20 / 20
エピローグ
しおりを挟む
リーゼロッテ様がお亡くなりになられたことに、正直なところ全く悲しみはなかったし、安堵の気持ちが強かった。
出産後子供を守ることで精一杯で、あの2人のことまで考えている余裕がなかった。
(……殿下はどうされたかしら?)
今後、真相を聞くこともないと思うが、きっとリーゼロッテ様のことが許せなかったのだろう。
気がかりだったリーゼロッテ様の2人のお子様は、きちんと王宮で育てることになり、一安心だ。
(……公爵家で育てろ、と言われたらどうしようかと思った……)
高貴なる愛人と夫の子供である。
胸中は非常に複雑、だ。
(……子供に罪はないけれどね……)
そうそう。
その後の私は、ジュニアを育てながら、ラブリーナの市場拡大のために精力的に動いた。
店舗を出したり、海外に輸出したり。シリーズの新作のシャンプーとトリートメントも美容院とタイアップしながら販売していく。
ラブリーナも私の子供だ。
だから、大切に、大切に育てていく。
あ、アンドレア様?
あの忌々しい契約終了の報償金でラブリーナの生産工場を作って下さった。
そして、ようやくジュニアの名前も頂くことが出来た。
ジュニアは、『ウィリアムズ』となった。
「ウィルー!お父様がようやくお帰りになりますよ」
アンドレア様は、リーゼロッテ様の国葬を見届け、王宮の職も辞してようやく屋敷に戻ってきた。これからは、公爵家のためだけに働くそうだ。
ウィリアムズを乳母から受け取り、玄関に急ぐ。
今日が初めての父子対面だ。
一年以上ぶりに見るアンドレア様は、何だか非常にやつれていて覇気が全くなかった。昔の女性と浮き名を流していたアンドレア様なんて見る影もない。
(……あのくらい強烈な愛人がいたから、その辺の貴族令嬢なんてもう何ともないわね……)
経験者は語る、のである。
「お帰りなさいませ」
「……ああ、ようやく戻った」
アンドレア様の顔が途端に笑顔になり、私に抱かれているウィリアムズを見つめた。
「……私の子……!!ウィリアムズ!」
「……びっくりするくらい、そっくり…!」
ウィリアムズが笑顔を見せた。
「……ローゼ、本当に長い間すまなかった……」
「……そうですね。まだ許していませんから……!!」
ニッコリ微笑みながらそう告げた。
でも、アンドレア様はとても嬉しそうだった。
「……これから一生かけて、償うから」
アンドレア様が私とウィリアムズをきつく抱き締めた。
(了)
出産後子供を守ることで精一杯で、あの2人のことまで考えている余裕がなかった。
(……殿下はどうされたかしら?)
今後、真相を聞くこともないと思うが、きっとリーゼロッテ様のことが許せなかったのだろう。
気がかりだったリーゼロッテ様の2人のお子様は、きちんと王宮で育てることになり、一安心だ。
(……公爵家で育てろ、と言われたらどうしようかと思った……)
高貴なる愛人と夫の子供である。
胸中は非常に複雑、だ。
(……子供に罪はないけれどね……)
そうそう。
その後の私は、ジュニアを育てながら、ラブリーナの市場拡大のために精力的に動いた。
店舗を出したり、海外に輸出したり。シリーズの新作のシャンプーとトリートメントも美容院とタイアップしながら販売していく。
ラブリーナも私の子供だ。
だから、大切に、大切に育てていく。
あ、アンドレア様?
あの忌々しい契約終了の報償金でラブリーナの生産工場を作って下さった。
そして、ようやくジュニアの名前も頂くことが出来た。
ジュニアは、『ウィリアムズ』となった。
「ウィルー!お父様がようやくお帰りになりますよ」
アンドレア様は、リーゼロッテ様の国葬を見届け、王宮の職も辞してようやく屋敷に戻ってきた。これからは、公爵家のためだけに働くそうだ。
ウィリアムズを乳母から受け取り、玄関に急ぐ。
今日が初めての父子対面だ。
一年以上ぶりに見るアンドレア様は、何だか非常にやつれていて覇気が全くなかった。昔の女性と浮き名を流していたアンドレア様なんて見る影もない。
(……あのくらい強烈な愛人がいたから、その辺の貴族令嬢なんてもう何ともないわね……)
経験者は語る、のである。
「お帰りなさいませ」
「……ああ、ようやく戻った」
アンドレア様の顔が途端に笑顔になり、私に抱かれているウィリアムズを見つめた。
「……私の子……!!ウィリアムズ!」
「……びっくりするくらい、そっくり…!」
ウィリアムズが笑顔を見せた。
「……ローゼ、本当に長い間すまなかった……」
「……そうですね。まだ許していませんから……!!」
ニッコリ微笑みながらそう告げた。
でも、アンドレア様はとても嬉しそうだった。
「……これから一生かけて、償うから」
アンドレア様が私とウィリアムズをきつく抱き締めた。
(了)
294
お気に入りに追加
691
この作品は感想を受け付けておりません。
あなたにおすすめの小説

王太子の愚行
よーこ
恋愛
学園に入学してきたばかりの男爵令嬢がいる。
彼女は何人もの高位貴族子息たちを誑かし、手玉にとっているという。
婚約者を男爵令嬢に奪われた伯爵令嬢から相談を受けた公爵令嬢アリアンヌは、このまま放ってはおけないと自分の婚約者である王太子に男爵令嬢のことを相談することにした。
さて、男爵令嬢をどうするか。
王太子の判断は?

【完結】旦那に愛人がいると知ってから
よどら文鳥
恋愛
私(ジュリアーナ)は旦那のことをヒーローだと思っている。だからこそどんなに性格が変わってしまっても、いつの日か優しかった旦那に戻ることを願って今もなお愛している。
だが、私の気持ちなどお構いなく、旦那からの容赦ない暴言は絶えない。当然だが、私のことを愛してはくれていないのだろう。
それでも好きでいられる思い出があったから耐えてきた。
だが、偶然にも旦那が他の女と腕を組んでいる姿を目撃してしまった。
「……あの女、誰……!?」
この事件がきっかけで、私の大事にしていた思い出までもが崩れていく。
だが、今までの苦しい日々から解放される試練でもあった。
※前半が暗すぎるので、明るくなってくるところまで一気に更新しました。

夫の母親に会いたくない私と子供。夫は母親を大切にして何が悪いと反論する。
window
恋愛
エマ夫人はため息をつき目を閉じて思い詰めた表情をしていた。誰もが羨む魅力的な男性の幼馴染アイザックと付き合い恋愛結婚したがとんでもない落とし穴が待っていたのです。
原因となっているのは夫のアイザックとその母親のマリアンヌ。何かと理由をつけて母親に会いに行きたがる夫にほとほと困り果てている。
夫の母親が人間的に思いやりがあり優しい性格なら問題ないのだが正反対で無神経で非常識な性格で聞くに堪えない暴言を平気で浴びせてくるのです。
それはエマだけでなく子供達も標的でした。ただマリアンヌは自分の息子アイザックとエマの長男レオだけは何をしてもいいほどの異常な溺愛ぶりで可愛がって、逆にエマ夫人と長女ミアと次女ルナには雑な対応をとって限りなく冷酷な視線を向けてくる。

わたくしが社交界を騒がす『毒女』です~旦那様、この結婚は離婚約だったはずですが?
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
※完結しました。
離婚約――それは離婚を約束した結婚のこと。
王太子アルバートの婚約披露パーティーで目にあまる行動をした、社交界でも噂の毒女クラリスは、辺境伯ユージーンと結婚するようにと国王から命じられる。
アルバートの側にいたかったクラリスであるが、国王からの命令である以上、この結婚は断れない。
断れないのはユージーンも同じだったようで、二人は二年後の離婚を前提として結婚を受け入れた――はずなのだが。
毒女令嬢クラリスと女に縁のない辺境伯ユージーンの、離婚前提の結婚による空回り恋愛物語。
※以前、短編で書いたものを長編にしたものです。
※蛇が出てきますので、苦手な方はお気をつけください。
どうして別れるのかと聞かれても。お気の毒な旦那さま、まさかとは思いますが、あなたのようなクズが女性に愛されると信じていらっしゃるのですか?
石河 翠
恋愛
主人公のモニカは、既婚者にばかり声をかけるはしたない女性として有名だ。愛人稼業をしているだとか、天然の毒婦だとか、聞こえてくるのは下品な噂ばかり。社交界での評判も地に落ちている。
ある日モニカは、溺愛のあまり茶会や夜会に妻を一切参加させないことで有名な愛妻家の男性に声をかける。おしどり夫婦の愛の巣に押しかけたモニカは、そこで虐げられている女性を発見する。
彼女が愛妻家として評判の男性の奥方だと気がついたモニカは、彼女を毎日お茶に誘うようになり……。
八方塞がりな状況で抵抗する力を失っていた孤独なヒロインと、彼女に手を差し伸べ広い世界に連れ出したしたたかな年下ヒーローのお話。
ハッピーエンドです。
この作品は他サイトにも投稿しております。
扉絵は写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID24694748)をお借りしています。

【完結】ドアマットに気付かない系夫の謝罪は死んだ妻には届かない
堀 和三盆
恋愛
一年にわたる長期出張から戻ると、愛する妻のシェルタが帰らぬ人になっていた。流行病に罹ったらしく、感染を避けるためにと火葬をされて骨になった妻は墓の下。
信じられなかった。
母を責め使用人を責めて暴れ回って、僕は自らの身に降りかかった突然の不幸を嘆いた。まだ、結婚して3年もたっていないというのに……。
そんな中。僕は遺品の整理中に隠すようにして仕舞われていた妻の日記帳を見つけてしまう。愛する妻が最後に何を考えていたのかを知る手段になるかもしれない。そんな軽い気持ちで日記を開いて戦慄した。
日記には妻がこの家に嫁いでから病に倒れるまでの――母や使用人からの壮絶な嫌がらせの数々が綴られていたのだ。
子育てが落ち着いた20年目の結婚記念日……「離縁よ!離縁!」私は屋敷を飛び出しました。
さくしゃ
恋愛
アーリントン王国の片隅にあるバーンズ男爵領では、6人の子育てが落ち着いた領主夫人のエミリアと領主のヴァーンズは20回目の結婚記念日を迎えていた。
忙しい子育てと政務にすれ違いの生活を送っていた二人は、久しぶりに二人だけで食事をすることに。
「はぁ……盛り上がりすぎて7人目なんて言われたらどうしよう……いいえ!いっそのことあと5人くらい!」
気合いを入れるエミリアは侍女の案内でヴァーンズが待つ食堂へ。しかし、
「信じられない!離縁よ!離縁!」
深夜2時、エミリアは怒りを露わに屋敷を飛び出していった。自室に「実家へ帰らせていただきます!」という書き置きを残して。
結婚20年目にして離婚の危機……果たしてその結末は!?

悪女のレシピ〜略奪愛を添えて〜
ましろ
恋愛
──どうしたら愛されるの?
双子の兄達は3歳で魔力が発現しました。
それは私が産まれてすぐのことだったそうです。
両親は魔力を暴走させがちな兄達に掛かりきりで私は乳母に育てられました。
それから3年、ようやく兄達の魔力が安定してきた頃、妹が生まれました。
ですが、生まれたばかりの妹は魔力過多症で小さな体はそれに耐えることが難しく、何度も死の淵を彷徨い、片時も目が離せませんでした。
こうして私はずうっと忘れられたまま何年も過ごすことになったのです。
誰も私に愛を与えてくれないのなら、奪いに行けばいいのね?
だって愛の為なら、略奪は罪では無いのだから。
✻ゆるふわ設定です。
気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる