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エピローグ
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リーゼロッテ様がお亡くなりになられたことに、正直なところ全く悲しみはなかったし、安堵の気持ちが強かった。
出産後子供を守ることで精一杯で、あの2人のことまで考えている余裕がなかった。
(……殿下はどうされたかしら?)
今後、真相を聞くこともないと思うが、きっとリーゼロッテ様のことが許せなかったのだろう。
気がかりだったリーゼロッテ様の2人のお子様は、きちんと王宮で育てることになり、一安心だ。
(……公爵家で育てろ、と言われたらどうしようかと思った……)
高貴なる愛人と夫の子供である。
胸中は非常に複雑、だ。
(……子供に罪はないけれどね……)
そうそう。
その後の私は、ジュニアを育てながら、ラブリーナの市場拡大のために精力的に動いた。
店舗を出したり、海外に輸出したり。シリーズの新作のシャンプーとトリートメントも美容院とタイアップしながら販売していく。
ラブリーナも私の子供だ。
だから、大切に、大切に育てていく。
あ、アンドレア様?
あの忌々しい契約終了の報償金でラブリーナの生産工場を作って下さった。
そして、ようやくジュニアの名前も頂くことが出来た。
ジュニアは、『ウィリアムズ』となった。
「ウィルー!お父様がようやくお帰りになりますよ」
アンドレア様は、リーゼロッテ様の国葬を見届け、王宮の職も辞してようやく屋敷に戻ってきた。これからは、公爵家のためだけに働くそうだ。
ウィリアムズを乳母から受け取り、玄関に急ぐ。
今日が初めての父子対面だ。
一年以上ぶりに見るアンドレア様は、何だか非常にやつれていて覇気が全くなかった。昔の女性と浮き名を流していたアンドレア様なんて見る影もない。
(……あのくらい強烈な愛人がいたから、その辺の貴族令嬢なんてもう何ともないわね……)
経験者は語る、のである。
「お帰りなさいませ」
「……ああ、ようやく戻った」
アンドレア様の顔が途端に笑顔になり、私に抱かれているウィリアムズを見つめた。
「……私の子……!!ウィリアムズ!」
「……びっくりするくらい、そっくり…!」
ウィリアムズが笑顔を見せた。
「……ローゼ、本当に長い間すまなかった……」
「……そうですね。まだ許していませんから……!!」
ニッコリ微笑みながらそう告げた。
でも、アンドレア様はとても嬉しそうだった。
「……これから一生かけて、償うから」
アンドレア様が私とウィリアムズをきつく抱き締めた。
(了)
出産後子供を守ることで精一杯で、あの2人のことまで考えている余裕がなかった。
(……殿下はどうされたかしら?)
今後、真相を聞くこともないと思うが、きっとリーゼロッテ様のことが許せなかったのだろう。
気がかりだったリーゼロッテ様の2人のお子様は、きちんと王宮で育てることになり、一安心だ。
(……公爵家で育てろ、と言われたらどうしようかと思った……)
高貴なる愛人と夫の子供である。
胸中は非常に複雑、だ。
(……子供に罪はないけれどね……)
そうそう。
その後の私は、ジュニアを育てながら、ラブリーナの市場拡大のために精力的に動いた。
店舗を出したり、海外に輸出したり。シリーズの新作のシャンプーとトリートメントも美容院とタイアップしながら販売していく。
ラブリーナも私の子供だ。
だから、大切に、大切に育てていく。
あ、アンドレア様?
あの忌々しい契約終了の報償金でラブリーナの生産工場を作って下さった。
そして、ようやくジュニアの名前も頂くことが出来た。
ジュニアは、『ウィリアムズ』となった。
「ウィルー!お父様がようやくお帰りになりますよ」
アンドレア様は、リーゼロッテ様の国葬を見届け、王宮の職も辞してようやく屋敷に戻ってきた。これからは、公爵家のためだけに働くそうだ。
ウィリアムズを乳母から受け取り、玄関に急ぐ。
今日が初めての父子対面だ。
一年以上ぶりに見るアンドレア様は、何だか非常にやつれていて覇気が全くなかった。昔の女性と浮き名を流していたアンドレア様なんて見る影もない。
(……あのくらい強烈な愛人がいたから、その辺の貴族令嬢なんてもう何ともないわね……)
経験者は語る、のである。
「お帰りなさいませ」
「……ああ、ようやく戻った」
アンドレア様の顔が途端に笑顔になり、私に抱かれているウィリアムズを見つめた。
「……私の子……!!ウィリアムズ!」
「……びっくりするくらい、そっくり…!」
ウィリアムズが笑顔を見せた。
「……ローゼ、本当に長い間すまなかった……」
「……そうですね。まだ許していませんから……!!」
ニッコリ微笑みながらそう告げた。
でも、アンドレア様はとても嬉しそうだった。
「……これから一生かけて、償うから」
アンドレア様が私とウィリアムズをきつく抱き締めた。
(了)
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