こわがりオメガは溺愛アルファ様と毎日おいかけっこ♡

なお

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いい匂いがする…





「…ん」


目を覚ますと、僕はベッドに寝ていたみたいだった。
そうだ、旦那様に見つかってしまって、その後どうしたっけ。

記憶が無い。
けど、きっとあたたかかったのは旦那様に抱きしめられたからだろう。

優しい匂い…。

はっとして、ここはどこだと辺りを見回すが、自室ではなかった。でも、辺りにはその”優しい匂い”が沢山だった。

そしてなんだか、その匂いが鼻を擽る度に身体が熱くなって腹の奥がじくじくと疼く…。
意識すればするほど、発情期の時の雄を求めるような淫らな思考になる。


「…っん…………だめだ」


この部屋から出ないと、そう思うのに寝ている時にかけられていたものであろう誰かの上着に気を取られてしまった。


いや、もう僕はこの上着の持ち主が誰かは分かっている。


その上着を無意識に抱きしめると、太腿を擦り合わせる。

「はぁっ…ふぅ…んっ」


いい匂い、いい匂い。
優しい匂い…もっと…もっと欲しい。
そう思って、するりとベッドから降りて、勝手に足がその場所へと向かう。

クローゼット。

扉を開ければすぐに欲しかったものを次々に引っ張って匂いを嗅ぐ。

これはだめだ、匂いがない。
こっちの服は…あの人の匂いがついてる…!

時間をかけて厳選に厳選を重ねた服を先程までいたベッドへと並べていく。
自分を囲むように周りに並べた後、真ん中に山作って山の中に閉じこもる。

「よかった…上手くできた」

大満足のできだと思う。
でも、足りない。この巣には、あとひとつ足りないものがある。

来て欲しい。褒めて欲しい。疼く身体の奥を慰めて欲しい。
なんでいないの?お願い、来て。はやく助けて。

恐い、こわいよ。1人はやなの。

「はぁっ……ん…ます、ますみさん。真澄さん!きて!きてよ~…うっひぐ…」


「どうしたの、羽瑠?寂しくなっちゃった?私はここにいるよ」


真澄さんだ!真澄さんがいる。来てくれたんだ!


服の山から顔を出して、真澄さんに抱きつく。

「んっ真澄さん…」

「発情期、来たんだね…ふふ可愛い。泣いてたの?目が真っ赤だ…涙を拭わないと」

ぎゅうっと強く抱きしめてくれて、目元の涙を拭ってくれる。………優しい匂い。

「巣、作ってくれたの?上手にできてるね!羽瑠、私も入っていいかな?」

「うん、うん!入って!真澄さんが来てくれるの待ってたんだよ」

真澄さんは僕を抱きしめたままベッドにあがり、僕を押し倒す。

真澄さんの顔が近い…。

「あっ、真澄さん、いい匂い……。おく、奥が切ないよ…ますみさん、えっちしよ…ね?真澄さん」


「羽瑠…うん。いいよ、気持ちいいこといっぱいしようね」





_____

発情期中は素直になっちゃう受けちゃんでした……正気に戻った時はどうなるのかな……(遠い目)

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