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案の定、あの情事を目撃した日から定期的にリーゼロッテ様からお茶会という名の呼び出しがあった。

数名の令嬢たちから、夫に冷遇される妻と陰口を言われたり、お茶をかけられたり。日時を誤って伝え恥をかかされたり。

(……ありきたりな嫌がらせね……)

もともと社交をさほど重要視していない私には自分の評判なんてどうでも良かった。着々と家出準備を進め、三年後の離婚に向けて自活するのみだった。

王太子からは住まいや事業が出来る場所の手配が出来たからもうしばらくしたら迎えを寄越す、と連絡があった。

(……あー、退屈なお茶会!早く終わらないかなあ)

今日もくだらないお茶会に呼ばれた。

最近では全く会話も聞いておらず、ただいるだけだった。そんな私が更に目障りなのかも知れないが……。リーゼロッテ様は執拗に絡んでくる。

「……うふふ。ローザさん。わたくし、ついに子供が出来たみたいだわ。少し早いけれど、仲良くしている皆さんだけにお伝えするわ」

お腹のあたりをいとおしそうに撫でている。次々と取り巻き令嬢からはお祝いの言葉が出て場が一気に雰囲気が変わった。

ーーーリーゼロッテ様!楽しみですわ!本当に嬉しいです!

ーー毎日、あれほどの寵愛を頂いているんですもの。当然のことですわ

(……何だこの茶番劇は?毎日の寵愛?)

全て知る私にとってしたら、虚構の真実でしかない。

「それでローザさん。しばらくの間、わたくしの話し相手になって下さらない?」

自分がいかに幸せか、をお飾りの妻に見せたいだけだろう。

(…困った人だ……)

丁重にお断りするも、なぜか話し相手にさせられてしまった。

それからと言うものの、二、三日おきに呼び出しが来る。

『アンドレア様は、ベッドではとっても情熱的でしてよ?あ、失礼。あなたとはまだベッドを共にしていなかったわね。うふふ。ごめんなさいね、わたくしばかり……』

『毎日毎日、アンドレアが求めてくれるおかげで、すぐに子供が出来たわ!本当に楽しみなの。アンドレア様に似た男の子だといいわねぇ……』

そんな会話がずっと続いていた。
侍女はリーゼロッテ様を持ち上げ、私を蔑む。

「私はおっしゃる通り、アンドレア様のお飾りの妻ですわ。特にアンドレア様のお体もお心も奪うつもりはございません。ご安心下さい。それと、明日以降申し訳ございませんが、公爵家を出ていくことにしたため王宮には参れません。赤ちゃんが無事に産まれますことを国民の一人としてお祈り申し上げます」

(……たくっ、殿下には文句言わなきゃ!自分の女くらい管理しろだ!)

「まあ、そうでしたの。それは残念ですわ。子供が産まれたら、遊びにいらして?」

アンドレア様のことは離さないーー。

そう言っているように聞こえた。

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