。…ねぇ、羽咲」
「ん?」
七瀬とこうしてちゃんと話すのは2度目なので、少し緊張してくる。
あれ、俺早退するはずだったんだけどな。
まおちゃん先生、助けて…。
「澪って呼んでいいかな?」
「あ、うん。いいよ」
「俺のことも柒って呼んでよ」
「柒?」
呼んだ途端、七瀬改めて柒が固まる。
「…これは破壊力やばいな…」
「何か言った?」
「いや、嬉しいなって」
そう…こんな人気者の柒と、話してる…話してる??
あっ、
「あ、ねぇ柒?俺の勘違いだったら無視して欲しいんだけどさ、俺のことずっと見てない?その…恥ずかしいからやめて欲しいんだけど」
「…ん、、あぁ…ごめんね。無意識に目で追っちゃうんだ。澪、可愛いから」
「え」
「澪が毎日可愛いから、こっちみてほしくて」
え、え、え、?
どどどどどどういうこと?
俺が、可愛い?美形は何処か基準が狂ってしまってるんじゃないかと疑い始めてしまった。
「澪、好きだよ…春乃に怖いことされちゃったんだよね?」
「え、あ、うん?」
「あぁ、可哀想に。俺がそんな怖いことから守ってあげるから。」
ぎゅうっと強く後ろから抱きしめられる。
え?唐突すぎじゃない?ねぇ、誰か助けて。
「俺ね、入学した時から澪がずっと好きだったんだよ。一目惚れしちゃったんだ。なのに、全然澪は見てくれない。でも、そうだな…告白振った所を見られた時からかな…意識してもらえて嬉しかったよ。」
急に饒舌になった柒に、俺は困惑を隠しきれずにいる。脳が処理しきれない。いきなりすぎる。なにそれ、俺のことが好き??
あれ、七瀬柒って、好きな人がいるから全部告白断ってたんだよね?その好きな人って、俺のことだったの???
「あぁ、可愛い。澪が俺の腕の中にいる。はぁ♡可愛いね。なのに、さ。澪の近くにはいつも春乃がいて邪魔で仕方なかったよ。」
でも、今はいないから、安心してね。
耳元で甘く蕩けるように囁かれる、が。
安心してる暇はない…気がしている。
「あ、ねぇこれ、見て欲しいな。」
するりと手を絡ませてある絵の前まで手を引かれる。
「…??!?!」
それは、俺。
キャンバスに描かれているのは、俺。だった。
「毎日一生懸命描いてるんだ。可愛い可愛い澪の写真を見ながら…」
「え。しゃ、しん??」
とてもとても絵が上手だと思った。すごく繊細で美しい色使いで、きっと俺の絵じゃなかったらもっと良かったのにな、って。考えたけど、そうじゃない。
普通は描いてもらったら嬉しいだろう。こんな、イケメンに、こんなに絵が上手い人に、描かれたら。
でも、写真?
「驚いた?毎日撮ってるよ…その勝手にごめんね。でも、本当に澪が好きなんだ。俺の気持ち伝わった?」
伝わったも何も、なんか凄いことを言われた。写真撮ってるって…盗撮ってこと?ストーカー?もう何が何だか…。
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