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事件2

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その後、一週間も意識不明だったようだ。

目覚めたら自分の屋敷の自分の部屋にいた。

背中を斬られたため、焼けるように痛かった。

「……ねぇ、アレクは大丈夫だった?」

侍女に恐る恐る尋ねた。

「……リリアナ様。アレク様は軽症だそうですが、事件のショックで寝込まれたそうです」

軽症だと分かりホッとした。

(……良かった!大好きなアレクが助かった!)

普段から、アレクや姉が何かあれば喜んで自らが犠牲になるよう両親から言われていた。

ーー無価値令嬢の私でも大好きな人たちの役に立てた!

痛みや恐怖よりも、喜びが勝っていた。

その後、両親が珍しく部屋にやって来た。

「リリアナ、おめでとう。アレクサンダー様から婚約の打診が来た。お受けしたそ


普段はお父様と話す機会すらあまりなかったが、厄介者の無価値令嬢が次期公爵令息を捕まえたのだ。

(……初めて両親の関心が向いたかしら?)

誕生日すら忘れられている無価値な私ーー。


ああ、両親から関心を持ってもらえるのがこんなにも嬉しいなんて……。

「はい、ありがとうございます。公爵家の恥にならぬよう勤めます」

本心から答えた。

アレクからしたら傷モノにした令嬢への義務感から婚約を打診したに過ぎないだろう。

でもそんなことはどうでも良かった。

ーー大好きな初恋の人の妻になれる

それだけが嬉しかった。
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