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59話 元ビースト王国
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ラクレスは城へ向かう途中、足を止めた。
「被り物か...........」
目の前には、獣人が店を営む小さな露店があった。
(人間だとバレると厄介なことになりそうだな...........何か変装するか)そう考えたラクレスは、自然と店へ足を運んだ。
店内に入ると、怯えた様子の獣人がラクレスを迎えた。
「獣人?」
ラクレスはとっさにそんなを言った。
「す、すいません.....何でも差し上げますから命だけは..........どうか.....」
獣人はラクレスが店の中に入るや否や震える声でそう言って、頭を下げた。
「い、いや、俺違うよ..........」
「えっ!?あなた........リザードマンじゃない?あなたは誰なんですか?」
リザードマンじゃないラクレスを見た獣人がそう言った。
「んーーーー、俺はあなたたちの味方かな?」
ラクレスは肩をすくめ、少し迷った後、笑顔を浮かべて答えた。
そして、狐の顔をしたお面を一つ取った。
「これください。いくらですか?」
「いえっ、お金はいりません。なので、この国を.....どうかこの国を..........」
獣人は涙を浮かべ、訴えるように頭を下げ続けた。
「..........任せてください。絶対に借りは返しますから。」
ラクレスは獣人に短く約束すると、狐の面をかぶり、店を後にした。
(獣人はもっと奴隷的な扱いを受けてると思ったけど、そうでもないんだな..........)
そして、ラクレスは目線を城に向けた。
「絶対に仇は討ってやる。待ってろよ..........」
ラクレスは静かに決意を固めると、人気の少ない裏道を選んで城を目指した。
その道中、弱り果てた獣人たちと何度もすれ違った。
誰もが涙を浮かべ、目に見えるほどに疲弊していた。
(みんな、泣いてる..........)
ラクレスは弱り切った獣人を見ると、下唇を噛んだ。
ラクレスはかつて敵対した国であることを思い出すが、その憎しみはもはや彼にはなかった。
怒りの矛先はただ一つ。アルダ・シールという王に向かっていた。
(あのクソ王は何したんだよ..........何で簡単に国を取られてんだよ..........それに、あのギイ・ラーンとかいう奴はどうしたんだよ..........)
思考を巡らせつつ、ラクレスは遂に城の目前までたどり着いた。
背後を警戒しながらも、敵と遭遇することなくここまで来れたのは幸運だった。
(城の入り口に敵は二人..........でも、城の中には何人だ..........?くそっ、)
ラクレスは頭の中で作戦を考えてはいるが、城の内部構造を知らないためそれも露と消えた。
「考えるだけ無駄か..........」
彼は溜息をつき、堂々と城の入り口へ歩み寄った。
そして、城の目の前で立ち止まると二人の兵士に向かって穏やかな口調で言い放った。
「おいっ、お前らの国のトップをここに呼べっ。」
ラクレスは穏やかな口調でそう言った。
「わ、分かった..............」
一人の兵士がそう言って城の中に入って行った。
すると、もう一人の兵士も慌てて中に入って行った。
そのため、城の入り口にはラクレスが一人残された。
兵士たちがなぜラクレスに従ったのか、それは明白だった。
ラクレスが放つ異様なオーラが、彼らの心を完全に圧倒していたのだ。
(あいつはやばい..............早くリットン団長にお伝えしなければ..............)
中に入って行った兵士が冷や汗をかきながら、すくむ足を何とか立ち上がり前に進んでいた。
すると、
「おいっ、外に何がいる?」
ギイ・ラーンにやられた傷がすっかり回復したオルロ・リットンが慌ててやってきた。
「そ、、そ、れ、、が、、、ば、ば、、ばけもんが、います..............」
「ばけもん?どこにだっ?」
「そと、、、、です.........」
「良く伝えた..............」
兵士はそれだけ言い残すと、気を失った。
(何がいる..............いくら兵士と言っても、選りすぐりの精鋭兵たちだぞ..............)
オルロ・リットンの額を冷や汗が滲ませていた。
「どうした?リットン。」
オッド・リーシャも騒ぎ駆け付けてきた。
そして、「何やらやばそうだな.........」
「..............そうね」
ロッド・ゲルマン、仮面の騎士も駆けつけてきた。
「何やらとんでもないのがいるらしい..............」
オルロ・リットンはそう言うと、立ちあがった。
「獣人か?でも、獣人のバケモンと言ったら、もう全員倒したぞ?」
ロッド・ゲルマンが目を細めてそう言うが、
「まだいたのか..........こんなやつが..........」
と、すぐさま嬉しそうに言った。
「お前は変わらんな..........」
オルロ・リットンはため息交じりにロッド・ゲルマンを見つめるが、その視線は真剣だった。
そして、
「よし行くかっ!!!!!!」
オルロ・リットンがそう言うと、4人は入り口に向かって歩き出した。
「被り物か...........」
目の前には、獣人が店を営む小さな露店があった。
(人間だとバレると厄介なことになりそうだな...........何か変装するか)そう考えたラクレスは、自然と店へ足を運んだ。
店内に入ると、怯えた様子の獣人がラクレスを迎えた。
「獣人?」
ラクレスはとっさにそんなを言った。
「す、すいません.....何でも差し上げますから命だけは..........どうか.....」
獣人はラクレスが店の中に入るや否や震える声でそう言って、頭を下げた。
「い、いや、俺違うよ..........」
「えっ!?あなた........リザードマンじゃない?あなたは誰なんですか?」
リザードマンじゃないラクレスを見た獣人がそう言った。
「んーーーー、俺はあなたたちの味方かな?」
ラクレスは肩をすくめ、少し迷った後、笑顔を浮かべて答えた。
そして、狐の顔をしたお面を一つ取った。
「これください。いくらですか?」
「いえっ、お金はいりません。なので、この国を.....どうかこの国を..........」
獣人は涙を浮かべ、訴えるように頭を下げ続けた。
「..........任せてください。絶対に借りは返しますから。」
ラクレスは獣人に短く約束すると、狐の面をかぶり、店を後にした。
(獣人はもっと奴隷的な扱いを受けてると思ったけど、そうでもないんだな..........)
そして、ラクレスは目線を城に向けた。
「絶対に仇は討ってやる。待ってろよ..........」
ラクレスは静かに決意を固めると、人気の少ない裏道を選んで城を目指した。
その道中、弱り果てた獣人たちと何度もすれ違った。
誰もが涙を浮かべ、目に見えるほどに疲弊していた。
(みんな、泣いてる..........)
ラクレスは弱り切った獣人を見ると、下唇を噛んだ。
ラクレスはかつて敵対した国であることを思い出すが、その憎しみはもはや彼にはなかった。
怒りの矛先はただ一つ。アルダ・シールという王に向かっていた。
(あのクソ王は何したんだよ..........何で簡単に国を取られてんだよ..........それに、あのギイ・ラーンとかいう奴はどうしたんだよ..........)
思考を巡らせつつ、ラクレスは遂に城の目前までたどり着いた。
背後を警戒しながらも、敵と遭遇することなくここまで来れたのは幸運だった。
(城の入り口に敵は二人..........でも、城の中には何人だ..........?くそっ、)
ラクレスは頭の中で作戦を考えてはいるが、城の内部構造を知らないためそれも露と消えた。
「考えるだけ無駄か..........」
彼は溜息をつき、堂々と城の入り口へ歩み寄った。
そして、城の目の前で立ち止まると二人の兵士に向かって穏やかな口調で言い放った。
「おいっ、お前らの国のトップをここに呼べっ。」
ラクレスは穏やかな口調でそう言った。
「わ、分かった..............」
一人の兵士がそう言って城の中に入って行った。
すると、もう一人の兵士も慌てて中に入って行った。
そのため、城の入り口にはラクレスが一人残された。
兵士たちがなぜラクレスに従ったのか、それは明白だった。
ラクレスが放つ異様なオーラが、彼らの心を完全に圧倒していたのだ。
(あいつはやばい..............早くリットン団長にお伝えしなければ..............)
中に入って行った兵士が冷や汗をかきながら、すくむ足を何とか立ち上がり前に進んでいた。
すると、
「おいっ、外に何がいる?」
ギイ・ラーンにやられた傷がすっかり回復したオルロ・リットンが慌ててやってきた。
「そ、、そ、れ、、が、、、ば、ば、、ばけもんが、います..............」
「ばけもん?どこにだっ?」
「そと、、、、です.........」
「良く伝えた..............」
兵士はそれだけ言い残すと、気を失った。
(何がいる..............いくら兵士と言っても、選りすぐりの精鋭兵たちだぞ..............)
オルロ・リットンの額を冷や汗が滲ませていた。
「どうした?リットン。」
オッド・リーシャも騒ぎ駆け付けてきた。
そして、「何やらやばそうだな.........」
「..............そうね」
ロッド・ゲルマン、仮面の騎士も駆けつけてきた。
「何やらとんでもないのがいるらしい..............」
オルロ・リットンはそう言うと、立ちあがった。
「獣人か?でも、獣人のバケモンと言ったら、もう全員倒したぞ?」
ロッド・ゲルマンが目を細めてそう言うが、
「まだいたのか..........こんなやつが..........」
と、すぐさま嬉しそうに言った。
「お前は変わらんな..........」
オルロ・リットンはため息交じりにロッド・ゲルマンを見つめるが、その視線は真剣だった。
そして、
「よし行くかっ!!!!!!」
オルロ・リットンがそう言うと、4人は入り口に向かって歩き出した。
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