2 / 6
思い出した
しおりを挟む
「起きておくれ」
誰かに身体を揺さぶられる
まだ身体が重たいのに…眠っていたいのに…。
「困ったのう…それ」
優しい穏やかな声が耳元に聞こえたと思ったら宙に浮く感覚がして目を覚ました
目の前にはとても美しい顔で長髪の銀髪がさらさらと風になびいている男に姫抱きをされている状態だった
「えと…だ、誰ですか」
「気持ちよく寝ている時に申し訳ない。我は神と呼ばれる存在だ」
優しい顔をこちらに向けたと思えば少し寂しい顔をした。
「あの、どうかされたのですか?」
「驚くかもしれんが聞いてくれるかい?…すまんな。お主はまだ寿命は尽きていないのに屍とかしてしまった。」
し、屍………?
何を言い出したかと思えば屍?
「えと、すみません。理解が…」
「お主は本当は幸せになれるはずだったんだ。でも我の手違いでな、お主が寂しい思いをする人生にさせてしまったあげく、お主の命も奪ってしまったんだ。すまない。」
「い、いえ…とんでもないです?」
何を言っているのかさっぱり分からない。とにかく、僕は死んだらしい。それだけは分かった。
ただ神様の手違いとか、本当にそんな漫画のようなことがあるのかと考えてしまう。
「それでなんだが、お主に2度目の人生を送ってもらうつもりだ。」
2度目の人生…。それはとても素敵に感じるかもしれない。でも僕は孤児だった。
皆が言うあたたかい家族というものがどんなのか…僕に分かるはずもなくて。
独りに慣れてしまっているからこそ、逆を言えば、恐怖が芽生えてしまう。
「ん?どうしたのだ?」
「転生…転生したら…」
僕は、どうなるんですか…?
その言葉を聞くのさえも怖くなる。
「転生したらどうなるか、だな?」
ズバリ当てられてしまうのは神様だからか、それとも転生する人が過去にもいるからか、どちらにしても慣れてしまっているんだろう。
「転生したら、お主が前世でおくるはずだった世界に行ってもらうつもりだ。」
僕が、本当に…
「家族が、いるんですか?」
「もちろんだとも。今までのような生活は絶対無いと約束しよう。これは確実にだ。あったとしても我の加護を与える。お主には幸せになってもらうからな」
そう言った神様は眩しかった。
「ありがとう、ございます」
「転生するにあたって聞いておきたいのだが、前世の記憶を持つか、消すかなのだが…」
「……消すでお願いします」
「消すでいいのだな?場合によれば消したは良いが本人の意思で戻ってくることもある。」
記憶が戻ってくる…。
「いいです。その時は、その時で。」
「そうか…では、そろそろだ。すまなかったな、17年間。これからの人生はお主が幸せで生きていくことを心から祈っておる」
眩しい光に目を瞑れば突然瞼が重くなり体は軽くなる。
「あぁ、そうだ…思い出すかは分からんが覚えていたら良ければ我に会いに来てくれ。」
遠くで声がした…
眠い…そう思った時にはもう転生していた。
思い出した。
僕は転生したんだ
この15年間…前世の記憶を思い出さずに幸せに生きてきたんだ…
でも、思い出してしまった。
「…僕は孤児だった」
でも、今は違う。
神様は言っていたけれど、本当に僕にとっては幸せで仕方がない人生だ。
「っ…」
僕はそっと涙を流したのだった。
誰かに身体を揺さぶられる
まだ身体が重たいのに…眠っていたいのに…。
「困ったのう…それ」
優しい穏やかな声が耳元に聞こえたと思ったら宙に浮く感覚がして目を覚ました
目の前にはとても美しい顔で長髪の銀髪がさらさらと風になびいている男に姫抱きをされている状態だった
「えと…だ、誰ですか」
「気持ちよく寝ている時に申し訳ない。我は神と呼ばれる存在だ」
優しい顔をこちらに向けたと思えば少し寂しい顔をした。
「あの、どうかされたのですか?」
「驚くかもしれんが聞いてくれるかい?…すまんな。お主はまだ寿命は尽きていないのに屍とかしてしまった。」
し、屍………?
何を言い出したかと思えば屍?
「えと、すみません。理解が…」
「お主は本当は幸せになれるはずだったんだ。でも我の手違いでな、お主が寂しい思いをする人生にさせてしまったあげく、お主の命も奪ってしまったんだ。すまない。」
「い、いえ…とんでもないです?」
何を言っているのかさっぱり分からない。とにかく、僕は死んだらしい。それだけは分かった。
ただ神様の手違いとか、本当にそんな漫画のようなことがあるのかと考えてしまう。
「それでなんだが、お主に2度目の人生を送ってもらうつもりだ。」
2度目の人生…。それはとても素敵に感じるかもしれない。でも僕は孤児だった。
皆が言うあたたかい家族というものがどんなのか…僕に分かるはずもなくて。
独りに慣れてしまっているからこそ、逆を言えば、恐怖が芽生えてしまう。
「ん?どうしたのだ?」
「転生…転生したら…」
僕は、どうなるんですか…?
その言葉を聞くのさえも怖くなる。
「転生したらどうなるか、だな?」
ズバリ当てられてしまうのは神様だからか、それとも転生する人が過去にもいるからか、どちらにしても慣れてしまっているんだろう。
「転生したら、お主が前世でおくるはずだった世界に行ってもらうつもりだ。」
僕が、本当に…
「家族が、いるんですか?」
「もちろんだとも。今までのような生活は絶対無いと約束しよう。これは確実にだ。あったとしても我の加護を与える。お主には幸せになってもらうからな」
そう言った神様は眩しかった。
「ありがとう、ございます」
「転生するにあたって聞いておきたいのだが、前世の記憶を持つか、消すかなのだが…」
「……消すでお願いします」
「消すでいいのだな?場合によれば消したは良いが本人の意思で戻ってくることもある。」
記憶が戻ってくる…。
「いいです。その時は、その時で。」
「そうか…では、そろそろだ。すまなかったな、17年間。これからの人生はお主が幸せで生きていくことを心から祈っておる」
眩しい光に目を瞑れば突然瞼が重くなり体は軽くなる。
「あぁ、そうだ…思い出すかは分からんが覚えていたら良ければ我に会いに来てくれ。」
遠くで声がした…
眠い…そう思った時にはもう転生していた。
思い出した。
僕は転生したんだ
この15年間…前世の記憶を思い出さずに幸せに生きてきたんだ…
でも、思い出してしまった。
「…僕は孤児だった」
でも、今は違う。
神様は言っていたけれど、本当に僕にとっては幸せで仕方がない人生だ。
「っ…」
僕はそっと涙を流したのだった。
6
お気に入りに追加
153
あなたにおすすめの小説
総長の彼氏が俺にだけ優しい
桜子あんこ
BL
ビビりな俺が付き合っている彼氏は、
関東で最強の暴走族の総長。
みんなからは恐れられ冷酷で悪魔と噂されるそんな俺の彼氏は何故か俺にだけ甘々で優しい。
そんな日常を描いた話である。
婚約破棄された悪役令息は従者に溺愛される
田中
BL
BLゲームの悪役令息であるリアン・ヒスコックに転生してしまった俺は、婚約者である第二王子から断罪されるのを待っていた!
なぜなら断罪が領地で療養という軽い処置だから。
婚約破棄をされたリアンは従者のテオと共に領地の屋敷で暮らすことになるが何気ないリアンの一言で、テオがリアンにぐいぐい迫ってきてーー?!
従者×悪役令息
王子様のご帰還です
小都
BL
目が覚めたらそこは、知らない国だった。
平凡に日々を過ごし無事高校3年間を終えた翌日、何もかもが違う場所で目が覚めた。
そして言われる。「おかえりなさい、王子」と・・・。
何も知らない僕に皆が強引に王子と言い、迎えに来た強引な婚約者は・・・男!?
異世界転移 王子×王子・・・?
こちらは個人サイトからの再録になります。
十年以上前の作品をそのまま移してますので変だったらすみません。
【完結済】王子を嵌めて国中に醜聞晒してやったので殺されると思ってたら溺愛された。
うらひと
BL
学園内で依頼をこなしていた魔術師のクリスは大物の公爵の娘からの依頼が入る……依頼内容は婚約者である王子からの婚約破棄!!
高い報酬に目が眩んで依頼を受けてしまうが……18Rには※がついています。
ムーン様にも投稿してます。
幼馴染の王子に前世の記憶が戻ったらしい
325号室の住人
BL
父親代わりの叔父に、緊急事態だと呼び出された俺。
そこで、幼馴染の王子に前世の記憶が戻ったと知って…
☆全4話 完結しました
R18つけてますが、表現は軽いものとなります。
転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…
月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた…
転生したと気づいてそう思った。
今世は周りの人も優しく友達もできた。
それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。
前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。
前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。
しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。
俺はこの幸せをなくならせたくない。
そう思っていた…
【完結】婚約破棄された僕はギルドのドSリーダー様に溺愛されています
八神紫音
BL
魔道士はひ弱そうだからいらない。
そういう理由で国の姫から婚約破棄されて追放された僕は、隣国のギルドの町へとたどり着く。
そこでドSなギルドリーダー様に拾われて、
ギルドのみんなに可愛いとちやほやされることに……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる