上 下
8 / 20

7

しおりを挟む
殿下は約束通りに、住む場所と人、そして資金を提供してくれた。

(殿下は信用していいかも知れないわね……)

マルクスには、公爵家にはこれ以上いられないから離婚するまで家を出る、と告げた。マルクス自身も主がいないためどうにも出来ないと判断したのだろう。無言で送り出してくれた。私はまとめた荷物を馬車に積み込んだ。

ーー戻るつもりはないわ!さようなら!公爵家

新居の場所は、公爵家からも侯爵家からも中間くらいの位置にあり、都市部ではないがひっそりとした森が近い自然豊かな町だった。

用意された一軒家の裏には、研究室と作業部屋が用意されていた。

人員配置は、侍女と護衛兼御者、あとは事業になれた人物の3名だった。

とりあえず、伯爵家にはアンドレア様が結婚式から全く屋敷に戻らないため、家を出て自活し、そのうち離婚する旨を手紙にまとめて出した。また、ラブリーナが必要なため、送って欲しいと伝えた。

新居はかなり快適だった。

研究室もあり、ラブリーナの抽出作業も出来る上、簡易の工場のような作業場所もあるため、生産も可能だった。ラブリーナが到着次第、生産を行う。
販売ルートなどは殿下が手配した人物に任せれば良さそうだった。

これで販売ができれば、資金が出来る!
長年の夢が動き出した。

そして、家出早々、物騒な事件も起こった。
恐らく、公爵家を離れた私の命を狙おうとしたのだろう。
(……リーゼロッテ様のやりそうなことね)

殿下に頼んで護衛を増やしてもらわなくては。

そんなことを思っていたら、予期せぬ人物が訪れたのだった。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

砕けた愛は、戻らない。

豆狸
恋愛
「殿下からお前に伝言がある。もう殿下のことを見るな、とのことだ」 なろう様でも公開中です。

王太子さま、側室さまがご懐妊です

家紋武範
恋愛
王太子の第二夫人が子どもを宿した。 愛する彼女を妃としたい王太子。 本妻である第一夫人は政略結婚の醜女。 そして国を奪い女王として君臨するとの噂もある。 あやしき第一夫人をどうにかして廃したいのであった。

真実の愛なら王命の婚約破棄も仕方ないのですね

morimiyaco
恋愛
 私はミラ・カスター公爵令嬢。祖母をこの国の王女に持つ公爵家の長女になります。母は女公爵、入婿である父とは王命での政略結婚であるから愛はなく、私を妊娠してから、父は愛人とその子供達に愛情を注いでいる状態です。  まあ貴族ならよくある家庭環境だったのであまり気にしておりませんでしたのよ。婚約者である第一王子が義妹を横に連れて私に婚約破棄を叫ばなければ。  そしてそれを認めた国王様?真実の愛ならば王命を破棄しても宜しいのですね。

(完結)戦死したはずの愛しい婚約者が妻子を連れて戻って来ました。

青空一夏
恋愛
私は侯爵家の嫡男と婚約していた。でもこれは私が望んだことではなく、彼の方からの猛アタックだった。それでも私は彼と一緒にいるうちに彼を深く愛するようになった。 彼は戦地に赴きそこで戦死の通知が届き・・・・・・ これは死んだはずの婚約者が妻子を連れて戻って来たというお話。記憶喪失もの。ざまぁ、異世界中世ヨーロッパ風、ところどころ現代的表現ありのゆるふわ設定物語です。 おそらく5話程度のショートショートになる予定です。→すみません、短編に変更。5話で終われなさそうです。

王妃そっちのけの王様は二人目の側室を娶る

家紋武範
恋愛
王妃は自分の人生を憂いていた。国王が王子の時代、彼が六歳、自分は五歳で婚約したものの、顔合わせする度に喧嘩。 しかし王妃はひそかに彼を愛していたのだ。 仲が最悪のまま二人は結婚し、結婚生活が始まるが当然国王は王妃の部屋に来ることはない。 そればかりか国王は側室を持ち、さらに二人目の側室を王宮に迎え入れたのだった。

婚約者は王女殿下のほうがお好きなようなので、私はお手紙を書くことにしました。

豆狸
恋愛
「リュドミーラ嬢、お前との婚約解消するってよ」 なろう様でも公開中です。

今夜で忘れる。

豆狸
恋愛
「……今夜で忘れます」 そう言って、私はジョアキン殿下を見つめました。 黄金の髪に緑色の瞳、鼻筋の通った端正な顔を持つ、我がソアレス王国の第二王子。大陸最大の図書館がそびえる学術都市として名高いソアレスの王都にある大学を卒業するまでは、侯爵令嬢の私の婚約者だった方です。 今はお互いに別の方と婚約しています。 「忘れると誓います。ですから、幼いころからの想いに決着をつけるため、どうか私にジョアキン殿下との一夜をくださいませ」 なろう様でも公開中です。

私の知らぬ間に

豆狸
恋愛
私は激しい勢いで学園の壁に叩きつけられた。 背中が痛い。 私は死ぬのかしら。死んだら彼に会えるのかしら。

処理中です...